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就職氷河期世代をどうすれば救えるのか?
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2025年1月19日

2000万人に上る就職氷河期世代。この世代は本当に割を食っているのか?どうすればこの世代の経済力と幸福度を上げることができるのか?『就職氷河期世代の経済学』を上梓したエコノミストの永濱利廣氏に聞いた。 <ゲスト> 永濱利廣|第一生命経済研究所 首席エコノミスト 早稲田大学卒業、東京大学大学院経済学...
「就職氷河期世代は割を食い続けるのか?」永濱利廣が語る未来への処方箋
就職氷河期世代の問題は、単なる一世代の問題ではなく、日本社会全体の課題となっている。約2000万人というボリュームを持つこの世代の活躍の場をどう作り、彼らの幸福度を高めていくか。経済の専門家である永濱利廣氏に、就職氷河期世代が直面する問題と、その解決策について聞いた。

Q. 就職氷河期世代という2000万人の方々を社会で生かし、幸福度を上げるためにどういう政策を打ち出すといいですか?
「定年制の撤廃」が一つの解決策になると考えています。日本ではすぐには難しいかもしれませんが、徐々に定年制を撤廃していく方向に進むべきです。実際、欧米の英語圏の国々では定年制は違法とされています。人手不足が進む日本社会においても、この方向性は避けられないでしょう。
また、労働市場の流動性を高めることも重要です。現在、政府は賃上げ企業に対する減税や税制優遇を進めていますが、これは黒字企業にしか恩恵がありません。日本企業の3分の2以上は赤字企業です。
むしろ、中途採用を積極的に行う企業への補助金や減税、転職した人への優遇税制などを導入することで、労働市場の流動性を高める政策が効果的です。これにより、就職氷河期世代に限らず、様々な職場に挑戦しやすい環境が整います。

Q. 就職氷河期世代は今後も割を食い続けるのでしょうか?これから5年、10年、20年先の未来はどうなりますか?
最悪の状況からは若干改善しつつあると思います。日本経済にとって良いことではありませんが、人手不足が進んでいるため、職を選ばなければ就職できる状況になってきています。特に、肉体労働系の仕事では人材不足が深刻で、そういった分野では就業機会が増えています。
ただし、せっかく就職するなら労働環境が良く、給与が高いところが望ましいでしょう。政府がリスキリングを推進している点は評価できます。産業構造が変わる中で、例えば製造業ブームやAI技術の普及といった変化に対応できるよう、新しいスキルを身につける機会を提供することが重要です。
確かにハードルは高いのですが、海外では「フレキシキュリティ」や「トラ

ンポリン型社会」と呼ばれる仕組みがあります。特に北欧諸国では、公的な職業訓練が充実しており、新しいスキルを身につけている間の生活保障が手厚く支給される制度が整備されています。日本もそうした方向に進むべきでしょう。
Q. 雇用規制の緩和についてはどう考えますか?
雇用規制の緩和だけを進めると、最も大きな影響を受けるのが就職氷河期世代です。現在、多くの企業が早期退職を募集していますが、条件をつけずに実施すると優秀な人材が退職してしまう可能性があります。そこで企業は様々な条件を設けて、優秀な人材の流出を防ぎ、「辞めさせたい人」だけを辞めさせようとする傾向があります。
この状況で最も不利な立場に置かれるのが就職氷河期世代です。雇用規制の緩和は、他の施策とのパッケージの一部として検討すべきであり、単独で進めるべきではありません。
Q. シニア世代の活躍の場を増やすためにはどうすればいいですか?
中小企業では人手不足感が強く、大企業で定年を迎えても十分活躍できる人材を正社員として積極的に採用する動きが出てきています。こうした意味では、定年制の撤廃は中小企業から進んでいくと考えられます。
銀行業界も雇用面では先進的で、例えばみずほ銀行では週4日制の正社員制度を導入しています。こうした柔軟な働き方ができる正社員の枠を増やすことで、より多くの人が自分の都合に合わせて働ける環境が整います。
日本は人手不足と言われていますが、実はマンパワーを十分に活用できていません。労働時間規制の厳しさや様々な雇用規制により、十分な労働力を供給できていない状況です。より柔軟な働き方ができる正社員の枠が増えれば、雇用の問題が解消されていくでしょう。

Q. 退職金制度についてはどのような改革が必要ですか?
現在の退職金優遇税制は、同じ会社で長く働くほど恩恵を受けやすい仕組みになっています。例えば、勤続20年までは控除が40万円、20年を超えると70万円という制度です。
これを例えば勤続年数に関わらず一律50万円の控除にするなど、長く働いた人だけが優遇される仕組みを変えていくべきです。退職金の税制優遇を勤続年数に関わらず平等にすることで、転職へのハードルを下げることができます。
Q. 就職氷河期世代と他の世代との価値観の違いはありますか?
就職氷河期世代とそれ以前の世代では消費行動が全く異なります。アメリカの研究によると、各世代の価値観は、その世代が社会に出る時に不況を経験したかどうかで一生左右されるそうです。
バブル世代は長らく日本が不況にあるにも関わらず、比較的財布の紐が緩い傾向があります。一方、就職氷河期世代以降は財布の紐が固く、2022年は可処分所得が増えたにも関わらず消費はほとんど増えませんでした。これは、ボリュームゾーンである就職氷河期世代(約2000万人)が、一時的な減税で所得が増えても財布の紐を緩めないためです。
こうした世代に消費を増やしてもらうには、お金を使ったら得をするような政策が必要でしょう。

Q. 就職氷河期世代から優れたリーダーは生まれますか?
就職氷河期世代はみんなが不遇だったわけではなく、非常に活躍している人と活躍できなかった人の差が激しいのが特徴です。例えば堀江貴文氏や前澤友作氏、藤田晋氏などは就職氷河期世代の成功者と言えるでしょう。
一方で、卒業時に正社員になれずにずっと低迷している人もいます。格差が広がっているのがこの世代の特徴です。
就職氷河期世代はハードルの高い就職活動を経てきたため、企業に入った人材は精選されている傾向があります。今後、50代、40代の世代からリーダーが台頭してくる可能性は高いでしょう。
自分たちの苦労を知っている世代がリーダーになることで、より良いサービスや政策が生まれる可能性もあります。ただし、経営者の中から弱者救済の思考が自然に生まれることは難しいかもしれません。そこは政治の役割が重要になってくるでしょう。