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老害になる人ならない人
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2025年4月25日

社会問題化するカスハラ・パワハラ。その背景には日本の「右脳老害社会」が関係していると、脳内科医の加藤俊徳氏は述べる。「老害」になってしまう人はどんな人なのか?ならないためには? <ゲスト> 加藤俊徳|脳内科医・医学博士 加藤プラチナクリニック院長。「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。発達脳科学・...
【老害を防ぐ8つの脳バンチとは?】脳科学で解明する「老害」の正体
老害とは単に年齢を重ねた人が若者を害するというだけではない。脳内科医の加藤俊徳氏によれば、老害は「少し先に経験した人が経験していない人に対して優越感を得たような態度と行動を示す」ことで、年齢に関係なく誰にでも起こりうる現象だという。老害の正体とその予防法を脳科学的に解明していく。

Q: 老害とは何ですか?
老害は一般的に「年を重ねた人が若い人たちの行動を妨げる人」と定義されますが、脳科学的には「少し先に経験した人が経験していない人に対して優越感を得たような態度と行動を示すこと」です。これは年齢に関係なく、小学生でも起こりうる現象です。
「お前これ知らないだろう」「昨日テレビでやってたよ」「SNSに書いてあったよ」「なんで知らないの?おかしいんじゃない?」といった態度はまさに老害の兆候です。このような言動は相手を傷つけるだけでなく、自分自身も成長を妨げてしまいます。
Q: 老害の種類にはどのようなものがありますか?
老害には大きく分けて「左脳の老害」と「右脳の老害」があります。
左脳の老害は私たちがよく思いつく頑固さや上から目線の態度などで、自分の考えや成功体験を他者に押し付けようとします。
一方、右脳の老害は「見て見ぬふり」をすることです。右脳は他人の感情を受け取る役割があるため、右脳の働きが弱くなると他人がどう感じようが無視できるようになります。特に日本社会は忖度を美徳とする「右脳老害社会」と言えます。

左脳と右脳それぞれの老害
Q: 老害のセルフチェック方法はありますか?
以下の項目に3つ以上当てはまると「老害プレステージ」、6~8個は「老害初期ステージ」、9個以上は「超老害ステージ」と考えられます。
1. 人の話を聞くより自分の話をする方が多いと感じることがある
2. 自分の成功体験を年下に押し付けがちになる
3. AIやデジタルツールなど、最新の技術を使うことに抵抗を感じる
4. 新しい音楽や映画を楽しむことが少なくなっている
5. 最新のニュースやトレンドに関心を持たなくなってきた
6. 自分と異なる意見を言う人に対してついついイラっとしたり反発しそうになる
7. 人に物を伝える時、口調がきつくなったり汚くなったりすることがある
8. 年下と会話をしていて、ジェネレーションギャップを強く感じることがある
9. 自分の外見への関心が薄れ、洋服や美容ケアなどの資質が減っている
10. 新しいことを始めようとするのがおっくうに感じる
ただし、チェックリストをやること自体が自己認知能力を示しており、「私は全然当てはまらない」と思う人こそ自覚のない老害である可能性があります。

Q: 脳バンチとは何ですか?
脳バンチとは、脳の各部位の機能を「町内会」のように8つに分けて考える概念です。それぞれのバンチが特定の機能を担当しており、どこかのバンチが弱くなると老害の症状が現れ始めます。
8つの脳バンチは以下の通りです:
1. 思考系(額のあたり):新しいことを考える
2. 感情系(右脳と左脳):他人の感情を受け取る(右脳)と自分の感情を知る(左脳)
3. 記憶系(海馬付近):記憶の保存と呼び出し
4. 伝達系(後頭部):情報を伝える
5. 理解系(頭頂部):情報を理解する
6. 聴覚系(耳の内側すぐ下):音を聞く
7. 視覚系(後頭部):見たものを認識する
8. 運動系(つむじから耳にかけて):体を動かす

脳内の8つのバンチ
Q: 思考系の脳バンチが弱くなるとどうなりますか?
思考系が弱くなると、「知らないこと」や「新しいこと」に対して否定的になり、「めんどくさい」と感じるようになります。過去の経験や成功体験に固執しやすくなり、「そんなこと変えなくてもいいじゃないか」という態度を取りがちです。
また、「偉い人が言っているからいい」と考え、より大きな力や権威にぶら下がる傾向が強まります。指示待ち人間になり、主体的に考えることをしなくなるのです。
予防法としては、主体的に考え、意思決定を自分でするように心がけることです。命令だから「やる」ではなく、自分はなぜそれをするのかを考える姿勢が大切です。
Q: 感情系の脳バンチが弱くなるとどうなりますか?
感情系が弱くなると、感情をコントロールできなくなったり、逆に他人の感情を無視したりします。例えば、上司が部下に対して嫌そうな顔や眠そうな顔をして「なんで今そんなこと持ってくるんだよ」と言うと、部下は傷つくものです。
また、部下に仕事を与えない、仕事を減らすなど「排除」することも感情的な老害です。こうした行動は相手に大きな精神的ダメージを与えます。
予防法としては、自分の評価を他人に委ねないことです。上司や周囲の評価に一喜一憂するのではなく、自分で自分の良さや1日の成果を自己評価し、点数化するといった習慣を持つと効果的です。
Q: 記憶系の脳バンチが弱くなるとどうなりますか?
記憶系が弱くなると、自分が知っていることが全てだと思い込み、新しい情報を受け入れなくなります。過去の記憶を繰り返す行動をするようになり、他人の意見や新しい情報を取り入れなくなります。
例えば、Z世代の若者が使う新しい言葉や表現に対して、理解しようとせず拒絶してしまうような態度がこれに当たります。
予防法としては、年齢に関係なく誰かから「教えていただく」という姿勢を持つことです。自分より若い人からでも、謙虚に学ぶ気持ちを持つことが重要です。
Q: 理解系と聴覚系の脳バンチが弱くなるとどうなりますか?
理解系が弱くなると、自分の理解を相手に押し付けようとします。新しいことを受け入れ、複数のことを頭の中で操作する能力が低下するため、「自分が育った状況ではこれはおかしい」と主張するようになります。
また、自分の立ち位置を理解できなくなり、例えばお客なのに店の社長のような態度を取るなど、メタ認知能力(自分を客観視する能力)が低下します。
聴覚系が弱くなると、長く相手の話を聞けなくなります。聞いた情報が記憶に残らないため、長い話になると「うるさい」「邪魔だ」と感じてしまいます。
予防法としては、普段から自分の立ち位置を客観的に見直す習慣を持ち、相手の話はコンパクトにまとめて聞くよう心がけることです。また、すぐに怒る人は理解系が弱くなっている可能性があるため、そうした人には愛情を持って接することが大切です。
Q: 老害と認知症の関係はありますか?
老害と認知症には重なる部分があります。認知症の多くはアルツハイマー型で、感情系と記憶系から衰えていきますが、初期の段階ではほとんど気づかないことが多いです。
記憶力の低下や老害の症状に気づかない状態は、認知症の初期症状と重なる部分があります。特に65歳を過ぎると、脳の働きに偏りのある「老害脳」なのか、認知症のサインが出ている状態なのか、区別がつきにくくなります。
また、妄想型の認知症など、若い時から記憶力以外の症状が現れる場合もあり、その場合は特に見分けが難しくなります。いずれの場合も、そうした症状を示す人には包容力と愛情を持って接することが大切です。
Q: 老害を防ぐ最も簡単な方法は何ですか?
老害を防ぐ最も簡単で効果的な方法は「8時間半寝ること」です。さらに重要なのは、決まった時間に寝て決まった時間に起きることです。
人間の脳には習慣性があり、規則正しい睡眠パターンがあると脳の働きが最適化されます。逆に、就寝時間や起床時間がバラバラだと、脳は混乱し、最大限に機能しなくなります。
例えば、平日は6時に起きて、週末は12時まで寝だめするような生活は、月曜日の朝が特につらくなります。これは前日12時まで寝た記憶が邪魔をするためです。理想的には日曜日も通常通りの時間に起き、足りない睡眠は土曜日にしっかり取るのがよいでしょう。
また、夕方6時以降の自分を信じないことも重要です。長時間覚醒していると脳はマックスで働きにくくなるため、夕方以降に重要な決断や難しい会話をすることは避けるべきです。こうした時間帯は自分の判断力を過信せず、重要な決断は翌朝の頭がクリアな状態で行うのが理想的です。
睡眠は老害防止の鍵
Q: 身近に老害の人がいる場合、どう対応すべきですか?
老害の傾向がある人には愛情を持って接することが基本ですが、それだけでは不十分な場合もあります。そのような場合は、以下の対応が効果的です:
1. 適切な距離感を保つ(接する時間を減らす)
2. 事実関係に基づいて会話する
3. 曖昧な指示や命令に対しては「もう一度確認させてください」と具体的にする
4. 第三者委員会になったつもりで冷静に事実確認をする
5. 自分が老害の影響を受けないよう、心の準備をしてから接する
老害の特徴を持つ人は、しばしば自分の思う通りに人を動かしたいという欲求があります。そうした人の言動パターンに乗らないよう注意し、冷静な距離感を保ちながら接することが大切です。
Q: 自分の脳を知るためにできることは何ですか?
自分の脳を知る最も直接的な方法はMRIで自分の脳を確認することです。これにより、自分の脳の現状を知り、未来予測や過去の自分の生き方との関連性を理解することができます。
また、日常的には以下のことを実践するとよいでしょう:
1. 毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる
2. 朝の時間を活用し、脳の覚醒が高い状態で重要な仕事をする
3. 夕方6時以降は重要な決断を避ける
4. 適度な運動で脳に良い刺激を与える
5. 新しいことに挑戦し、若い世代からも学ぶ姿勢を持つ
脳は使い方次第で変化します。老害を防ぐだけでなく、脳の能力を高め、より充実した人生を送るためにも、自分の脳を大切にし、正しく知ることが重要です。