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AI競争はGoogle一強か。一点突破から総合格闘技へ
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2025年5月29日

GoogleのAI進化による、AIの競争環境はどう変わるのか?Googleの一人勝ちになるのか?2025年のAI進化の5つのポイントをAlgomaticの大野峻典CEOに聞いた。 <ゲスト> 大野峻典|Algomatic CEO 東京大学松尾研究室で機械学習を専攻。卒業後、Indeedでソフトウェ...
AIの未来予測:2025年のトレンド5つとその影響
Google I/Oが発表したAIの進化を踏まえて、「2025年のAIトレンド」について、AI企業Algomaticの創業者兼CEO大野峻典氏が語った内容をまとめました。AI技術がより深く私たちの生活に浸透していく中、どのような変化が起きるのでしょうか。

Q. 2025年のAIトレンドとして挙げる5つのポイントとは?

1. 知らないから豊富な文脈理解へ
現在のAIアプリケーションはチャットサービスから始まりましたが、実用上では情報量の少なさが大きな問題でした。AIは頭が良くても、与えられる情報が不足した状態で問題を解かなければならないという状況だったのです。
実際には、多くの問題は文脈を理解すれば解決できます。この文脈理解を実現するための重要なキーワードが「マルチモーダル」「パーソナルコンテキスト」「XR」です。マルチモーダルによってAIは視覚や聴覚の情報を取得でき、パーソナルコンテキストで個人の履歴情報を理解し、XRによって継続的に存在することで文脈を理解できるようになります。
OpenAIのハードウェアスタートアップ買収なども、この文脈理解を強化する動きの一環と考えられます。
2. 研究から現実へ
2023年までは研究的な話題、特にモデルの性能向上についての議論が中心でした。しかし今回のGoogle I/Oでは、アプリケーションの話が圧倒的に多くなっています。
一般ユーザーが求めているのはモデル自体ではなく、生活や仕事の実際の課題を解決するアプリケーションです。市場は成熟し、焦点がアプリケーションにシフトしてきており、これによってAIの普及がさらに加速するでしょう。
3. 情報から行動へ
これまでAIに情報を聞いたり教えてもらったりすることが一般的でしたが、今後は「行動」に変わっていきます。いわゆる「AIエージェント」の登場です。
ユーザーは単に情報が欲しいわけではなく、タスクを終わらせたり目標を達成したいという動機でAIを利用しています。AIエージェントによって、そうした行動自体が代行されるようになります。
4. 使うから常時起動へ
現在はChatGPTなどのサービスをわざわざ開いて質問する形式が一般的ですが、今後は常に起動している形態に変わるでしょう。XRデバイスなどを通じて、AIが常にコンテキストを把握し、次の行動を予測して提案することが可能になります。
スマートフォンは常に持ち歩くデバイスとしては画期的でしたが、それでも取得できない情報領域が多く存在します。この「常時起動」を前提としたデバイスが、ポストスマホ時代の次のハードウェア市場の中心になるでしょう。
5. 1点突破から総合格闘技へ
2022年末にChatGPTが登場した際は、OpenAIによる「1点突破」の状況でした。しかし現在は、Googleのような企業による「総合格闘技」の時代に変わってきています。
もはや一つの分野だけでは戦えない時代になりつつあり、モデル、アプリケーション、デバイス、インフラ、データをすべて持つGoogleのような企業が総合的な戦い方をしているのが、市場の大きな変化です。
Q. GoogleとOpenAI、どちらが優位に立っているのか?
現状では、Googleが様々な面で優位に立っていると考えられます。インフラを所有しているためコストが安く、豊富なデータを持っているためパーソナライズが可能で、デバイスも持っているため消費者のコンテキストや設定も取得できます。
一方でOpenAIの強みは、AIサービスとしての認知度です。ChatGPTは広く使われており、AIというカテゴリーにおける認知度ではまだOpenAIが優位にあります。ただし、この認知度の差は時間の問題でひっくり返る可能性があります。
Microsoftについては、エンタープライズ向けの業務アプリケーションが得意な領域であり、その分野においては今後もOpenAIと組みながら、あるいは独自のCopilotサービスを展開していくと予想されます。
Q. スマートフォンの選択はAIの進化によって変わるのか?
今後はAndroidの方が便利になる可能性があります。Geminiのような高度なAIアシスタントと、画面読み取り機能など、Googleのサービスが統合されることで、使い勝手が大きく向上するでしょう。
現在はiPhoneの方が便利というイメージが強いですが、デバイスとモデル、その後の検索機能も統合されたGoogleのエコシステムは非常に使いやすくなると予想されます。単にデータを蓄積するという意味だけでなく、日常使用での便利さという点でも変化が起きる可能性があります。
Q. GoogleのAI検索は従来の検索ビジネスモデルをどう変えるのか?
従来のGoogle検索ビジネスモデルは、クリック課金(CPC)や広告表示に基づいていました。しかしAIが検索を代行する時代になると、人間がクリックしなくなるため、このビジネスモデルの前提は大きく変わります。
一方で、AIエージェントを通じてコンバージョン(購入や申し込みなど)に直接つながる可能性が高まります。Googleはバリューチェーンを広げ、コンバージョンまでサポートすることで、より高い付加価値を提供できるようになります。
これまでGoogleがAI検索に積極的でなかった背景には、既存のクリック課金ビジネスが減少するというイノベーションのジレンマがありましたが、今回の発表から、Googleはビジネスモデルを変革する意思を明確に示したと言えます。
Q. メディアビジネスはどのように適応すべきか?

SEOに依存したビジネスモデルは大きな変革を迫られますが、「AIオプティマイズ」という新たな概念が生まれる可能性があります。AIによって選ばれやすいコンテンツを作ることは、人の行動変容を促すという意味で価値があります。
メディアの対応としては、「AIに情報を提供する」派と「AIに情報を与えない」派の二つの戦略がありますが、長期的には前者の方が生き残る可能性が高いでしょう。人々がAIを媒介として情報を得るようになる中で、AIに情報を提供しないメディアは、「最も大きな店の棚に自分の商品がない」状態になってしまいます。
一時的な収益減少を受け入れてでも、早めにAIに対応した方が、次の市場で優位なポジションを獲得できる可能性が高いと考えられます。