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妊娠・産後は足の危険サイン
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2025年3月22日

ビジネスパーソンのための体・心の鍛え方を一流の専門家から学ぶ。妊娠、出産、更年期、閉経によって、女性の足にどんな危険が迫っているのか? <ゲスト> 久道勝也 下北沢病院理事長 略歴 1993年獨協医科大学卒業 同年に順天堂大学皮膚科入局 2007年ジョンズ・ホプキンス大学客員助教授。 2009...
女性の足の悩み、解決のカギは「靴選び」と「歩行」にあり
女性の足のトラブルは男性の4倍も多いと言われています。特に妊娠・出産や更年期といった女性特有のライフイベントが大きく影響しています。扁平足、外反母趾、むくみなど、多くの女性が抱える足の悩みには、適切な靴選びと日常的な運動が大切です。足をきちんとケアすることで、将来の健康トラブルを防ぐことができるのです。

Q. 女性の足のトラブルはなぜ男性より多いのですか?
女性の足のトラブルは男性と比較して約4倍も多いとされています。これには女性特有のライフイベントが深く関わっています。特に「妊娠・出産」と「更年期から閉経にかけて」の2つの時期は、女性の足の"2大変革期"と言われています。
まず妊娠・出産時には、「リラキシン」というホルモンが分泌されます。これは骨盤周りを緩めて出産をしやすくするためのホルモンですが、全身の関節や靭帯も緩める作用があります。そこに体重増加が加わることで、足のアーチが潰れて扁平足になりやすくなります。
また妊娠中は血流にも大きな負担がかかります。体重増加による静脈圧の上昇に加え、お腹の赤ちゃんが足からの血流を妨げるため、むくみが発生します。ひどい場合は静脈瘤や治りにくい皮膚炎である「うっ滞性皮膚炎」にもなりかねません。
出産後もこれらの問題が完全に元に戻るわけではなく、変化を抱えたままその後の人生を過ごすことになります。

Q. 扁平足はどのような問題を引き起こしますか?
通常、私たちが歩く時は足のアーチを柔らかくしたり固くしたりを繰り返しています。扁平足とは、このアーチが潰れた状態のことを指します。
扁平足になると各関節に過剰な負荷がかかるため、関節が変形したり、ダメージを受けて炎症を起こしたりして痛みの原因となります。これは先天的な要因と生活環境による後天的な要因が組み合わさって生じます。
後天的な部分については、生活習慣の改善や適切な靴の選択、運動によって改善が可能です。特に重要なのが「インソール」の使用です。インソールは特に内側縦アーチを支え、足の変形をこれ以上進行させないよう保護します。

Q. 靴選びでどのような点に注意すればいいですか?
女性の場合、ハイヒールの問題が特に重要です。ハイヒールを常用している人はアキレス腱が約1.3cm短縮することがわかっています。これによって足首の関節が硬くなり、様々な問題の原因となります。
もしハイヒールを履く必要がある場合は、次のポイントに注意しましょう:
- ピンヒールよりもチャンキーヒール(太いヒール)を選ぶ
- ヒールの高さは7〜8cm以下に抑える
- 痛む場所にはジェルパッドなどを使用する
- 足先の形状に合ったトゥーボックス(つま先部分)のものを選ぶ
理想的には、通勤などの日常使いではスニーカーなど足に負担の少ない靴を選び、特別な機会にのみハイヒールを履くようにするとよいでしょう。
スニーカーを選ぶ際には、次の4つのチェックポイントが役立ちます:
1. 「置く」:靴を平らな面に置いたとき、かかとが垂直になっているか
2. 「つかむ」:かかと部分をつまんでみて、簡単に潰れないか
3. 「曲げる」:蹴り出しの部分(つま先部分)だけが適度に曲がるか
4. 「ねじる」:靴全体をねじったときに適度な剛性があるか
また、靴のサイズは年齢とともに変化することも覚えておきましょう。特に足が扁平化して横幅が広がる傾向があります。適切なサイズの靴を選ぶためには、むくみの出る夕方に靴を購入することをおすすめします。
Q. 足のむくみの原因と対策を教えてください
むくみには様々な原因があります。心不全、腎機能低下、肝不全、甲状腺機能障害、血栓症、静脈瘤、薬の副作用など多くの要因が考えられます。しかし、実際に医療現場で最も多いのは「特発性浮腫」、つまり動かないことが原因のむくみです。
足の血流は「ふくらはぎの筋肉」(第二の心臓とも呼ばれる)が収縮することで心臓へ戻ります。座りっぱなしや寝たきりの状態ではこのポンプが機能せず、血液やリンパ液の滞りが起こり、むくみの原因となります。

むくみ対策としては以下が効果的です:
1. 適切な運動:特に歩行が重要です。ふくらはぎの筋肉を使うことで、血流とリンパの流れを促進します。
2. ふくらはぎのマッサージ:足首から上に向かって、血流やリンパの流れに沿った方向でマッサージをします。
3. 足を高く上げる:足を心臓より高い位置に上げることで、重力を利用して血液の戻りを助けます。例えば、寝るときに足の下にクッションを入れるなどの工夫が有効です。
4. 医療用弾性ストッキング:足首部分が強く、上に行くほど圧が弱くなるように設計されたストッキングを使用することで、血流の戻りを助けます。
5. アキレス腱のストレッチ:壁に手をついて、足を後ろに引き、前足の膝を曲げることでアキレス腱を伸ばします。この際、つま先は前を向けるようにし、リラックスした状態で行うことが大切です。
Q. 日常的に実践できる足のケア方法はありますか?
足のケアの基本は3つです:
1. 保湿:顔や手と同様に、足の皮膚も
適切に保湿することが重要です。
2. むくみ対策:医療用弾性ストッキングの使用と適切な歩行・運動を心がけましょう。
3. 適切な靴選び:足にフィットした、足のアーチをサポートする靴を選びましょう。
さらに、毎日お風呂に入ったときに足をチェックする習慣をつけることで、早期に問題を発見できます。また、正しいフォームで歩行する習慣は、長い目で見て足の健康に大きく貢献します。
歩行量については個人差があるため、一概に「1日何歩」という目標は設定しません。大切なのは、翌日まで痛みが残らない程度の量を、無理なく継続することです。少しの歩行でも意味があるので、自分のペースで続けることを心がけましょう。
足は私たちの体を支え、人生を共に歩む大切なパートナーです。適切なケアで足を労わり、健康で快適な生活を送りましょう。