
DAZN Japanの笹本CEOを質問攻め(前編)
DAZNはこれからどこに向かうのか?〜サッカーファンが期待する「第3の道」とは

Q. クラブワールドカップの独占配信権を取得した理由は?
FIFAからの話があり、DAZNとしてはグローバルでプラットフォームを運営している以上、世界で注目される試合としてクラブワールドカップが最も適していると判断した。

FIFAとの利害関係が一致したことが大きい。今回は世界同時配信であり、これまでは国によって複数のプラットフォームで配信・放送されていたが、1つのプラットフォームで行うのは初めての試みとなる。
Q. なぜクラブワールドカップを無料配信するのか?
FIFAができるだけ多くの人に見てもらいたいという意図があり、約2億人の視聴者を見込んでいる。クラブワールドカップは今回からフォーマットが変わるため、多くの人に見てもらうことが前提となっている。無料配信により広告収入を得るビジネスモデルを展開する狙いもある。
Q. 無料配信による経済効果はどのくらいと想定しているのか?
具体的な数字は明かせないが、経済効果というよりもFIFAとの関係を強化することが次につながると考えている。先行投資的な意味合いが強い。
Q. 次のサッカーワールドカップの放映権についてはどう考えているか?

時差の問題もあり、欲しいとは思いつつ悩んでいる状況。DAZNジャパンが決定権を持っており、アベマなど他社との競争になる可能性がある。
Q. DAZNのサッカー中継は今後どのように変わっていくか?
視聴体験を大きく変えていきたいと考えている。審判にカメラをつけたり、ハーフタイムに監督へのインタビューを行ったりするなど、新しい映像表現を模索している。

VARの判定もさらに進化する見通しで、AIの技術によってサッカー中継の見せ方は今後急速に変わっていくだろう。
Q. DAZNの番組作りについてどう考えているか?
試合中継だけでなく、解説番組も重要だと考えている。コアなファンからライトなファンまで広く楽しんでもらえるよう、さまざまな番組を提供していきたい。
現在は経営の安定に注力している段階だが、今後は番組制作にもより積極的に関わっていく予定だ。
Q. 「サッカー選手のDM問題」など炎上したコンテンツについてどう考えているか?
DAZNはコアなサッカーファンに支えられている一方で、新たなファン層を開拓する使命もある。ライトなスポーツファンを取り込み、コアなファンに育てる動線を作ることも必要だ。時に行き過ぎることもあるかもしれないが、幅広い層に向けたチャレンジは続けていきたい。
Q. DAZNの番組はもっと攻めた内容にするべきではないか?
サッカーは熱量が大切なスポーツであり、その熱量を維持し高めていくことが重要。番組の熱量が落ちていると感じるならば、それを高めていく必要がある。

ただし、攻めた内容を作る際には出演者を守るセーフティネットも必要だ。
Q. コアなファンとライトなファンの両方を満足させることは可能か?
「第3の道」はあると考えている。コアなファンには、スタッツ(統計データ)の見せ方などを工夫し、より深い視聴体験を提供する。一方でライトなファンには、選手の人間性が伝わるドキュメンタリーなどを通じてエンゲージしてもらう。両方が共存できるバランスと作り方、出し方を模索している。
Q. 視聴体験を向上させる新機能はあるか?
ファンゾーン機能では、視聴者が選んだ解説者の声を聞けるような実験をすでに行っている。また、審判視点のカメラなど新しい映像表現も検討中だ。FIFAとの交渉も進めており、これまでにない視聴体験を提供したいと考えている。
Q. クラブワールドカップの無料配信で、有料会員はどんなメリットがあるのか?
試合の模様は無料で視聴できるが、有料会員だけが見られる付加価値のあるコンテンツも用意している。

例えば、時差の関係からキャッチアップ視聴(見逃し配信)は有料会員限定にする予定だ。また、審判カメラの映像など特別なアングルからの映像も有料会員向けに提供していく。
Q. サウジアラビアからの資金調達について、その意図は?
DAZNはボクシングやテニスなどでサウジアラビアとの関係を築いてきた。その信頼関係が発展し、リアドのスポーツ配信やeスポーツの配信なども行うようになった。最近発表したサウジアラビアとのジョイントベンチャーも、中東での事業展開を視野に入れたものだ。
Q. 日本の若手選手が海外に出て行く中、Jリーグの価値をどう高めていくか?
Jリーグは日本サッカーの拠点として重要であり、その価値を高めていくことはDAZNのビジネスにも還元される。Jリーグのファン基盤を拡大していくことも重要なミッションだと考えている。
Q. サッカーのチームごとのパックは考えているか?
サッカーには「推し」の要素があると考えており、特定のチームや選手だけを見たいというニーズに応えるための機能を実験している。将来的にはチーム別のパッケージも検討していく可能性がある。
