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歩くだけでは健康になれない【大事なのは歩く速さ】
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2025年3月11日

ビジネスパーソンのための体・心の鍛え方を一流の専門家から学ぶ。寿命・IQ・発想力・がんリスク・糖尿病リスクは歩行速度によって変わる?最新論文を基に解説。 <ゲスト> 久道勝也 下北沢病院理事長 略歴 1993年獨協医科大学卒業 同年に順天堂大学皮膚科入局 2007年ジョンズ・ホプキンス大学客員...
「歩き方」が寿命を21年も変える!? 最新医学が明かす足のトリビア
歩くことは私たちが日常的に行う基本的な動作だが、実はその歩き方が寿命や知性、容姿にまで影響を与えているという驚きの研究結果がある。足病医療の専門家が明かす「正しい歩行」の秘密とは?


Q: 筋力、歩く速さ、肥満度のうち、寿命と一番関係があるのは何ですか?
寿命と最も関係があるのは「歩く速さ」です。イギリスで行われた47万5000人を対象とした10年間の大規模調査によると、歩行速度が速い人は寿命が長いという結果が出ています。具体的には、早歩きの習慣がある女性は平均88歳、男性は85〜87歳まで生きるのに対し、歩くのが遅い人は女性で72歳(15歳短縮)、男性では64.8歳(21歳短縮)という衝撃的な差が見られました。
Q: 具体的に、どれくらいの歩行速度が健康に良いのですか?
健康寿命の達成率で見ると、以下のような差があります:
- 時速3.2km未満(ゆっくり歩き)の人を基準(1)とすると
- 時速3.2~4.8kmの普通の速さで歩く人は1.9倍
- 時速4.8km以上のやや早歩きの人は2.7倍
時速4.8kmという速度は、不動産広告で表示される「駅から徒歩○分」の計算に使われる速度です。自分の歩く速さを知りたい場合は、実際に駅までの時間を測り、広告の時間と比較してみると良いでしょう。

Q: 歩き方は脳や知性にも影響するのですか?
歩行は認知機能やメンタルヘルスにも大きな影響を与えます。ニュージーランドで1973年に生まれた約1000人を45歳まで追跡した研究によると、歩行速度が速い人は45歳の時点ですでに知性や容姿にも良い影響が現れていました。これは高齢になってから差が出るのではなく、中年期にはすでに明確な違いが生じていることを示しています。
歩くという行為は、足の裏の圧センサーが地面の状態を感じ、その信号が脳に送られ、バランスを取りながら次の一歩を予測するという高度な脳の働きを必要とします。この繰り返しが認知機能の維持・向上に貢献していると考えられています。
Q: 歩きながら考えると創造性が高まるというのは本当ですか?
スタンフォード大学の研究では、座ってブレインストーミングする人と歩きながらブレインストーミングする人を比較したところ、トレッドミルで歩いている人はアイデアの質も量も2倍だったことが分かっています。
興味深いのは、この効果には「持ち越し効果」があるという点です。歩いていた人がその後座っても、アイデアの質と量は1.8倍程度と高い状態を維持しました。これは朝の散歩が一日中の脳の活動を高める可能性を示唆しています。
Q: 正しい歩行フォームとはどのようなものですか?
正しい歩行フォームの基本は「重心をぶらさないこと」です。人間の体の重心は丹田(お腹の下部)あたりにありますが、この重心が左右・上下・前後に大きく動かないように歩くのが理想です。
具体的には以下のポイントを意識しましょう:
- 思っているより小股で歩く(大股だと重心がぶれやすい)
- かかとから着地して、蹴り出す時に親指の付け根部分を少し意識する
- かかとをついた時には膝が伸びている状態を作る
正しい歩行フォームを身につけることで、関節への負担が減り、怪我や痛みのリスクが低減します。また、エネルギー効率が良くなるため、長距離を歩いても疲れにくくなります。

Q: 足のアーチはなぜ重要なのですか?
足には主に二つのアーチがあります。一つは土踏まずの部分のアーチ、もう一つは中足骨の骨頭の部分のアーチです。これらのアーチが適切に機能することで、蹴り出す際の荷重バランスが均等にかかり、効率的な歩行が可能になります。
特に注意すべきなのはアキレス腱の硬さです。アキレス腱や足首の関節が硬いと、正常な歩行が妨げられ、足のアーチが潰れてしまいます。これにより扁平足や外反母趾などの問題が生じやすくなります。アキレス腱のストレッチを定期的に行い、足関節の可動域を保つことが重要です。
Q: 足の健康を守るために日常生活でできることは何ですか?
足の健康を守るためには以下のことを意識しましょう:
1. 正しい歩行フォームを身につける
- 重心をぶらさずに歩く練習をする
- 必要に応じて後ろ歩きも取り入れる(親指を意識しやすくなる)
2. 足関節の柔軟性を維持する
- アキレス腱のストレッチを定期的に行う
- 足首の可動域を広げるエクササイズを取り入れる
3. 適切な靴選び
- 自分の足のアーチをサポートするインソールが入った靴を選ぶ
- 正常歩行をしやすい靴を選ぶ(過度にロッカーがきいた靴は避ける)
4. 歩行習慣を身につける
- 早歩きを心がける(時速4.8km程度)
- 毎日一定時間の歩行を習慣化する
Q: 足病学とはどんな分野ですか?
足病学(ポダイアトリー)は足と歩行に特化した専門医療分野です。欧米では一般的ですが、アジアではまだ広く認知されていません。足病医療では、足を一つの臓器として捉え、皮膚、血管、骨、筋肉、神経など足に関するあらゆるトラブルをワンストップで診断・治療します。
足の健康寿命は約50年と言われており、50歳を過ぎると何らかのトラブルが出始めます。しかも足のトラブルは一か所だけでなく、複合的に現れることが多いため、総合的な視点で診る足病医療が重要になります。
Q: 女性は特に足のトラブルに注意する必要があるのですか?
女性は男性に比べて4倍も足のトラブルを抱えやすいと言われています。特に妊娠・出産期と更年期が「足の2大変革期」とされ、この時期に足のトラブルが生じやすくなります。
また、ハイヒールを日常的に履く女性はアキレス腱が1.3cmも短縮してしまうことが調査で分かっています。これにより足のアーチが崩れ、様々なトラブルの原因となります。足のアーチをサポートするインソールの使用や、適切な靴選びが女性にとって特に重要です。
Q: せっかちで早歩きな人は健康面でメリットがあるのですか?
せっかちで早歩きの習慣がある人は、健康面では実はメリットがあります。ただし、単に速く歩けばいいというわけではなく、正しいフォームで歩くことが重要です。フォームが悪いと、速く歩いていても関節への負担が大きくなり、かえって故障のリスクが高まります。
理想的なのは、正しいフォームを意識しながら、キビキビと歩く習慣を身につけることです。このバランスが取れれば、寿命や健康寿命の延長、認知機能の維持・向上など、多くの恩恵を受けられるでしょう。
Q: この記事から学べる「足の健康」のまとめは?
足は私たちの健康のバロメーターであり、ホームドクターになり得ます。足の健康を維持することは、単に歩行機能を保つだけでなく、寿命や認知機能、全身の健康に大きく関わっています。
足の健康を維持するためのポイントは:
1. 正しい歩行フォームを身につける(重心をぶらさない)
2. 適度な早さ(時速4.8km程度)で歩く習慣をつける
3. 足のアーチを保ち、アキレス腱や足首の柔軟性を維持する
4. 自分の足に合った適切な靴を選ぶ
歩くという基本的な動作を見直すことで、私たちはより健康で長い人生を送ることができるかもしれません。足からのサインを見逃さず、足を味方につけて人生の質を高めていきましょう。