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徹底解説:出生数68万人ショック
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2025年6月6日

2024年の出生数が68.6万人となり、戦後最少となった。なぜ過去数年で少子化が加速しているのか?光明はあるのか?どうすれば少子化のスピードを抑えることができるのか?独身研究家の荒川和久氏に聞いた。 <ゲスト> 荒川和久|独身研究家 早稲田大学を卒業後、博報堂へ入社。数多くの企業のマーケティング戦...
「70万人を割り込む出生数、若者の不安解消が鍵」独身研究家が語る少子化対策の本質
少子化問題は日本社会の重大課題となっている。最新の統計では、出生数が70万人を割り込み、さらに69万人をも下回る68.6万人という深刻な数字となった。なぜここまで急激に出生数が減少しているのか、そして政府の少子化対策は効果を上げているのか。独身研究家の荒川和久氏に聞いた。

Q. 最新の出生数統計をどう見ていますか?
出生数が70万人を割ることは半年前から予測されていましたが、さらに69万人まで割り込んだことは深刻な状況です。政府が採用している「中位推計」はこれまで一度も当たったことがなく、実際は「低位推計」がほぼ一致しています。むしろ低位推計で考えないと今後の計画が狂ってしまいます。
この現実をしっかり受け止める必要があります。中位推計は様々な制度の計算の基礎になっていますが、実際の数字との乖離が大きすぎて、計画の見直しを余儀なくされています。中位推計は政治的な数字であり、本当は低位推計の方が官僚たちの本音に近いのではないでしょうか。
Q. 出生数の急激な減少の要因は何ですか?
最大の要因は婚姻数の減少です。出生数は前年の婚姻数と完全に相関しています。2020年からのコロナ禍で婚姻数が圧倒的に減り、それに連動して出生数も減少しました。
特に注目すべきは、コロナ前の2015年から2019年までは5年間で5%程度の減少だったのに対し、2020年から2024年の5年間では前の5年間と比べて20%も減少している点です。この急激な下落は非常に深刻で、早急に対策を講じなければ「垂直落下」の状態になりかねません。
また、出産年齢の後ろ倒しも大きな問題です。女性の平均初婚年齢は30歳近くになり、東京では30歳を超えています。20代で第1子を産む人が減っており、これが全体の出生率低下につながっています。

Q. 日本は韓国の失敗から何を学ぶべきですか?
韓国では20代女性の出生率がほぼゼロに近い状態になっています。韓国は日本以上に学歴社会で、いい大学を卒業しないといい会社に入れない状況です。いい就職ができて高い給料をもらえる人は結婚して子どもを持ちますが、それ以外の人は厳しい状況です。
特に重要なのは、かつて中間層だった人たちが結婚できなくなっている点です。日本も同じ道をたどりつつあります。中間層の若者が「結婚するのにはいくらかかる」「子育てにはいくらかかる」という情報に囲まれ、「自分には無理だ」と諦めています。かつては年収300万円台や400万円台の若者が結婚して子どもを持っていましたが、今ではそれが難しくなっています。
Q. 政府の少子化対策は的外れだったのでしょうか?
少子化は1990年代から2000年代初頭の第3次ベビーブームが来なかった時点で確定していました。政府の少子化対策は1990年代のエンゼルプランから一貫して「子育て支援オンリー」でした。
子育て支援は否定しませんが、どれだけ充実させても「0から1」、つまり子どものいない人が子どもを持つという状況を生み出さない限り、出生数は増えません。この「0から1」を政府の少子化対策から外していたことが、この30年間の的外れな部分だったと思います。
実際、2007年に少子化担当大臣ができてから家族関係支出は大幅に増えましたが、出生数は減少し続けています。
Q. 結婚を増やすためには何が必要ですか?
結婚をしたくない・子どもはいらないという若者は1〜2割程度います。彼らに無理に結婚や出産を勧める必要はありません。問題は、結婚したい・子どもが欲しいと思っているにもかかわらず結婚できない若者が中間層で5〜6割もいることです。
彼らが結婚できない根本的な要因に向き合う必要があります。大企業や公務員など、将来の経済的不安がない人たちは結婚していますが、中小企業に勤める若者(全体の7割)が結婚できなければ、未婚率7割の時代が来ることになります。
結婚している人は「お金なんか気にしなくていい」と言いますが、そういう人たちの年収を見ると600万円や700万円と上位3割層の人たちです。彼らはそもそも経済的不安を抱えていないから結婚したのです。

Q. 若者の所得を上げるためにはどうすればいいですか?
政府は賃上げを推進していますが、大企業は賃上げしても中小企業までは及んでいません。また、実質可処分所得を見ると、税金はそれほど変わらなくても社会保険料が右肩上がりで上昇し、手取りはそれほど増えていません。さらに最近の物価高も影響しています。
驚くことに、90年代の20代の若者より令和の若者の方が実質可処分所得の中央値が低いのです。上位層は高くなっていても、真ん中の層が全く上がっていない、むしろ下がっている状況です。これは個人の努力不足で片付けられる問題ではありません。
東京の若者は地方より給料が高いですが、家賃も高いため、必要経費を差し引いた金額は地方とあまり変わりません。
Q. 状況を改善するための具体策はありますか?
若者が結婚をためらう原因は「意識のインフレ」という面も大きいです。実質的なインフレではなく、「これくらいないと結婚できない」「これくらいないと子育てできない」という意識が高騰しています。これは若者の不安から生まれるものです。
この不安を払拭するには、全体の景気、つまり「気持ちの景色」を変える必要があります。お金を使っても大丈夫、後でちゃんと入ってくるという安心感があれば、結婚や出産が「贅沢品」ではなくなります。
また、子育てインセンティブとして「1人産んだらいくら」という形でお金に換算するのはやめるべきです。このようなインセンティブは日本に限らずどの国も効果を上げていません。むしろ子育てのコストが高いという印象を強め、「意識のインフレ」を加速させます。
代わりに、若い世代の税負担を減らす政策が効果的です。独身者は控除がなく税負担が重く、結婚して子どもが生まれると控除が入りますが、その限度額が欧米に比べて低いのが日本の現状です。「自分たちが頑張って稼いだ分を無闇に取らない」ことの方が、若者の「気持ちの景色」を明るくします。

Q. 少子化対策の本質は何だと考えますか?
少子化対策の本質は経済対策です。政府の少子化対策大綱には2012年頃から「若者の所得向上」が理念として掲げられていますが、具体的な政策としては実行されていません。その結果、若者の実質可処分所得は下がり続け、中間層が結婚できない状況を招いています。
若者の結婚率を上げるには、中間層の若者(全体の約40%)が抱える経済的不安に向き合う必要があります。彼らの半分でも結婚できるようになれば、婚姻数は大きく改善します。年間50万組の婚姻数を維持できれば、次の年に70〜75万人の子どもが生まれる計算になります。
そのためには、政治家や官僚が経済的不安のない上位3割の「お仲間」だけで考えるのではなく、中間層の4割の若者たちに向き合うことが必要です。彼らはサイレントマジョリティであり、不平不満を言わずに一生懸命働いています。この透明化された層にこそ、目を配るべきです。
さらに、若者自身も声を上げることが重要です。特に選挙に行かない若者が多い現状では、投票という行動で自分の声を反映させることが必要です。