
40代リスキリングの賢い進め方。中継ぎ仕事から始めよ
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2024年9月17日
リスキリングがブームになっているが、中高年リスキリングの現実は甘くない。40代には三度のクビ、100社の不合格を経験した、後藤宗明ジャパン・リスキリング・プラットフォーム代表理事に、40代リスキリングの現実と賢い進め方を聞いた。 <ゲスト> 後藤宗明 1971年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。...
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「リスキリングとは組織と個人の生存戦略」AI時代に必要な「学際的スキル」とは
リスキリングという言葉が日本でも広まりつつある現在、その重要性について多くの人が認識し始めています。特に中高年世代にとって、変化の激しい時代において自分のキャリアをどう築いていくかは切実な問題です。

Q. 人類の働き方はこれから3種類に分かれるのでしょうか?
10年前に冗談半分で言っていたことですが、人類はこれから3種類に分かれると考えています。それは「AIを作る人」「AIを使う人」「AIに使われる人」です。
AIを使う人というのは単純にAIを道具として使うだけでなく、AIを使うのか、人間を使うのか、ロボットを使うのかという意思決定ができる人たちです。つまり経営者や上級管理職の方々です。
一方で多くの人々は、AIが出した正解に導かれて仕事をしていく時代になっていくでしょう。個人にとってはAIとの向き合い方が非常に重要になってきます。
実はこれは3つではなく4つだという意見もあります。もうひとつは「テクノロジーと関わらず、ベーシックインカムで生きていく人」です。大切なポイントは個人として、AIとの向き合い方でどこに所属するのかという覚悟が必要だということです。
Q. AI時代に人間に必要なスキルとは何ですか?
AIが得意なのは特定のタスクを深掘りすることです。ここは人間が叶わない部分ですので、むしろ人間が取り組むべきではありません。
では人間が仕事の中で大切にすべきポイントは何か。まず一つ目は、AIの不正解を見抜けるレベルの高い専門性です。例えば自動翻訳を使う場合でも、その出力が正しいかどうか判断できなければ安心して使うことができません。
二つ目は問いを立てる力、つまり課題を発見する力です。AIに正解を出させるための課題そのものを設定する力が人間には必要です。
この中で特に重要になってくるのが「学際的スキル」です。これは学園祭ではなく「際」という字を書いて、境界線を超えていくという意味です。複数の分野の知識、経験、スキルを組み合わせて、新しい課題を解決していくために人間の仕事はあるべきだと考えています。
学際的スキルとは、複雑な問題を解決するために2つ以上の異なる分野の知識やスキルを組み合わせて解決していく技術のことで、英語では「Interdisciplinary Skills」と言います。今持っているスキルに対して新しいスキルを組み合わせていくスキルデザインを自分で作っていくことが、個人には必要になってくるでしょう。
Q. 学際的スキルは以前から言われていたものですが、時代が変わってきたのでしょうか?
実はリベラルアーツの世界では非常に重要だと言われ続けてきたものですが、AIが仕事の中に登場したことで本当に必要になってきたと思います。
私自身が学際的スキルのコンセプトの中で今の仕事ができていると感じています。30代の時は研修の企画や講師をしていました。30代後半からは社会課題解決というポイントでNPOの支援などを行うようになり、40代ではデジタル分野のスキルを身につけてきました。
この人材育成、社会課題解決、デジタル分野のスキルが組み合わさって、今はリスキリングという分野に取り組んでいます。リスキリング自体もひとつのスキルだと考えています。
このように自分が持っているスキルと新しく獲得していくスキルを組み合わせていくことが、課題を解決していく上で非常に大事なポイントになるでしょう。
Q. 具体的にはどうやってキャリアアップしながらリスキリングしていけばいいですか?
これは「類似スキル」という考え方が重要です。現在の仕事で身につけているスキルA、B、Cがあるとしたら、次に身につけたいスキルを考える時には、今持っているスキルとの共通点が役立ちます。
例えば、スキルAとBが共通点となって、次のスキルDにつながっていく、というようなステップアップが効果的です。
20代30代の頃はポテンシャルで全く異なる分野(飛び地)に行くチャンスがもらえることもありますが、中高年になるとなかなかそういう機会は得られません。焦らずに着実に中継となる仕事も経験しながらステップアップしていくことが、中高年にとっては現実的なアプローチです。
Q. やはり英語は大事なのでしょうか?
どうしても現在のAIやテクノロジー分野は海外の方が進んでいる部分があるので、一次情報を集める観点では英語や中国語はかなりアドバンテージがあります。英語などグローバルな分野のスキルは、これからも重要であると思います。
思い切って覚悟を決める方には、例えば3ヶ月間くらい休職や退職をして留学に行くことをお勧めします。リセット留学と呼ばれるもので、自分の人生をリセットするための留学です。大学への留学ももちろんありますが、時間とお金の準備が大変です。何かを変えたいと思った時には、まずは海外に出ることをお勧めします。
3ヶ月の留学でも十分変わります。重要なのは、今の働き方や価値観がそれだけではないということを体験できることです。生き方や働き方の選択肢が得られます。日本に帰ってきた時に、自分が何をやりたいのかということが、海外での生活のフィルターを通して新たに感じることができるでしょう。
Q. デジタルのリスキリングで何を学べばいいですか?
デジタルには大きく2つの方向性があります。一つは仕事の中で生産性を高め、コストカットしていく部分に役立てること、もう一つはデジタルを使った新規事業で成長分野を作っていくことです。
これから大きく影響を受けてくるのはAIとロボティクスだと思います。重要なのはAIを使って何ができるのかというビジネスそのものを作っていくことです。例えば二足歩行ロボットなどはアメリカと中国で大きな進化を遂げています。
必ずしも全員がロボットのエンジニアになる必要はありませんが、ロボットを使った仕事の仕方の設計をしていくことが重要です。ロボットに現在何ができて何ができないのかを理解した上で、例えば工場のプロセスを作っていくといった形で、AIやロボットと一緒に働いていくための理解を深めることが、デジタルスキルの第一歩となるでしょう。
本を読むことから始めても良いですし、より深く学びたい場合はマイクロ講座などを活用するとよいでしょう。最も大事なのは、自分の仕事の場でAIとロボットを使った仕事の企画を自ら行い、実際に外部の専門家と一緒にプロジェクトを作っていくことです。
Q. フリーランスという生き方は増えていくのでしょうか?
「定年4.0」という考え方の究極は、定年後に自分の好きなことで個人事業主やフリーランスになることをゴールにすることです。シニア世代になったときに雇用の種類が限られているのであれば、自分の好きなことを仕事にして生きていくことが大切です。そのためには雇われるのではなく、自分から価値を生み出していくことが重要です。
リスキリングを通じて個人事業主やフリーランスになることを目指すことが、中高年リスキリングの最終的なゴールと言えるでしょう。自分のやりたいことを作り出していく方が、気持ち的にもハッピーになれると思います。
ただし、お金に余裕がある方とない方ではリスクの取り方も変わってくるでしょう。そのため、ファイナンスのリスキリングも重要です。労働寿命が伸びるということは、必要となるお金も大きくなっていくので、この分野の学びも欠かせません。
リスキリングは組織と個人の成長戦略であり、生存戦略です。組織も個人もリスキリングに取り組むことで、明るい未来が待っていると思います。
