
自公過半数割れでも石破政権が続く理由
「鬼滅の刃」公開と選挙の微妙な関係性とは?専門家の分析Q&A
経済アナリストのジョセフ・クラフト氏が、映画「鬼滅の刃」の公開タイミングと選挙への影響、石破政権の行方、そしてイーロン・マスクの新党設立がアメリカ政治に与える影響について解説します。

Q. 7月18日公開の「鬼滅の刃 無限列車編」は選挙に影響を与える可能性がありますか?
映画「鬼滅の刃 無限列車編」が7月18日に公開されますが、これが選挙に影響を与える可能性は十分にあります。試写会で鑑賞した印象では、前作を大きく上回る感動と驚きがある作品で、今年屈指の映画になるでしょう。
この映画は間違いなく話題になり、多くの人が映画館に足を運ぶと予想されます。特に若年層を中心に18日、19日と映画館に行く人が増え、20日の投票日に投票所へ行く人数が減少する恐れがあります。
つまり「鬼滅の刃」が初めて国政選挙に影響を与える映画になる可能性があるのです。もちろん、映画を見た後に投票所へ行くという選択肢もありますが、若年層の投票率に影響する可能性は否定できません。
Q. 選挙で仮に自民党が過半数割れした場合、石破首相はどうなりますか?

選挙で自民党が過半数割れした場合の石破首相の進退については、微妙な状況です。まず、自民党の勝敗ラインは非改選と合わせて50議席とされていますが、実は石破首相自身は「選挙に負けたら辞める」とは明言していません。
仮に選挙で敗北しても、現在の国際情勢を考えると、すぐに首相を交代させるのは国益に適わない面があります。特にトランプ政権との関税交渉の真っただ中であり、年末の補正予算編成も控えています。
石破首相とトランプ大統領の関係は悪くなく、トランプ大統領は「新しい首相は好きだ」と発言しています。この時期に新たな首相に交代して米国との関係構築をやり直すのはリスクが高いでしょう。
また、自民党内でも「石破降ろし」の機運は今のところ高まっていません。仮に交代するとなれば国会での首相指名選挙が必要となり、野党が結束して別の候補を選ぶ可能性も出てきます。
結論としては、仮に選挙で大敗(例えば40議席台前半)となれば辞任もあり得ますが、それ以外なら年末の補正予算編成までは続投し、その後進退を判断する可能性が高いと見ています。
Q. 衆参両院で自民党が過半数割れした場合、政治はどうなりますか?
衆参両院で自民党が過半数割れした場合、政治が混迷する可能性が高まります。現在、衆議院でも参議院でも自民党は過半数を確保していますが、これが崩れると政策の実行が難しくなります。
特に補正予算の編成や法案の成立が困難になり、政府の政策実行力が大きく低下します。石破首相が続投したとしても、野党の言いなりにならざるを得ない状況が生まれかねません。
自民党への批判や不満はあるかもしれませんが、両院で過半数割れを起こして政治が混迷すると、最終的に困るのは国民です。特に現在のような国際情勢の不安定な時期に政治空白を作ることは避けるべきでしょう。
Q. イーロン・マスクが新党「アメリカ党」を立ち上げるようですが、その目的と影響は?
イーロン・マスクは7月4日にX(旧Twitter)で「新党を立ち上げるべきか」と問いかけ、65%が賛成したことを受けて、「アメリカ党」の設立を発表しました。これはアメリカの政局に大きな影響を与える可能性があります。
マスクの目的は、自らが政界に入ることではなく、トランプ減税法案に賛成票を投じた共和党議員を「罰する」ことにあります。具体的には、上院で約23議席、下院で約10議席の議員の落選を狙っています。
アメリカでは第三政党が選挙で勝つことはほぼありませんが、票を分散させることで有力候補を引きずり下ろす力はあります。1992年の大統領選挙では、ロス・ペローが共和党から独立して立候補し、共和党の票を18%も奪ったことで、当時無名だったビル・クリントンの勝利につながりました。

マスクの作戦は、全国区で候補者を立てるのではなく、特定の選挙区に絞って集中的に資金と労力を投入する「レウクトラの戦い」の戦術を採用するとみられます。これは小さな勢力でも大きな敵を打ち負かせる効果的な戦略です。
実際、世論調査によれば、アメリカ人の約40%がマスクが推薦する候補に投票する可能性があると回答しており、共和党にとって無視できない脅威となっています。
Q. トランプとマスクの対立はどのように推移すると予想されますか?

トランプとマスクの対立関係は、表面上は牽制し合っていますが、興味深いことに互いに直接的な個人攻撃は避けています。これは将来的な関係修復の可能性を残しているためと考えられます。
マスクの本来の目的は財政赤字の削減と政府の無駄の排除です。彼はトランプ政権に入った当初、財政規律の強化を期待していましたが、実際には10年間で3.3兆ドルもの赤字が増える減税法案が通過し、これに強く反発しています。
現状のままでは、マスクはテスラなどの企業価値の低下という形で打撃を受け、トランプは選挙での敗北リスクが高まるという「共倒れ」の状況になりかねません。実際、マスクの新党設立発表後、テスラ株は7%下落しました。
両者とも強いエゴと譲れない部分がありますが、経済的・政治的な損失を考えれば、どこかのタイミングで妥協点を見出す可能性はあります。トランプ側が財政削減策を一部修正するなど歩み寄りを見せれば、マスクが新党設立を撤回する可能性もあるでしょう。
現時点では対立が続いていますが、中間選挙が近づくにつれて状況は変化する可能性があります。両者の今後の動向は、アメリカ政治の行方を大きく左右することになるでしょう。
