
10年&50年サイクルで見る景気循環【木野内栄治】
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2024年10月14日
EXIT・りんたろー。と国山ハセンが株・保険・住宅など資産運用にまつわるスキルセットを学ぶ。大和証券チーフ・テクニカル・アナリストの木野内栄治氏が2度目の出演。一生使える株式相場の「季節」について解説。 <ゲスト> 木野内栄治(大和証券チーフ・テクニカル・アナリスト兼ストラテジスト テーマリサーチ...
株式投資の季節感を理解すれば、失敗を恐れなくなる
投資の世界には「サイクル」と「トレンド」がある。これを理解すれば、相場の変動に一喜一憂せず、冷静に投資判断ができるようになる。木野内栄治氏とりんたろー。(EXIT)が語る投資の「季節感」とは何か。

Q. 投資には「季節感」があるとのことですが、どういう意味ですか?
株式投資の世界には3年サイクルと10年サイクルがあり、これを理解すると将来の相場展開が予測できる。夏が暑く、冬が寒いことが分かっているように、投資の世界にも季節のような循環がある。この季節感を身につければ、いつ買い、いつ売るべきかの判断基準となる。
例えば、日経平均株価を見ると、2009年(リーマンショック後)、2012年(アベノミクス前)、2016年と約3年ごとに底値を打っている。これは在庫の循環が影響している。この3年サイクルを理解していれば、次の買い時も予測できる。
Q. 現在の投資環境はどのような状況なのでしょうか?
2025年の夏頃までは好環境が続く見込み。特にスマートフォン関連やパソコン関連の株式は良い時期が続く。これらが好調になると日本や世界の景気も良くなり、日経平均全体も上昇しやすい。ただし、2025年夏頃には一旦撤退し、次の良いエントリーポイントは2026年頃になる見通しだ。
Q. 10年サイクルについて教えてください
10年サイクルは設備投資循環の話。特に通信インフラの設備投資が世界経済に大きな影響を与える。3G、LTE、5Gなどの移動体通信のサービス開始から2〜3年経つと株価が下がり、西暦末尾が「2」の年(1982年、1992年、2002年、2012年、2022年)あたりに底打ちする傾向がある。
通信サービスが始まるということは、世界的にネットワーク網の構築が完了したことを意味し、むしろこの時点から景気は下降する。5Gサービスが始まった時は浮かれた雰囲気があったが、実は設備投資はすでに終わっていた。
Q. 現在の投資チャンスはどこにあるのでしょうか?
現在、5Gが普及し始め、AIスマートフォンやAI搭載パソコンなど、新しい技術革新が起きている。そして、これらの技術を支えるチップメーカーであるNVIDIAは重要な位置を占めている。
NVIDIAの製品は、画像処理に特化したGPUで、普通のCPUが数十個の処理ユニットを持つのに対し、1万6000個もの処理ユニットを持っている。さらに、TSMCと呼ばれる台湾の半導体製造会社がNVIDIAの製品製造を担っており、特に後工程と呼ばれる複数チップを一つの樹脂に組み込む技術を独占している。
現在、NVIDIAは製品の歩留まり(製造効率)が悪いと言われ株価が下落しているが、これは同社がTSMCの後工程技術を独占し続けている証拠であり、トレンドはまだ上向きだと考えられる。
Q. 投資において「売ること」の考え方はどうあるべきですか?
投資の季節感が身についていれば、売ることも恐れる必要はない。「マーケットから退出すると戻ってこない」という懸念があるが、季節感があれば「売る」という判断も十分にあり得る。
重要なのは、売る時にすでに「次はいつ買うか」を考えていること。季節感が身についた投資家は、売却しても必ず良いタイミングが来ることを知っているため、一時的に市場から離れることを恐れない。
Q. 現在のインフレ環境は投資にどう影響しますか?
現在は50年に一度のインフレ環境にあり、これは投資にとって実はプラスの側面がある。インフレ下では企業は値上げしやすくなり、設備投資や研究開発に積極的になる。この結果、イノベーションが起きやすくなる。
例えば、パン屋が毎日100個のパンを焼いて10個売れ残る状況では値上げが難しいが、毎日10人を断っている状況なら価格を上げても売れる。後者の場合、企業は設備投資や新商品開発に前向きになる。
実際に、コロナ後のインフレにより、日本の潜在成長率は0.2%から0.7%に上昇した。Microsoft TeamsやZoomの普及、パソコン需要の増加によりテック企業は利益を上げ、マイクロソフトはOpenAIに2兆円を投資してChatGPTが生まれた。このように、インフレはイノベーションを促進する効果がある。
Q. なぜ今、社会インフラの再構築が必要なのですか?
日本の多くの社会インフラ(高速道路、橋、鉄塔など)は1960〜70年代に建設され、約50年が経過して老朽化している。鉄筋コンクリートは50年程度でアルカリ性が失われ、内部の鉄筋が錆びてコンクリートを割る現象が起きる。
この問題に対応するため、東名高速道路に並行して新東名高速道路を建設したり、都心環状線の周りに中央環状線や外環道を整備したりしている。これらの社会インフラ再構築の費用は電気料金などに上乗せされ、インフレ要因となる。
Q. 今後の投資戦略はどう考えるべきですか?
3年サイクルと10年サイクルを組み合わせて考えると、2026年、2029年、2032年がそれぞれ底値となる可能性が高い。特に2026年は良い買い場になる見込みだが、2032年は大きく下落する可能性がある。
ただし、インフレによるイノベーションというトレンドを考慮すると、通常のサイクルとは異なる動きもあり得る。デフレから脱却し、インフレ環境が続く限り、企業は研究開発や設備投資を続け、それがイノベーションを生み出す。
投資は、3年・10年のサイクルという「季節」を理解しつつ、インフレによるイノベーションという「トレンド」も加味して判断することが重要。相場感を身につければ、投資判断に余裕が生まれ、ヘルシーに投資を楽しむことができる。
