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地方改革のセンターピンは何か?【石丸伸二×北九州市・武内市長】
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2025年3月27日

60年ぶりの人口増を記録した北九州市。衰退の流れをいかにして反転させたのか?「稼げる街」づくりのためどんな手を打っているのか?2023年より市長を務める武内和久氏と、石丸伸二氏に「地方改革のリアル」について語ってもらった。 <ゲスト> 石丸伸二|再生の道 代表 1982年広島県安芸高田市生まれ。2...
地方改革を成功させる2つの鍵 — "破壊と愛あるよそ者"
地方創生において本当に必要なのは「創造的破壊」と「愛あるよそ者」だ。北九州市長の武内和久氏と石丸伸二氏が語る地方改革の核心とは——。


Q: 地方改革を成功させるためのセンターピン(中心となる要素)は何だと考えていますか?
地方改革のセンターピンは「創造的破壊」と「愛あるよそ者」だ。
創造的破壊とはシュンペーターが言うイノベーションのことで、本質は「破壊」にある。新しいアイデアを生み出すことよりも、古い発想をやめることが難しい。経済学者ケインズも約100年前に「新しい発想そのものより、難しいのは古い発想をやめることだ」と述べていた。日本では特に「やめる」発想が欠けている。
「愛あるよそ者」については、外部の視点が地域の良さを再発見できる点が重要だ。北九州市出身ではない武内市長は「よそ者だからこそ良い意味での破壊ができる」と語る。地元の人には当たり前すぎて気づかない地域の魅力や可能性を、よそ者は新鮮な目で見ることができる。例えば、花から観光地になるかもしれないとか、小倉城でプロレスをするなど、従来の固定観念にとらわれない発想が生まれる。
Q: 地方政治特有のしがらみにどう向き合っていますか?
地方政治のクラシックなビジネスモデルは、飲食を共にし、口利きをし、各種行事に顔を出すことだと言われている。しかし、武内市長はこういった機会を減らし、オープンな場でフェアに話し合うことを重視している。
よそ者は地域の組織に組み込まれておらず、中立的に全体最適を考えられるという利点がある。一方、地元出身者は善意からであっても人間関係に絡め取られがちだ。地域の人間関係には温かい面もあるが、それに身を委ねすぎると全体最適の判断ができなくなる。
首長として重要なのは、当座の選挙や人間関係だけでなく、30年後、50年後の町を見据えた判断をすることだ。これはしばしば現在の地域の有力者との間に軋轢を生むこともあるが、その覚悟がなければ未来のための決断はできない。

Q: 地方議会や議員の理想的な役割とは何でしょうか?また現状の課題は?
地方議員の重要な役割は「メディア的要素」を持つことだ。具体的には、行政で決まった内容を噛み砕き、その意味を市民に伝える役割と、市民の抱える問題を吸い上げて行政に伝える役割だ。
しかし現状では、多くの議員が「有権者の声を聞く」と言いながら、実際には自分の周囲の心地よい場所で声を聞いているに過ぎない。また、議決を経て決まったことを市民全体に伝える役割がほとんど果たされていない。
民主主義は代表が多数決で決める仕組みだが、例えば51対49で決まった場合、49側を支持した市民にも決定の理由を説明し理解を得る必要がある。それが行われないために議論が前に進まず、「勝手に決めた」という不満が生まれる。
理想的な議員は、政治家らしさに頼らず、情報発信力を持ち、政策の背景や意義を市民に伝えられる人材だ。

Q: 行政組織や公務員の力をどう引き出していますか?
公務員は非常に誠実で一生懸命働く集団だが、「ちゃんとやって当たり前、トラブルを起こすとボコボコにされる」という恐怖の中で生きているため、挑戦したがらない傾向がある。武内市長はこのマインドセットを変えるため、挑戦して成功した事例を組織全体でプレイアップし、お礼状やサンキューカードを出すなどの取り組みを行っている。
行政組織は上からの指示がトップダウンで現場まで伝わる仕組みになっているため、トップの姿勢が重要だ。首長が「最後は自分が責任者だ」という覚悟を示すことで、職員も自信を持って仕事ができるようになる。
市民からの苦情や要望は現場の担当者ではなく、責任者である部長に伝えるべきだ。現場の人に文句を言っても、その人は責任を取れる立場にない。組織のトップが責任を持って対応する体制を作ることが重要である。

Q: 東京以外の地方都市が生き残るために、どのような戦略が必要ですか?
地方の生き残り戦略として「非東京エンタメ」が重要だ。世の中は正しい理屈を言って理解されるほど甘くない。理屈が正しければ理解されるという時代は終わり、心がワクワクすることが重要になっている。
地方は東京とは全く異なる非日常に満ちている。その非日常性、例えば田舎の風景や独特のキャラクターを持つ人々、危なっかしい体験など、地方ならではの魅力を磨いて面白さを提供することが大切だ。
「非東京」という意識も重要で、東京との比較ではなく自分たちの良さを見つけて発信すべきだ。全国が東京の劣化コピーで溢れており、東京の中ですら23区が均質化している。東京と比較して勝ち負けを競うのではなく、「東京ではない」ことを前提に、自分たちの強みに向き合うべきだ。
大学の地方分散も重要な戦略だ。東京の大学が地方に進出することで、若者の流出を防ぐ効果がある。例えば慶應義塾大学が北九州に分校を作れば、地元も盛り上がり、九州にいながら「慶應ボーイ・ガール」になれる環境ができる。
九州は特に「反骨心」があり、「ワン九州」という意識で東京とは異なる文化や経済圏を作る動きがある。九州は台湾など海外との連携も強く、アジアへのゲートウェイとしての可能性も持っている。「第二首都構想」として、災害リスクの低さなどから九州が日本の西の拠点になり得るという提案もある。
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地方創生には「創造的破壊」と「愛あるよそ者」の力が必要だ。古い発想にとらわれず、地域の良さを新鮮な目で再発見し、しがらみを超えて全体最適の判断ができる人材が地方を変える。議会や行政組織も従来の役割を見直し、市民との対話と情報発信を強化すべきだ。そして地方の生き残り戦略として、東京との比較ではなく独自の魅力を磨き、「非東京エンタメ」を提供することが重要である。