
最強の米国株12選/AI競争の勝ち馬に乗れ/Meta、Microsoftに大注目
マグニフィセントセブンは今も買い時?注目の米国株12銘柄を専門家が厳選
不透明な相場環境が続く中、米国株の今後はどう動くのか。バーベル戦略を採用する柴田光浩氏が、成長株と景気敏感株からバランス良く注目銘柄を選定。AI導入による収益化が進むメタやマイクロソフトなどの大型テック銘柄から、景気回復で恩恵を受けそうな企業まで、幅広く分析します。

Q. 先行きが不透明な状況ですが、米国株はどのように推移すると考えていますか?
現在は関税問題や地政学リスクなど不透明材料が多く、目先はやや不透明感があります。先行きが見通しにくい状況で、いわば「モヤモヤ」した状態です。この状態が晴れてくるのはもう少し先になるかもしれません。
ただし、年末までの時間軸で見れば、株価は上向いてくると考えています。7月にピークアウトしたとしても、年末くらいまで見ると景況感の改善が期待できるでしょう。
木野内氏は「アメリカは金融緩和の余地があるため、景気感が悪くても株価は持つ」と指摘しています。また、円高・ドル安を跳ね返してパフォーマンスが取れる銘柄も多数あると考えられます。
Q. 不透明な中でどういった銘柄に注目すべきですか?
基本はハイテク業種です。どのような環境下でも、テクノロジーをベースにして成長できる会社、つまり業績がしっかり伸びていく株が良いでしょう。マグニフィセントセブンを中心としたグロース株が相場の中心になると思われます。投資する際にもポートフォリオの中心に据えるのが基本戦略です。

加えて、年末に向けて景気状況の回転が期待できます。S&P500指数の1株利益(EPS)の見通しも上向き傾向にあり、4月の時点では下がったものの、決算発表後は徐々に改善傾向にあります。このような状況を踏まえると、景気状況改善に期待できる銘柄も合わせ持つ戦略が有効でしょう。
Q. 具体的な投資戦略はありますか?
バーベル戦略をお勧めします。グロース株とバリュー株という両極端の銘柄を一緒に持つことで、リスクを抑えながらリターンを追求する戦略です。
Q. テック系の注目銘柄を教えてください
メタ・プラットフォームズ
FacebookやWhatsAppを運営するメタは、広告収入が大半を占めています。以前は中国の格安ECからの広告収入が多く、関税の影響が懸念されていましたが、直近の決算では10-16%の増収となっています。数量と単価は若干鈍化していますが、単価は前年比で10%増と伸びています。
注目すべきはAI導入による広告精度の向上です。これにより広告単価の上昇が続いています。現在はまだ北米でのみ展開されているため、他地域への展開で更なる単価上昇が期待できます。
また、設備投資計画を引き上げながらも、総費用の見通しを引き下げています。これはAIを活用したバックオフィスの効率化によるもので、投資を増やしながらも全体的な収益性が改善しています。AIがすでに収益化できている企業と言えるでしょう。
アマゾン
主力事業である物流とクラウド(AWS)の両方で若干の成長鈍化が見られます。特にクラウド事業は前年同期比19%の成長から17%へと鈍化しています。これが他のマグニフィセントセブン銘柄に比べて株価の戻りが鈍い原因と考えられます。
しかし、今後は状況が変わる可能性があります。関税交渉が進めば、Eコマース事業の環境が改善するでしょう。またクラウド事業の成長鈍化は供給不足が原因であり、需要そのものは健在です。投資ペースが計画より遅れていましたが、これが改善すれば成長が再加速する可能性があります。
セールスフォース
企業向けCRMソフトウェアを提供する企業です。AIサービスが好調で、売上や利益も市場予想を上回っています。売上の先行指標であるRPO(受注残高に近い指標)も12%増と加速しています。また、次期計画も市場予想を上回る内容となっています。
株価が下がった要因は、AI関連企業であるInfomatica社の買収発表にあります。過去に行ったSlackの大型買収(277億ドル)の財務負担を懸念して株価が下落した経緯がありますが、今回の買収規模はSlackの1/3程度です。会社の規模も大きくなっているため、乗り越えられると考えられます。本業が好調であることを考えると、現在は買い時と言えるでしょう。
マイクロソフト
企業向けのマイクロソフト365を中心に安定した成長を続けています。中小企業向けではユーザー数の増加、大企業向けではAI搭載の上位プランへの切り替えが進み、これが単価上昇につながっています。
クラウド事業(Azure)も好調で、10-12月期の31%増から1-3月期は35%増と伸び率が改善しています。これは投資を増やした結果であり、4-6月も34-35%の成長が計画されています。高い成長率が1株利益の伸びを支え、株価も堅調に推移すると予想されます。
ワークデイ
財務や人事管理のバックオフィスを効率化するソフトウェアをサブスクリプションで提供しています。AIを活用して人材配置のアドバイスや将来の人材不足予測などを行い、企業の人事部門の効率化につながります。
エージェントAIという進化版AIを収益化できている数少ない企業の一つです。また、経済の不確実性が高まる時期こそ、コスト削減のための業務効率化ソフトへの需要が強まる傾向があります。PERは競合他社よりも低く、割安感もあります。
ブロードコム
半導体設計とクラウドの仮想化ソフトウェアを扱う企業で、売上はほぼ半々です。特に注目すべきはカスタム半導体分野です。
NVIDIA製品は計算能力が高い反面、消費電力も大きいため、より効率的な半導体への需要があります。ブロードコムは大手IT企業3社からカスタム半導体の設計を受注しており、これらの需要だけで2024年から2027年にかけて4倍程度に拡大すると予測されています。さらに4社目の獲得も見込まれています。
現在、AI半導体は同社売上の約1/4を占めていますが、これが4倍以上に拡大すれば、3年後には会社の規模が2倍近くになる可能性があります。NVIDIAと並ぶAI半導体企業になる可能性を秘めています。
Q. 景気敏感株ではどのような銘柄に注目していますか?

ゴールドマン・サックス・グループ
M&Aの助言やIPOに強い投資銀行です。トレーディング部門は好調ですが、注目すべきはM&AやIPO部門です。関税問題の不透明感から案件が停滞していましたが、状況が改善すれば回復が見込まれます。
また、バイデン政権下ではM&A審査が厳しかったものの、現在は緩和傾向にあります。このため、これまで動けなかった案件が動き出す可能性があります。さらに、ストレステストの結果によって必要資本の目安が分かれば、余剰資本を自社株買いに回す可能性も高まります。
TJXカンパニーズ
オフプライス業態と呼ばれる小売業を展開しています。メーカーや小売店の売れ残り商品を安く仕入れ、定価の2-5割引で販売するビジネスモデルです。顧客は何が売られているか事前に分からないため、掘り出し物を見つける楽しみがあり、リピート率も高いです。
経済に不透明感がある時期は節約志向が高まるため、この業態には追い風となります。また、関税の影響も比較的小さいと考えられます。現在、全世界で約5,000店舗を展開していますが、現在進出している国と地域だけでも7,000店舗まで拡大する余地があるとされています。
ユナイテッド・レンタルズ
建機レンタルの米国最大手で、市場シェア約15%を持ちます。不透明な経済環境では設備投資が先送りされる傾向があり、株価はやや弱めです。
しかし、インフラの老朽化対策やデータセンター需要は堅調です。また、経済の不確実性が高まると、建設会社は重機を購入するよりもレンタルで様子見する傾向があります。このため、重機メーカーよりもレンタル会社の方が需要が強まる可能性があります。
エアビーアンドビー
世界220以上の国と地域で展開する民泊プラットフォームです。年間約5億件の予約がありますが、予約の3割、売上の4割がアメリカ市場です。
経済の先行き不透明感から旅行需要は一時的に鈍化していますが、関税問題の影響が見えてくれば需要は回復すると予想されます。また、株式市場が大きく下落していないことから、投資家層の旅行需要はそれほど落ち込んでいないと考えられます。
最近ではアクティビティ予約や料理人・マッサージ師の派遣マッチングサービスなど、宿泊以外のサービスも拡充しています。夏の需要が顕著になれば、これらのサービス拡大に再び注目が集まるでしょう。
インテュイティブ・サージカル
手術支援ロボット「ダヴィンチ」を提供しています。世界で約1万台が設置されており、米国では前立腺摘出手術の約9割でダヴィンチが使用されています。最近では盲腸手術などにも使用範囲が広がっています。
昨年、米国で承認された新型「ダヴィンチ5」は従来型より精度が高く、単価も高いため、切り替えが進むほど売上増加につながります。今後、欧州などでの承認が進めば、さらに切り替えが加速するでしょう。
売上の約6割は消耗品から得ており、手術件数の増加も収益にプラスとなります。関税の影響で利益率見通しを引き下げていますが、全面的な関税復活が避けられれば、業績は上振れる可能性があります。
ネクステラ・エナジー
風力や太陽光などの再生可能エネルギー発電会社です。トランプ政権下では再生可能エネルギーへの逆風が予想されるため、株価は弱含みです。
しかし、データセンターなどで電力需要が強い状況では、既存の発電施設を停止させることは考えにくく、発電による収入は確保できるでしょう。前回のトランプ政権下でも業績は堅調でした。
また、フロリダに基盤を持つ電力会社も保有しており、フロリダは人口増加や経済成長率が高い地域であることから、安定した収益が期待できます。トランプ政権による逆風で株価が下落している今が、長期投資の好機と言えるかもしれません。
Q. ポートフォリオを組む際のポイントは何ですか?
まずは大型銘柄、特にマグニフィセントセブンと呼ばれる企業の中から、物を作っていないソフトウェア企業など安定成長が見込める企業を選ぶとよいでしょう。マイクロソフト、メタ、Amazonのクラウド部門などがこれに該当します。
それにプラスして、ワークデイのような中堅企業や、セールスフォースのような攻めのIT銘柄、そして半導体関連企業を好みに応じて加えていくのが基本戦略です。物理的な製品を持たない企業を中心に据えることで、関税などの影響を受けにくいポートフォリオを構築できます。
Q. 米国株を購入する際の注意点はありますか?
米国株は日本株と異なり、単元株制度がありません。1株単位で購入できるため、投資のハードル自体は低いと言えます。高額株も株式分割で投資しやすい価格に調
整される傾向があります。

ただし、日本株と違ってストップ高・ストップ安の制度がないため、一晩で大きく価格が変動することがあります。特に時差の関係で、日本で寝ている間に米国市場で大きな動きがあることも珍しくありません。この点は注意が必要です。
Q. 米国株から資金が流出しているという見方もありますが、どう考えますか?
資金流出が言われていますが、必ずしもそうとは言い切れません。欧州の防衛株などには資金が流入していますが、米国の主力IT企業の代替となる企業は他の地域にはあまり存在しません。
米国のIT企業は世界のテクノロジー需要を取り込んで成長しており、GDP成長率を上回る成長を続けています。そのため、テクノロジー分野における米国企業の優位性は依然として強いと考えられます。
