
S&P500の黄金時代、終焉か? ゴールドマンの暗いレポート
「ゴールドマンサックスのS&P500予測報道、実際はどうなの?」トランプ政権下の2025年投資戦略も解説
ゴールドマンサックスがS&P500の今後10年の収益率が年率3%にとどまるというレポートを発表したという報道が話題となっている。過去10年の13%から大幅に下落するという予測に、多くの投資家が不安を感じているようだ。しかし、この報道の実態はどうなのだろうか。金融の専門家が解説する。

Q. ゴールドマンサックスのS&P500に関するレポートの真相は?
ゴールドマンサックスのレポートでは「S&P500の今後10年の収益率が年率3%になる」と報じられているが、実際のレポートはそれほど単純なものではない。このレポートは特定の計量モデルに基づいた推計であり、10年間の平均収益率が3%程度になる可能性があると述べているだけだ。
重要なのは、このレポートでは明確な上限と下限が示されており、3%はあくまで平均値で、推計誤差を考慮した上限は7%と記載されている。また、10年間の収益率が直線的に下落すると予想しているわけでもない。

Q. なぜこのような低い収益率が推計されているのか?
この推計の背景には主に二つの要因がある。一つ目は現在のアメリカ株式市場のPER(株価収益率)が25〜26倍と歴史的に見て高いレベルにあること。このバリュエーションが過去の平均水準に戻る過程で株価調整が起こるという前提がモデルに組み込まれている。
二つ目はマーケットの集中度の問題だ。現在のS&P500はGAFAMなどの大型テクノロジー企業に株価上昇が集中しており、その集中度は1999〜2000年のITバブル期に近いレベルになっている。この異常な状態が将来的に修正されるという前提も計算に入れられている。
Q. このレポートをどう受け止めるべきか?
このレポートはあくまで特定のモデルによる試算であり、未来の予測として確定的なものではない。モデルの前提条件自体が外れる可能性もある。特にバリュエーション調整に関する前提は必ずしも実現するとは限らない。
メディアの報道では極端な部分だけが強調される傾向があるが、原典を読めば、これは確定的な予測ではなくモデルに基づく可能性の提示であることがわかる。一般投資家はこうした報道に振り回されず、情報の一次ソースにアクセスできない場合は、専門家の解説なども参考にしながら冷静に判断することが重要だ。
Q. 長期投資先としてアメリカ株は今後も有望か?
長期的な投資先としてアメリカ株を排除することは難しい。中国への期待が薄れ、インドなどの新興国市場はまだリスクが高い。世界経済を牽引しているのは依然としてアメリカであり、2040年までの長期予測でも、中国がアメリカを追い越すどころか、2030年代以降は差が広がっていくという見方もある。
特に中国は人口動態の問題で30年後はより厳しい状況になるとみられており、アメリカ経済の優位性はさらに高まる可能性がある。資産配分を考える上で、アメリカ株式を中心に据えることは依然として合理的な判断と言える。

Q. アメリカの財政赤字は問題にならないのか?
アメリカの財政赤字を問題視する声もあるが、現在のGDPの約5%という財政赤字は、実はアメリカにとって持続可能なレベルだ。過去230年の歴史を見ても、アメリカの財政赤字が大きな問題を引き起こした例はほとんどない。
1980年代のような高インフレが続く状況では長期金利の上昇が問題になることもあるが、現在の状況は異なる。そもそも現代の経済学では、財政を黒字にすること自体が必ずしも正しいとは考えられていない。アメリカは従来の財政規律の指標を超えた独自の基準で財政を運営しており、それでも経済は強く、ドル高が続いている現実がある。

Q. 2025年、トランプ政権下で注目すべき投資セクターは?
2025年のアメリカ市場で注目すべきセクターとしては、まず「軍事」が挙げられる。トランプ政権は日本を含む同盟国に防衛関連の調達を求める圧力を強める可能性があり、世界的に軍事支出が増加する見込みだ。
次に「テスラ」などのイーロン・マスク関連企業。マスクはトランプ政権で影響力を持ち、自動運転などの分野で有利な立場を築く可能性がある。
最後に「金融」セクター。トランプ政権は仮想通貨ビジネスへの規制緩和を進めると見られ、ビットコインなどの価格はすでに上昇している。また、バイデン政権下で強化されていた金融規制が緩和されれば、銀行などの金融機関も恩恵を受けるだろう。
Q. アメリカ経済の見通しについて日本人が持つべき視点は?
日本のメディアでは不安を煽る報道が多い印象があるが、実際の市場や経済の動向を冷静に分析することが重要だ。特に一般の投資家は情報リテラシーを高め、センセーショナルな見出しに惑わされないよう注意すべきだ。
アメリカと中国が世界の二大経済大国として対立する構図の中で、日本はその影響を受けやすい立場にある。しかし、2025年は部分的に2024年よりも状況が改善する可能性もある。賃金上昇率よりもインフレ率が下がれば実質所得がプラスになるなど、明るい兆しも見える。
長期的な視点で見れば、アメリカを中心とした投資戦略は依然として有効であり、政治や経済の動向を幅広く理解することが、2025年の投資成功のカギとなるだろう。
