
経済政策を問う③立憲民主党。消費税の上げ下げを可能に
現役政治家が語る「賃上げのための具体策」と「消費税減税のリアル」
物価高対策、インパクト投資の可能性、賃金上昇への道筋、消費税率変更の可能性まで。立憲民主党の重徳和彦政調会長が語る経済政策の全貌と、日本経済を変えるためのビジョンとは。

Q. 現在最も重要な経済政策は何だと考えていますか?
時間軸で分けて考えると、まず物価高対策が重要。すぐに実現すべきことに加え、継続的に取り組むべきは賃上げなど雇用を中心とする経済政策。
これまでは金融緩和など上からの経済政策が中心だったが、本当の消費者は働く人たち。賃金で生活している人々に時間とお金ができれば商品が回り、売上が伸び、投資につながる。こうした循環を「みんなの経済政策」に転換していきたい。
Q. 米価高騰など物価上昇が続く中、どうやって賃金を上昇させていくべきですか?
物価高対策として、時限的な消費税減税にまで踏み込む必要がある。米だけでなく食料品全般の価格上昇に対し、一息つけるような政策が必要だ。
中長期的には所得再分配政策として給付付き税額控除の導入が重要。民間経済の主役である企業における賃上げも不可欠。生産性は多少上がってきているにもかかわらず、株主配当は大幅に上回っている一方で、実質賃金は上がっていない。企業からの分配をもっと増やす余地がある。
Q. 賃上げを実現するための具体的な方策は?
過去30年を振り返ると、最初の20年間で生産性は20%上昇したが、企業は自らを守るために資金を貯め込み、非正規雇用を増やした。これが分断を生み、貧困の悪循環を作ってしまった。
こうした反省から、ここ3年間は賃上げが行われてきた。今後は継続的にCPI(消費者物価指数)プラスアルファの賃上げを社会的な合意にすることで、社会の安定と経済成長につなげていく必要がある。
Q. 人材の流動化についてはどうお考えですか?
30年前に比べれば転職市場は成熟してきた。90年代に非正規雇用が増加した背景には、人件費を固定費から変動費に転換するという企業経営の発想があった。

労働政策としてはまず雇用の安定化が必要。非正規雇用を「安かろう悪かろう」で首切りが容易な存在と捉えるのではなく、能力や意欲のある人がさまざまな仕事を経験できる環境を整えるべき。企業側の考え方も、働く側の幸せな生き方や稼げる生き方を支援する方向に変わっていく必要がある。
Q. 中高年層の人材活用についてはどうすべきでしょうか?
日本の教育は大学に入ることがゴールとなっていることが問題。アメリカではビジネススクールなどで自らを高めるために転職を前提とした学び直しの仕組みが整っている。
日本でもリカレント教育やリスキリングは重要だが、50代からの新しい知識や技術の習得は容易ではない。企業内での人材育成が必要で、特に「2024年問題」では社内のIT人材不足が深刻になる。
過去30年間は利益のためにアウトソーシングを進め、社内人材の育成を怠ってきた。この流れを転換し、企業内で人材を育成する取り組みが求められる。
Q. 企業が340〜50兆円の余剰資金を溜め込んでいることについてどう考えますか?
その資金を新しい分野に投資し、人材育成に活用すべき。規制改革を進めることで、新たな事業機会を創出することも重要。
ただし、すべての人が商売上手とは限らないため、「誰一人取り残さない」視点も忘れてはならない。市場改革と同時に、取り残される人を作らないよう配慮することが政治の役割。
Q. 消費税の扱いについてはどのようにお考えですか?
消費税は「上げたら下げない、下げたら上げられない」という定説があったが、「雨が降ったら傘をさし、雨が止んだら傘を畳む」という発想で、柔軟に対応すべき。

今回提案している消費税減税は「3正面作戦」で考えている。①物価高対策、②社会保障への責任(財源確保)、③将来世代への負担軽減(赤字国債を発行しない)。
減税期間(最大2年間)後に税率を戻す際には、低所得者層が困らないよう所得再分配の仕組みを整える。そのための財源として応能負担を検討し、社会全体が納得できる公平・公正な税負担の姿を目指す。
Q. 医療制度改革についてのお考えは?
予防医療の徹底が必要。かかりつけ医が健康なうちから面倒を見る体制を整え、病気になる前の段階から健康維持のサポートをすべき。
現状では、患者が増えれば増えるほど医師が収入を得るという矛盾した仕組みになっている。これを転換し、病人を減らすことが医師の仕事と位置づけ、健康維持の成果に応じた報酬体系に変えていく必要がある。
Q. 財政について今後どのように取り組んでいきますか?
財源なくして政策なしという原則を貫く。防衛費増加や高齢化に伴う社会保障費増大という状況の中で、財政に責任を持つ姿勢は変わらない。

同時に、既得権益に対峙し、規制改革やアニマルスピリットを引き出す政策も重要。将来不安を解消するためには、予防医療の徹底や効率的な医療提供体制の構築など、抜本的な改革が必要。