
株価は再び上昇局面へ/朝倉慶×柴田阿弥×佐々木融
「5万円まで行く可能性が十分ある」日経平均株価は今後どうなる?
現金の価値が下落し続ける時代に、私たちはどう資産を守ればいいのか。経済アナリストの朝倉慶氏と佐々木融氏に株式相場の見通しを聞いた。

Q. 最近の日本株と米国株が下落している原因は?
株式市場が下落している原因はいくつかあります。米国では「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるテスラ、アップル、アマゾン、NVIDIA、マイクロソフト、フェイスブックといった人気銘柄が中心に上昇してきましたが、テスラやNVIDIAなどの人気株が下落し始めたことが影響しています。
この背景には、トランプ政権による関税政策に対する不安感があります。トランプ氏の発言が日によって変わることで、投資家が中長期的な見通しを立てにくくなっています。投資は先が見えることが重要ですが、この不確実性が市場を冷やしています。
また、アメリカの経済指標が弱含みになってきていることも影響しています。特に雇用面や消費面でのデータが懸念材料となっています。関税の引き上げによる物価上昇への懸念から企業が雇用に慎重になり、景気減速懸念が広がっています。

Q. 今後の株価はどう動くと予想される?
朝倉氏は「相場は上昇局面であることに変わりはない」と断言しています。現在は一時的な調整局面と考えられ、長期的には上昇トレンドが続くと見ています。
その理由として、世界的な財政拡大の流れを指摘しています。欧州ではドイツが財政規律を緩和し、防衛費として128兆円を投入する方針を示しました。日本でも財政出動への期待が高まっています。こうした財政拡大の流れは世界的なトレンドとなっており、これが株価上昇の原動力になると分析しています。
朝倉氏は「日経平均は今年5万円に行く可能性が十分ある」と予測しています。現在の水準から2割〜25%上昇すれば5万円に到達するため、一度動き出せば十分可能だと分析しています。

Q. なぜ株価が上昇すると予想するのか?
株価上昇の根本的な理由はインフレにあります。政府が財政出動を行い、中央銀行が国債を買い入れることで世界中でお金の量が増加しています。これにより名目上の企業業績や税収が拡大し、結果として株価が上昇すると分析しています。
朝倉氏は「企業業績が4年連続で過去最高を更新している」「税収も4年連続で増加している」と指摘し、実体経済のファンダメンタルズが良好であることを強調しています。
また、今春の春闘では連合が6.09%の賃上げを要求し、多くの上場企業が満額回答する見通しです。朝倉氏は「景気が悪いなら6%の賃上げなんかできるわけがない」と述べ、実体経済は実際には好調であると分析しています。
Q. 日本銀行の金融政策はどうなる?
日本銀行は金融引き締めに動き始めていますが、朝倉氏は「金利引き上げの余地は限定的」と指摘しています。現在の政策金利は0.5%ですが、日本の消費者物価指数は4%前後で推移しています。
朝倉氏は「4%のインフレ率に対して、金利を4%まで引き上げることはできない」と分析しています。日銀は金利を少しずつ引き上げる可能性はありますが、インフレ率に見合う水準まで引き上げることは困難であり、実質金利はマイナスの状態が続くと予想しています。
佐々木氏も「インフレに金利が追いつかない状況」が続くという見方で一致しています。このような環境下では、現金の価値が実質的に目減りし続けることになります。

Q. 投資を始めるべき理由は?
朝倉氏は「あなたの持っている現金が暴落しているから」と説明しています。日本はこれまで30年以上デフレ状態が続いてきましたが、現在はインフレ局面に入っています。物価上昇率が2%を超える状況が続き、銀行預金の金利はほぼゼロであるため、現金は実質的に価値が減少し続けています。
佐々木氏も「現実は好きか嫌いかに関わらず直面しなければならない」と述べ、これからは投資を通じて資産を守ることを考える必要があると強調しています。
朝倉氏は「本来は投資に向かない人はやらない方がいいのかもしれないが、しかたがない」と述べています。日本人の中には投資で儲けるより働いて儲けるべきだという考え方があり、投資に対する心理的ハードルが高い人も多いですが、インフレから資産を守るためには投資が必要だと説明しています。
Q. どのような投資戦略がおすすめ?
具体的な投資戦略としては、時間的・対象的分散が重要だと両氏は指摘しています。佐々木氏は「投資対象を分散するだけでなく、投資するタイミングも分散させるべき」と助言しています。一度に大きく投資するのではなく、少しずつ投資することで、価格変動リスクを抑えることができます。
セクター別では、佐々木氏は「円安の恩恵を受ける輸出企業や海外に資産を多く持つ企業」「金利上昇の恩恵を受ける金融株」を推奨しています。朝倉氏も金融株、特にメガバンクが有望だと分析しています。ただし、国債などの債券に偏った投資をしている金融機関については注意が必要だと指摘しています。
朝倉氏は「インフレに対応できる企業が利益を得る」と述べ、時代の変化に適応できるかどうかが重要なポイントになると強調しています。
Q. 今後の為替相場はどうなる?
佐々木氏は「円安基調が続く」と予想しています。その理由として、日本の実質金利がマイナスであることを挙げています。実質金利とは名目金利からインフレ率を差し引いたもので、日本の場合は大きなマイナスになっています。これが円の価値を押し下げる要因となっています。
佐々木氏は「インフレの世界ではお金を借りて資産を買った方が得」と説明し、自宅を購入する場合も銀行から借りられる最大限まで借りて購入した方が良いとアドバイスしています。
Q. 投資を始める日本人が増えるとどうなる?
朝倉氏は「日本人が本気で株を始めたら大騒動になる」と予測しています。日本には約1100兆円の個人金融資産があり、その1%でも2%でも株式市場に流入すれば、市場は大きく動く可能性があります。
現状では日本人の多くはまだ保守的で投資に積極的ではありませんが、特に50代、60代以上の資産を持つ世代が本格的に投資を始めれば、市場は大きく変化すると分析しています。朝倉氏はこの動きが本格化するまであと3年ほどかかると予想していますが、早めに投資を始めることが重要だと強調しています。
