
再び円安局面に/佐々木融×朝倉慶×柴田阿弥
円安ショック!専門家が語る「日本円」崩壊の恐怖
「もう海外はだんだん行けなくなってくると思いますね」「実質金利がマイナスなのは世界中で日本だけ」。こんな衝撃的な発言が飛び交う中、経済アナリストの朝倉慶氏と佐々木融氏が2025年の為替見通しと、その背景にある日本経済の構造的問題を解説。歴史的な円安トレンドが続く中、私たちはどう資産を守ればいいのか?

Q: 2025年全体で見ると、為替はどうなっていくと見ていますか?
円安基調が続く見通しです。佐々木氏は「170円で止まるとは思っていないので、状況が変わらなければさらに円安が進む」と予測しています。現在、円は主要10通貨の中で最弱レベルで、これは過去30年間で初めての状況です。通常、ドルと円は同じ方向に動く傾向がありますが、ここ4年間は完全に乖離しています。
Q: 短期的な為替の動きはどうなりそうですか?
短期的には円高方向に動く局面もありそうです。現在、海外の投機筋が「日銀の利上げで円高になる」と予想して円の買いポジションを大量に持っています。これは歴史的な水準で、いずれ巻き戻しが起こると、一時的に10円程度の円安に振れる可能性があるとのこと。タイミングとしては3月中か4月頃と見ています。
Q: なぜ円だけがこれほど弱くなったのでしょうか?
円が弱くなった主な理由は、実質金利のマイナス化です。実質金利とは名目金利からインフレ率を引いたもので、日本ではマイナス3%程度になっています。朝倉氏によれば「実質金利がマイナスなのは世界中で日本だけ」であり、「現金を持っていればいるほど目減りする」状況です。

Q: 日本の金利はなぜ上がらないのですか?
国債残高が膨大なため、金利が上昇すると利払い費が増大し、財政が立ち行かなくなるからです。過去の国債発行は金利低下の環境で行われてきたため「利払い費が減った→さらに国債発行できる」という悪循環に陥っています。金利上昇を止めざるを得ない構造的問題があります。
Q: インフレはなぜ続くのでしょうか?
少子高齢化による人手不足が根本的な原因です。現在20代の人口は60代の8割、10代の人口は50代の6割、10歳未満は40代の5割しかおらず、今後さらに労働力は減少します。企業は人を確保するために賃金を上げざるを得ず、それに伴い商品・サービスの価格も上昇。このインフレ圧力は今後も続く見通しです。
日本経済の構造変化が危機を招く

Q: ドルが構造的に強くなっている背景は何ですか?
3つの要因があります。1つ目は保護主義政策の強化。トランプ政権からバイデン政権に引き継がれた「アメリカで生産せよ」という方針が強まり、高金利でも企業はアメリカに投資せざるを得ない状況です。2つ目はITセクターとAI関連でのアメリカ企業の一人勝ち。ナスダックの時価総額は過去1年で750兆円も増加しており、これは日本のGDP(約600兆円)を上回ります。3つ目はコロナ禍でのマネーストックの急増。アメリカの企業・個人の預金量が2年間で4割も増え、まだその効果が続いています。
Q: 日本の貿易構造にも問題があると言いますが?
従来は黒字だった貿易収支が赤字に転じています。エネルギー輸入額の増加だけでなく、電気機器など従来日本が得意としていた分野も赤字に。さらに、デジタル収支の赤字(7.7兆円)がインバウンド観光収入(5.9兆円)を上回り、日本から外貨が流出する構造になっています。YouTubeやGoogle、Amazonなど海外企業のプラットフォームに支払うお金が日本から出ていく一方です。
Q: このまま行くと日本は通貨危機になる可能性があるのでしょうか?
佐々木氏は「日本が変わらなければ通貨危機になる可能性がある」と指摘しています。歴史的に見ると、1932年の高橋是清財政からの教訓があります。当時も国債を日銀が引き受ける「財政ファイナンス」が行われ、結果的に1ドル4.86円だった為替が戦後に360円になりました。現在も似たような状況で、「財政ファイナンスはやめられないからやってはいけない」のに、もう後戻りできない状況にあるとのこと。

Q: 個人としてはどのような対策を取るべきですか?
朝倉氏は「現金を持っていれば持っているほど目減りする時代。株を買うことによってこの危機を乗り越えられる方になってほしい」と助言しています。住宅ローンは変動より固定金利を推奨。佐々木氏も若手の同僚に「銀行から貸してもらえる最大額で家を買った方がいい。ただし固定金利で」とアドバイスしているそうです。インフレの世界では「お金を借りて資産を買っている方が得」になる傾向があります。
Q: 投資する際の注意点はありますか?
両氏とも「レバレッジ(借金して投資すること)はかけない方がいい」と強調しています。朝倉氏は若い頃「常に最高のレバレッジをかけて、天国と地獄ばかり見ていた」と振り返り、自己資金内での投資を勧めています。
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現金の価値が目減りし続ける時代、私たちの資産防衛策は早めの行動にあるのかもしれません。円安トレンドは今後も続く見通しですが、経済の構造変化を理解し、適切な対策を取ることが重要です。
