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2025年2月19日

ビジネスパーソンのための体・心の鍛え方を一流の専門家から学ぶ。欧米で話題の8ー10時間ダイエット、そのやり方と効果を科学的根拠を基に解説いただいた。 <ゲスト> 田原優/広島大学大学院 医系科学研究科 准教授 早稲田大学理工学部、同大学大学院先進理工学専攻卒業。博士(理学)。2015年より早稲田大...
「食べたいものを食べても太らない」そんな夢のようなダイエット法が存在するとしたら?時間栄養学という分野の研究から支持される「8時間ダイエット」は、食べるものではなく「食べる時間」に着目したダイエット法。欧米では多くの論文が発表され、その効果が科学的に証明されているという。今回は時間栄養学研究者の田原優氏に、食事の時間を制限するだけで痩せられる理由を聞いた。

時間栄養学的ダイエットとは、食べる時間によって太りやすさが変わるという考え方に基づいたダイエット法です。中でも科学的根拠が多いのが「8時間ダイエット」です。これは1日のうち8時間だけに食事時間を限定し、残りの16時間は断食(ファスティング)する方法です。
この方法は最初にネズミでの実験から始まりました。ネズミにステーキのような高脂肪食を与えると通常は太ります。しかし、夜間(ネズミが活動する時間帯)の8時間だけに食事を制限すると、同じ高脂肪食をどれだけ食べても太らないという驚きの結果が得られました。これが「なんだこれは」という疑問を引き起こし、人間でも同様の研究が行われるようになりました。
人間を対象とした研究でも同様の効果が確認されています。通常、人は14時間以上かけて食事をしていることが多いのですが、これを8〜10時間に短縮することで、体重減少や血圧改善などの効果が得られています。欧米ではこの方法に関する多くの論文が発表されています。
重要なのは、この方法では食べるものに制限がないことです。ファスティングの時間を長く取ることが大切で、これによって体内時計のメリハリが良くなります。
ダイエット効果だけを考えると、朝食を抜いても夕食を抜いても同じ効果があります。多くの研究を比較したメタ解析でも、どちらを抜いても体重減少の効果はほぼ同じという結果が出ています。
ただし、夕食を早めるか抜く方が、血圧低下やインスリン抵抗性の改善により効果的という研究結果もあります。現在の研究は3ヶ月程度の短期間のものが多く、1年以上の長期的な効果については十分なデータがありません。
朝食を抜くことで学校の成績などに影響する可能性があります。また、朝食を習慣的に食べていない人は、朝、胃の運動が起きていないという研究もあります。
通常、朝食を食べる人は食事の前から胃が運動を始めています。しかし、朝食を1週間以上食べていないと、その状態にならなくなります。食習慣を変えるには1〜2週間ほど頑張って朝食を食べる必要があるでしょう。
8時間ダイエットは食事の時間を制限することで、ファスティング(断食)の時間が長くなります。16時間以上のファスティングによって、特にミトコンドリアの機能が高まり、これが寿命の延長にもつながると考えられています。
また、時間制限をしているうちに、食欲が落ちてくるという効果もあります。実験ではステーキをいくら食べてもいいと言われても、実際には徐々に食べる量が減り、カロリー摂取が自然と減ることになります。

特定保健指導(メタボの人への栄養指導)においても、時間栄養学的なダイエットは受け入れられやすいと言われています。食べる量を減らしたり、特定の食品を制限したりする必要がなく、時間だけを調整するため、取り組みやすいのです。
また、毎日完璧に続ける必要もありません。週に5日実践できれば効果があるという研究結果もあります。週末は少し緩めに、平日は時間制限を意識するという方法でも十分です。
夜型の人でも、夕食の時間を意識することは大切です。例えば正午に昼食を食べ、20時までに夕食を終えるようにすれば、ダイエット効果は得られます。
ただし、夜は血糖値が上がりやすい時間帯です。同じものを朝と夜に食べても、夜の方が血糖値の上昇が大きくなります。

「セカンドミール効果」を利用すると良いでしょう。これは2食目の食事は血糖値が上がりにくいという効果です。朝食から昼食、昼食から夕食のどの組み合わせでも見られます。
つまり、一度に大量に食べるよりも、決められた時間内で分食した方が血糖値の管理には良いということです。例えば、サッカー選手のクリスチアーノ・ロナウドも分食を実践しています。
午後から夕食までの間に間食を取ると、夕食時の血糖値上昇を抑えられます。特に炭水化物と水溶性食物繊維を含む食品(焼き芋など)が効果的です。これらは血糖値を緩やかに上げ、有利脂肪酸の生成を抑制します。有利脂肪酸はインスリンの機能を低下させるため、抑えることが重要です。
健康的に痩せるためには以下のポイントを意識すると良いでしょう:
1. 土日も含めて生活リズムをずらさない
2. 朝は炭水化物、タンパク質、DHA・EPA、食物繊維を積極的に摂取する
3. 朝の運動は体内時計の調節に効果的
4. ダイエットのためには朝に多く食べて夕食を少なめにする
5. 夕食は炭水化物を控えめにし、必要なら間食で調整する
6. 夕食が遅くなる場合は、おかずだけにするなどの工夫をする
また、食事管理アプリのデータ解析によると、男性で若い人は炭水化物と脂質を少なめに、タンパク質を多めに摂取している人ほど痩せる傾向があります。特に夕食の炭水化物を減らしている人が痩せやすいという結果も出ています。

欧米の研究では、3ヶ月程度の実践で効果が現れています。体重は約5%減少するというデータがあります。この方法の魅力は、食欲を強制的に抑えるのではなく、食べたいものを食べながら時間をコントロールするだけで痩せられる点です。
運動と組み合わせれば、さらに健康への効果が期待できます。週に5日から始めて、徐々に習慣化していくことをおすすめします。