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トランプ関税の次は「第二のプラザ合意」か?トランプ40代ブレーンの野望
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2025年4月9日

トランプの経済政策のブレーンとなっているのが、CEA委員長のスティーブン・ミラン。彼は論文の中で、どんな思想と政策を語っているのか?なぜ「第二のプラザ合意」を打ち出そうとしているのか?トランプ政権の経済思想を読み解く。 <ゲスト> 杉田弘毅|ジャーナリスト/明治大学特任教授 1957年生まれ。一橋...
トランプの「80年ぶりの高関税」が持つ重大な意味 — 通貨と防衛まで広がる交渉の可能性
米国が物価上昇の中、高関税政策を推し進める背景には、単なる貿易不均衡の是正以上の戦略がある。世界経済の地殻変動を読み解く。

トランプの関税政策の本質とは?「世界からの搾取」という認識
Q: トランプの関税政策はどのような認識から来ているのでしょうか?
トランプ政権下の米国では「アメリカは世界から搾取されている」という認識が広がっている。これはある種のマルクス主義的な見方だ。我々から見ると逆に「アメリカが世界を搾取している」ように見えるが、40代を中心とした世代の米国人には、グローバル化の恩恵を享受できなかったという強い被害者意識がある。
この世代は9.11テロ、イラク戦争、リーマンショック、中国のWTO加盟による産業空洞化という一連の出来事を経験してきた。彼らにとって、従来のグローバル貿易システムは中産階級や労働者階級を犠牲にして、一部の富裕層だけが恩恵を受けるものという認識がある。
トランプ政権の裏にいるブレーン — 「40代」世代の不満
Q: トランプ政権を支える思想的背景はどのようなものですか?
トランプ政権の重要なブレーンであるスティーブン・ミランは40代前半で、彼が昨年11月に発表した論文「世界の貿易システムを改革するためのガイド」に考え方がまとめられている。その核心は2点ある。
1. グローバル化は中産階級を犠牲にし、格差を広げてきた
2. アメリカは世界の安全保障を担い、他国は「ただ乗り」してきた
彼らの主張によれば、第二次世界大戦後、アメリカは欧州やアジアの復興を助けるために自国の関税を下げ、逆に他国が関税を上げることを許容してきた。また海軍がシーレーンを守り、基地を設置するなど、世界の安全を保障してきた。しかし、なぜアメリカが日本とドイツの貿易を守る必要があるのかという疑問が生まれている。

米国の「1940年代水準」の高関税はどれくらいのインパクトか
Q: トランプの関税政策はどの程度のものなのでしょうか?
米国の中立的シンクタンク「タックス・ファウンデーション」の分析によれば、トランプが実行しようとしている関税は20%近くになり、これは1937年頃の水準に相当する。第二次世界大戦後、自由貿易体制の下で関税は徐々に下がってきたが、これは米国の戦前の状態に戻すことを意味する。
米国は元々、所得税が低く、政府収入の多くを関税に依存していた歴史がある。所得税が1913年に始まるまで、関税が主要な財源だった。この歴史的な背景を理解することが、現在の政策を理解する上で重要だ。
「第二のプラザ合意」は起こりうるのか?
Q: 通貨面での第二のプラザ合意の可能性はありますか?
可能性は十分にある。1985年のプラザ合意では、日本と西ドイツが防衛面でアメリカに依存していたために、ドル安・円高政策を受け入れざるを得なかった。
現在のミランの戦略も「通貨安を実現している国々への対策」を明確に挙げている。2月に岸田首相がホワイトハウスを訪問した際、財務長官のスコット・ベセントが別室に呼び込んで通貨の話をしたと思われる。日本としては「円安是正のための介入」と説明しているが、米国側は「ドル安実現による円高」を求めている。
グローバル資本市場は1980年代と比べて格段に大きくなっており、政府が為替を完全にコントロールすることは難しくなっているが、米国はあらゆる手段を使ってドル安を実現しようとする可能性がある。

関税から防衛費まで — 拡大する交渉の範囲
Q: 米国の戦略は関税だけではなく防衛費にまで及ぶのでしょうか?
米国の交渉戦略は、これまでの貿易交渉と異なり、防衛分担と関税をカップリング(連動)させている。米国の安全保障専門家マイク・コルビーは、日本はGDPの3%を防衛費に充てるべきだと議会で証言している。
岸田首相の交渉カードとしては、対米投資(5年連続で世界トップ)、LNG(液化天然ガス)の購入、そして防衛費の増額があると米国側は見ている。防衛費増額は米国製兵器購入を意味するため、トランプにとって受け入れやすい提案となる。
米国が自動車に25%の関税を課す一方で、円高も進めば日本経済へのダメージは大きい。しかし、安全保障を優先するなら、経済的犠牲を受け入れざるを得ない可能性もある。
日本の対応策 — 危機をチャンスに変えられるか
Q: 日本はこの状況をどう乗り切るべきでしょうか?
今回の危機は、日本がアメリカへの依存度を見直す好機でもある。安全保障や貿易において、戦後80年間続いた対米依存を変える必要がある。
ロシアのプーチン大統領は「日本は独立国ではない」と評しており、真の独立国とは自国の安全保障を他国に任せていない国だという見方がある。日本は米国との関係を維持しながらも、独立性を高める努力が必要だ。
具体的には、核兵器に至らない高機能な防衛能力の強化や、韓国のような防衛産業の育成と輸出が考えられる。こうした取り組みは、皮肉にも地域の安定につながる可能性がある。中国から「怒らせてはいけない国」と認識されれば、抑止力として機能するからだ。
敗戦から80年を迎える2025年は、日本が「普通の国」になるための節目の年になるかもしれない。