
攻めの日本株11選/大川智宏×木野内栄治
トランプ相場を乗り切る!リスクに強い投資法と注目銘柄
不安定な相場でも安心して投資できる方法はあるのか?投資のプロが明かす「鉄壁の防御策」と「今こそ狙いたい銘柄」

Q: 今の相場環境でリスクを減らすにはどのような投資戦略が有効ですか?
今の相場環境で投資リスクを減らす際に考慮すべき点は、景気敏感銘柄には注意が必要だということです。景気敏感銘柄は値動きが非常に大きく、投資リスクが高いという特徴があります。投資初心者向けの安全な選択肢として、内需系・ディフェンシブ系の銘柄が推奨されます。
内需系・ディフェンシブ系の業種には、医薬品、情報通信、建設などがあります。これらは市場が荒れる時に相対的に強くなる傾向があります。一方、製造業、自動車、機械、資源などの外需系・景気敏感銘柄は値動きが激しく、下落時には大きく下がりますが、回復時には一気に戻すという特徴があります。

景気敏感銘柄のもう一つの利点は、事業内容が一般の個人投資家にもわかりやすいという点です。私たちの生活に密接に関連しているため、その会社がどのような事業を展開しているか、どのような状況で収益が上がりそうか、または下がりそうかを直感的に理解しやすいのです。
Q: 景気敏感銘柄のリスクを抑えつつ投資する方法はありますか?
景気敏感銘柄へのリスクを抑えながら投資する一つの方法は、「高配当利回り株」と組み合わせることです。配当は重要な特性を持っています。企業の利益が例えば50%減少しても、配当は必ずしもその割合で減少するとは限らず、むしろ維持されることが多いのです。
なぜなら、企業経営者は配当を減らしたり中止したりすると株価が大暴落することを理解しています。多くの投資家が配当目的で株を購入しているため、配当がなくなった瞬間に売りが集中することになります。これを「配当の下方硬直性」と呼びます。つまり、配当は利益に比べて下がりにくい性質があるのです。
このため、リスクの高い銘柄であっても、業績は変動しても配当は安定している可能性があります。これが一種のセーフティネットとなり、高配当利回り株を組み合わせることで投資リスクをある程度軽減できるのです。
Q: 高配当株を選ぶ際に気をつけるべきポイントは何ですか?
高配当株を選ぶ際には、単に配当利回りが高いというだけでは不十分です。まず考慮すべき重要なポイントは「どのように高配当利回りになったのか」ということです。配当が上がったのか、それとも株価が下がったのかという点が重要です。
配当は通常変化しにくいものです。もし利回りが上がっているとしたら、それは株価が下がった可能性が高いです。では、なぜ株価が下がったのでしょうか?何らかの問題がある可能性が高いです。株価が下がった銘柄には通常何らかのリスクがあり、そのリスクによって予想されている配当が実際に支払われるかどうかが不確かになります。
高配当株を選ぶ際のポイントは主に2つあります。まず「財務健全性」です。企業にお金があれば、業績が悪化しても配当を支払うことができます。次に「予想配当成長率」です。アナリストのコンセンサス予想で増配が見込まれている銘柄は、減配のリスクが低いと考えられます。
これら2つの要素を組み合わせると、高い配当利回りかつ高い配当成長率を持つ銘柄を選ぶことで、配当の信頼性が高まり、外需系銘柄であってもある程度安全に投資できる可能性が高まります。
Q: 具体的にどのようなディフェンシブな銘柄が注目されていますか?
今特に注目すべきディフェンシブ銘柄は、「中堅ゼネコン」と「中堅システムインテグレーター(SI)」です。これらはなぜ今注目なのでしょうか?
昨年までは大手ゼネコンの業績や株価が非常に好調でした。これはデータセンターの建設需要や国土強靭化、老朽化したインフラの需要増加などが要因です。大規模なプロジェクトが大手ゼネコンに集中していました。
しかし、2024年問題(労働時間規制)や慢性的な人手不足により、大手ゼネコンだけでは全てのプロジェクトをこなせない状況になっています。そのため、それらのプロジェクトが中堅ゼネコンに流れ始めています。

興味深いことに、昨年は中堅ゼネコン以下の業績は悪く、一部は赤字を計上していました。プロジェクト不足に加え、資材費や人件費の高騰で収益性が悪化していたのです。しかし現在、これらの企業は厳しい環境下で経営改善を進め、同時にプロジェクトが増加するという絶好のタイミングを迎えています。このため、中堅ゼネコンの業績上方修正が多発しています。
Q: システムインテグレーター(SI)が注目される理由は何ですか?
システムインテグレーター(SI)は「ITゼネコン」とも呼ばれ、その事業構造はゼネコンと似ています。大手が大きなプロジェクトを受注し、その中で回るという構造です。ゼネコンと同様の理由で、中堅SIにも注目が集まっています。
特にSI業界は景気悪化に非常に強いという特徴があります。景気が不安定になる時でも業績が安定的に推移します。これは「フロービジネス」と「ストックビジネス」の両方を持っているためです。フロービジネスは単発のプロジェクト、ストックビジネスは開発したシステムの保守・アップグレードです。
景気が悪化しても、すでに導入されたシステムは廃止されることは少なく、保守契約は継続されます。このため毎月・毎年安定した収入が入ってくるのです。このように景気に左右されにくいビジネスモデルを持つSI企業は、不安定な相場環境では特に魅力的な投資先となります。
Q: トランプ政権下での国際情勢変化を踏まえた長期投資テーマはありますか?
トランプ政権下での確実な変化の一つは「脱米国依存」の動きです。関税の導入により、程度の差はあれアメリカからの離脱は進むと考えられます。
アメリカ経済と企業業績はまだ強いままであり、ハイテク株の決算も予想以上に堅調です。特に注目すべきは、設備投資計画が落ち込んでいないことです。これはGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)などの大手テック企業が依然として強気であることを示しています。
しかし、今回のトランプ大統領の政策により、欧州を含む多くの国や地域がアメリカへの依存度を下げる動きを見せています。例えば、EU(欧州連合)の経済担当者は、他国との取引の可能性を模索していくと公式に発言しています。
このような国際情勢の変化を踏まえ、投資家は「他国への分散」を考慮すべきでしょう。一つの方法は、米国以外の国に投資できる投資信託を購入することです。
Q: 日本株で米国以外の国際展開をしている銘柄を見つけるには?
日本株の中で米国以外の国際展開をしている銘柄を見つけるためには、以下の条件で探すことができます:
- 海外売上高比率が高い(75%以上)
- 北米および米国の売上高比率が低い(5%未満)
このような条件で抽出すると、中国に展開している企業や、アジア地域に進出している半導体関連企業などが多く含まれます。米国から距離を置く投資戦略を考える場合、中国への投資を検討する投資家も多いでしょう。

また、欧州に関しては、今後ウクライナの復興需要が見込まれており、防衛関連の支出増加も予想されています。特に金属加工機械などの分野で日本からの輸出増加が期待されています。欧州関連の銘柄を押さえておくことも検討に値します。
興味深いことに、最近の相場では新興国、特にアフリカ諸国の株価が非常に強い動きを見せています。これは中国が支援している地域であることも一因と考えられます。長期的なポートフォリオ分散の観点から、新興国投資も検討する価値があるでしょう。
Q: まとめ
投資リスクを最小限に抑えるためには、内需系・ディフェンシブ系の銘柄を中心に据え、配当利回りの高い銘柄を組み合わせるという戦略が有効です。特に現在は中堅ゼネコンと中堅SIが注目されており、これらのセクターでは業績上方修正が多発しています。
また、長期的な視点では国際情勢の変化を踏まえ、米国以外の地域への分散投資を検討することが重要です。米国依存度の低い日本企業や、欧州・中国・新興国市場に展開している企業に注目することで、ポートフォリオの安定性を高めることができるでしょう。
不安定な市場環境でも、リスクを適切に管理し、長期的な視点で投資を続けることが成功への鍵となります。
