業界超分析
【中央省庁】財務省・経済産業省・国土交通省・農林水産省
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2024年11月8日

人気業界と、そのトップ企業をよく知る専門家が、元社員と共に徹底分析していく。今回は「中央省庁」。財務省・経済産業省・国土交通省・農林水産省の4省を解説。現役官僚がリアル年収を公開する。 <ゲスト> 朝比奈一郎 経済産業省出身 / 青山社中 筆頭代表CEO 末政憲司 経済産業省 大臣官房 秘書課 課...
【話題】元官僚が暴露!中央省庁の現場と給料事情


Q. 中央省庁の基本情報とは?
中央省庁は国の政策や政治に関する行政機関を指す。地方公共団体とは区別され、国政を担っている。今回は財務省、経済産業省、国土交通省、農水省の4省を中心に解説する。
中央省庁はエリートが集まるイメージがあるが、職員数は非常に多い。財務省は約1万6,000人、経済産業省は1万人以上が在籍している。キャリア(国家一種試験合格者)とノンキャリアを合わせると、かなりの大組織となっている。
各省庁には特性があり、その文化も異なる。例えば経済産業省は自由度が高く、変化を好む風土があるとされる。一方、財務省は伝統的・保守的な雰囲気があるとの声がある。
Q. 経済産業省における実際の年収はどのくらい?
経済産業省の現役官僚によると、年収テーブルはおおよそ次のようになっている:
- 3年目(係長昇格時):400万円〜800万円(残業代含む)
- 5年目(課長補佐昇格時):600万円〜1,000万円以上(残業代含む)
- 15年目(政策企画委員):1,000万円〜1,200万円以上
- 管理職(課長など):約1,500万円
- 幹部(審議官、局長、事務次官):1,600万円〜2,300万円
年収の幅が広いのは、残業時間の差によるところが大きい。若手のうちは残業代が支給されるため、多くの残業をすれば年収は大きく上がる。月に150時間以上の残業をすると、若くても1,000万円を超えることもある。
Q. 中央省庁の働き方はどう変わってきた?
以前に比べて、中央省庁の働き方は大きく改善している。かつては残業代がほとんど支給されず、「マックの時給より安い」と自虐的に言われるほどだった。しかし現在は残業代がしっかり支給されるようになり、若手の給料は改善された。
働き方改革も進んでおり、テレワークの導入や国会対応の効率化が進んでいる。業務の省力化が図られ、チャットなども活用されるようになった。
ただし、部署による差は大きい。国会で注目されるテーマを扱う部局では今でも厳しい労働環境が続いている。また、残業時間が読めないことが大きな問題で、急な国会対応や政治家からの要請で突発的な業務が発生することが多い。
Q. 中央省庁の評価や満足度はどうなっている?
オープンワークのデータによれば、4省の中では経済産業省の評価が最も高く、総合評価3.46で1位となっている。財務省、国土交通省と続き、農水省が最も低い評価となっている。
特徴的なのは経済産業省の評価形状で、「コマ型」と呼ばれる特殊な形になっている。コンプライアンス意識が高く、20代の成長環境や社員の自主性が高いという点で、ベンチャー企業に近い特徴を持っている。一方で、人材の長期育成や待遇面の満足度は低い評価となっている。
国土交通省と農水省は典型的な日経大企業の形と同じような評価形状で、法令順守意識は高いものの、他に目を見張るような特徴がない。財務省はチームワークの評価が比較的高い傾向がある。
Q. なぜ官僚のやめる人が増えているのか?
中央省庁からの離職は近年激増している。これには時代による「やめブーム」がある:
1. 第1次やめブーム(2000年頃):外資系コンサルや金融機関へ転職
2. 第2次やめブーム(2010年以降):総合商社やデベロッパーなど日本企業への転職
3. 現在:ベンチャー企業やNPO設立、起業など
離職が増えている理由として、次のような点が挙げられる:
1. 外部からの引き抜きが増加(優秀な人材が比較的安く働いているため)
2. 官庁の持っていた強み(早期成長、やりがい、比較的安定した年収)が相対的に薄れてきた
3. 民間、特に法律事務所やコンサルなどの年収が大幅に上昇(役所の2〜5倍の差)
4. 選択肢の多様化(ベンチャーやNPOなど新たな選択肢の登場)
元経済産業省官僚の朝比奈一郎氏は「やめる人の半分くらいは幸せになっている」と評価。一方で、リスクを取った結果うまくいかなかったケースも少なくないという。
Q. 官僚制度の特徴と課題は?
日本の官僚制度には「ローテーション人事」という特徴がある。2〜3年ごとに部署を異動し、幅広い経験を積ませるシステムだ。これには「ジェネラリストを育成する」という戦略的意図と、「長期配属による癒着防止」という目的がある。
しかし、この制度には課題もある。例えば「せっかく専門性が身についてきたところで異動になる」という不満や、「人材の長期育成視点の欠如」などが指摘されている。また、日本の官僚は諸外国と比べて専門性が低いという問題もある。欧米では経済官僚には経済学のPhD取得者が多いが、日本では法学部や経済学部卒のジェネラリストが中心となっている。
もう一つの課題は「人事畑」の不在だ。民間企業には人事部門のキャリアパスがあるが、官庁には人事を長期的に見る専門家がいない。そのため、研修制度などが担当者の交代で変わってしまうという問題がある。
Q. 官僚の働きがいはなぜ低下している?
オープンワークのデータによれば、中央省庁の働きがいは2017年頃から低下傾向にある。これには二つの要因があると考えられる:
1. 職務内容そのものの変化というより、民間企業の働きがい向上との相対的な差
2. 政治と官僚の関係性の変化
特に後者について、朝比奈氏は「政治の力が強くなりすぎている」と指摘する。かつては政治家と官僚がより対等に近い関係で仕事をしていたが、現在は官僚が萎縮する傾向があるという。「内閣人事局」の設置は縦割り行政解消には有効だったが、官僚の自由な発言を抑制する副作用もあったと分析している。
また、日本人全体が「大人しくなってきている」という社会的背景も指摘された。昇進や異動への恐怖心から、積極的な意見表明をしなくなっているという傾向も見られる。