PIVOT TALK HEALTH
【実践】仕事場でできる股関節ケア
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2025年7月17日

日本のアスリートの身体を支える、フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一氏がPIVOTに登場。 ビジネスパーソンの足腰の悩みの原因は股関節と「おしりの筋肉」にあり。 スタジオで野嶋MCと股関節アセスメントやトレーニングを実践。
股関節を大切にするファンクショナルトレーニング入門 ~ 正しい鍛え方で若さを保つ~
現代人の体を支える股関節。その機能と正しいケア方法について、フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一氏が解説する。日常生活の中で実践できる効果的なエクササイズとは?股関節を守るための筋トレ方法から、厚底シューズの問題点まで、知っておくべき基本知識を紹介しよう。

筋トレだけでは解決しない股関節の悩み
若い世代を中心に筋トレが流行っているが、股関節のケアに一般的な筋トレは効果的だろうか。中野氏によると、単純に筋トレをするだけでは不十分とのこと。股関節は23の筋肉が関わる複雑な構造を持ち、屈曲・伸展・回旋など様々な動きをする。一つの筋肉だけを鍛えても、股関節の機能改善にはつながらないのだ。
「スポーツクラブにあるマシントレーニングは、一つの筋肉だけを狙って鍛えられるように作られています。しかし、それだけをトレーニングすると、他の筋肉との連動性がなくなってしまいます」と中野氏は指摘する。確かに、お尻の筋肉は鍛えられるかもしれないが、股関節を動かすための機能的な体制は改善しないのだ。
自己流ストレッチの落とし穴
多くの人が実践している開脚や前後開脚などのストレッチ。これらは本当に股関節に良いのだろうか。中野氏によれば、必ずしもそうとは言えない。なぜなら、股関節に関わる23の筋肉のうち、ストレッチで伸ばされるのは一部の筋肉だけだからだ。
「硬くなっている筋肉と硬くなっていない筋肉、弱い筋肉と弱くない筋肉が混在して股関節の機能不全を起こしています。開脚や前後開脚をすると、ある一部の筋肉しか伸びません」と中野氏。さらに「自分の体にとってどの筋肉が硬いのかを明確に分からないと、すでに柔軟性のある筋肉をさらに伸ばしてしまい、バランスが崩れて股関節の機能不全を悪化させることがあります」と警告する。
真面目にコツコツとストレッチをしている人ほど、自己流のやり方で股関節の状態を悪化させてしまう可能性があるのだ。YouTubeなどで見つけた太もも痩せやヒップアップのエクササイズも、自分の体質に合っていなければ逆効果になることも。

専門家のアドバイスを活用しよう
では、どうすれば自分に合った股関節ケアができるのだろうか。中野氏は、まず専門家に相談することを勧める。「ストレッチサロンやマッサージの先生に『私の筋肉のどこが硬いですか』と聞くと、専門家は答えられます。筋肉名だけ教えてもらい、その筋肉のストレッチ方法をインターネットで調べればよいでしょう」
しかし、トレーナー選びも重要だ。「トレーナーにも得意分野があります。ボディメイクが得意な先生もいれば、機能改善が得意な先生もいます」と中野氏。ボディビルダー系のトレーナーは体を作ることは得意でも、機能改善は苦手な場合がある。逆に、機能回復や機能改善が得意なトレーナーは、ボディメイクが苦手な傾向がある。
トレーナーを選ぶ際は、その人の資格よりも専門分野を確認することが大切だ。機能改善を目的とするなら、「ファンクショナルトレーニング」や「機能運動系」が得意と記載されているトレーナーを選ぶとよいだろう。
厚底シューズのリスク
最近流行している厚底シューズにも注意が必要だ。中野氏によると「厚底シューズはリスクが高い」という。ハイヒールと同様に、股関節を十分に伸展させることができず、臀筋が使えなくなるためだ。さらに、前に蹴り出す動きも制限される。
その結果、臀部や股関節周りの筋肉が衰え、股関節が不安定になりやすい。不安定な状態で高重心になるため、さらに不安定さが増し、股関節に痛みが生じやすくなる。
近年、アスリートの間でも厚底シューズが流行しているが、彼らは十分なトレーニングを積んでいる。「カーボンプレートが入った厚底シューズは、着地した時に足が上に跳ね上がる効果があり、次の着地の際に強いインパクトを受けます。それに耐えるためには、臀部周りの筋肉が十分についていないと危険です」と中野氏は説明する。
厚底シューズを使用するなら、股関節周辺のトレーニングが欠かせないのだ。
オフィスでできるファンクショナルトレーニング
股関節の機能を改善するためには、「ファンクショナルトレーニング」が効果的だ。中野氏は、オフィスでも簡単にできるエクササイズを紹介する。
片足立ちエクササイズ
1. 机などに手を軽く添える
2. 片足で立ち、もう一方の足を浮かせる
3. 立っている足の股関節をしっかり伸ばし、臀部に力を入れる
4. ゆっくりと座り、再び立ち上がる
5. 数回繰り返したら反対の足でも行う
これは、仕事の合間に気軽に実践できるトレーニングだ。臀筋だけでなく、太ももの前後や腰の筋肉など、複数の筋肉を連動させて動かすことができる。慣れてきたら、立ち上がる際に両手を上に伸ばすなど、難易度を上げるとよい。
椅子に座ってのストレッチ
1. 椅子に浅く腰掛け、右足を左足の上にかける
2. 片手で内くるぶし、もう片方の手で膝の内側を持つ
3. 息を吸って胸を張り、吐きながら胸から前へ倒す
4. 背筋を伸ばした状態を維持する
5. ゆっくり戻し、反対側も同様に行う
このストレッチは、臀部だけでなく腰まで伸ばすことができる。デスクワークの合間にパソコン画面を見ながら行えるのが利点だ。
股関節前部のストレッチ
1. 椅子の横に立ち、片足を前に、もう片方の足を後ろに引く
2. 片手で椅子の座面をつかみ、もう片方の手を上に上げる
3. 上体をひねる
4. 後ろの足をできるだけ遠くに置くと、股関節から脇腹までしっかり伸びる
このストレッチは、股関節を屈曲する際に使う筋肉を伸ばすのに効果的だ。スカートを履いていなければ、オフィスでも小スペースで実践できる。
バランスの良いケアが健康な股関節を作る

股関節の機能を維持・改善するためには、単に筋トレやストレッチをすればよいわけではない。重要なのは、バランスの良いケアだ。前側と後ろ側、両方の筋肉をバランスよくストレッチし、機能的なトレーニングで複数の筋肉を協調して動かす練習をすることが大切である。
中野氏は「単純にお尻を鍛えるだけではダメ。股関節が機能的に動くようになるファンクショナルトレーニングが必要です」と強調する。
ビジネスパーソンにとって、体は最も重要な資本だ。特に股関節は人間の移動に不可欠な部位である。日常の中で少しの時間を使って、正しく効果的なケアを行い、健康な股関節を維持していこう。