
ビジネスパーソンには遊びが足りない 仕事を楽しくする極意
幸せは「仕事・勉強・遊び」の大三角形の中にある—「宇宙一チャラい仕事論」著者が語る人生哲学
人生の幸せを見つけるためにはどうすればいいのか。作家であり評論家、そして百姓で漁師でもある近藤康太郎氏は「幸せは仕事、勉強、遊びの大三角形の中にある」と語る。毎日の暮らしの中で自分自身を充実させるためのヒントを、Q&A形式でお届けする。
Q. なぜ「仕事・勉強・遊び」の三角形が重要なのですか?
人生の大部分を占める「仕事」が楽しくなれば、当然人生も幸せになる。だが、それはただ仕事人間になれという意味ではない。自分が心から打ち込める仕事、命をかけてでもやりたい仕事の割合を徐々に増やしていくことが大切だ。そのためには仕事だけをしていてはダメで、勉強も必要になる。
そして仕事と勉強だけでも不十分だ。例えるならバイクのブレーキのような「遊び」の部分が必要になる。遊びがない仕事は危険なブレーキのように急激に効きすぎてしまう。読み手を緊張させる文章になってしまうのだ。適度な「遊び」があることで、人は息をつき、創造性を発揮できる。
Q. 仕事が辛いと感じる人はどうすればいいですか?
多くの人が仕事を辛いと感じるのは、それが他人から言われてやっていることだからだ。それを変えるには、自分が企画して自分が作り出すクリエイティブな仕事の割合を増やしていくことが重要になる。
もちろん、最初から100%自分の望む仕事ができるわけではない。例えば9.5対0.5くらいの割合から始めて、徐々に自分が企画を立て、自分がやりたいと思う仕事の比率を大きくしていく。最終的には自分が心から打ち込める仕事ばかりになれば、それこそが幸せな状態ではないだろうか。
Q. 古典を読むことの価値は何ですか?
時間が限られている中で、何を読むべきか迷ったら「古い本」、つまり古典と呼ばれる作品を読むことをお勧めする。古典とは何か?簡単に言えば、すでに亡くなった作家の本だ。夏目漱石は古典、村上春樹はまだ古典ではない。
なぜ古典がいいのか。それは「時の審判」を経て残っているからだ。何百年も読み継がれている本には、それだけの価値がある。新刊の山から良書を探すより、すでに多くの人に認められた古典を読む方が時間の節約になる。
さらに、古典を読むことで「目」が育つ。今度は新しい本を見る目ができてくる。「これは必要ない」「これは読まなければ」という判断力が養われるのだ。これも時間の節約になる。
Q. 忙しい人はどうやって勉強時間を作ればいいですか?
最もおすすめなのは「起きた直後の15分」だ。人は必ず毎日起きるのだから、その直後の15分を確保するのは比較的容易だ。
具体的なやり方はこうだ。目覚めたら、まず電気をつける。スマホは枕元に置かないこと。キッチンタイマーをセットして15分だけ本を開く。読みたくないと思っても、とにかく本を広げる。15分が終わるまでに1ページでも2ページでも読めれば十分だ。
この方法の効果は2つある。1つは自己肯定感が高まること。「今日は福沢諭吉を1ページ読んだ、だから私は生きていていいのだ」という気持ちになれる。2つ目は、隙間時間を見つける目が育つこと。最初は隙間時間など見つからないと思うが、朝の15分を確保できるようになると、他の時間帯でも隙間を見つけられるようになる。15分×8で2時間。かなりの時間が集まるものだ。
Q. 読書は具体的にどう仕事に役立つのですか?
現代のほとんどの仕事は、人と人とのコミュニケーションによって成り立っている。その際に使うのが「言語」だ。ボキャブラリーが豊富な人は、語彙が貧弱な人よりも確実に仕事ができる。また、魅力的な話し方(ナラティブ)ができる人は、そうでない人よりも人の心をつかむことができる。
それには言葉を鍛えることが重要で、それは書物を通して行うのが最も効果的だ。書かれたテキストに多く触れている人は、語彙が増えるだけでなく、思考の仕方も単線的ではなく複雑になっていく。これは古い人と若い人の差ではなく、「文字のシャワー」を浴びているかどうかの差だ。
Q. AIの時代に読書や言語能力は必要ですか?
AIはすでに様々な文章を生成できるようになった。しかし、AIには決定的にできないことがある。それは「新しい問い」を立てることだ。
AIは過去の文献をもとに答えを出すことはできるが、これまでにない問いを発明することはできない。重要なのは答えではなく問いなのだ。新しい問いを立てられる人が偉大な哲学者や経済学者、作家になる。AIは良きパートナーにはなるが、創造的な問いを立てる能力は人間にしかない。
Q. 遊びと勉強と仕事、どれを優先すべきですか?
一般的に仕事をしている人にとって、最も削られやすいのが「遊び」の時間だ。そのため、遊びを最優先で確保すべきだ。まず5年計画を立て、「これをものにする」と決める。それを1年ごと、1ヶ月ごと、1日ごとに分解して計画を立てる。
例えば、「この日は必ずライブに行く」「この日は絶対に映画を見る」といった形で、先に遊びの時間を確保する。そして残った時間で仕事をする。勉強は隙間時間を活用すればいい。
Q. 自分を成長させるコツはありますか?
大人の勉強は「自分への強制」だ。多くの人は他人から命令されるのが嫌いだが、自分のやりたいことだけをやっていては社会で生きていけない。そこで自分で自分に命令するしかない。
勉強や遊びについてToDoリストを作り、自分で自分に「これをやれ」と命じる。例えば「1ヶ月に10本映画を見る」「毎日15分数学の勉強をする」など、自分で決めて実行する。これを続けると、最初は苦痛だったことが面白くなってくることも多い。
人生を豊かにするためには、仕事だけでなく、勉強と遊びをバランスよく組み合わせること。そして、その三角形のなかで自分自身が成長していくことが、幸せの秘訣なのだ。
