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損をしないキャリアの選び方【青田 努】
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2024年4月4日

就職・転職を考えている人や、キャリアにもやもやを感じている人へ。将来詰まないためのスキルの身につけ方を、リクルート・Amazon・LINEを渡り歩いた人事の専門家である青田努氏に聞いた。 <目次> 00:00 ダイジェスト 01:10 キャリアの整理の仕方 11:06 キャリアにおける「5つの資」...
人事のプロが提唱する「キャリアを育てる」極意:あなたの専門性はどこにある?
リクルート、Amazon、LINEといった名だたる企業を渡り歩き、48歳で美術大学への進学を決意した異色の経歴を持つ人事のプロフェッショナル、青田努氏。彼のキャリアパスは、私たちがいだきがちなキャリアに対する固定観念を揺るがすものだ。
彼は「キャリアは手に入れるものではなく、育てるもの」だと語る。では、どのようにすれば理想のキャリアを育て上げられるのだろうか。
本記事では、青田氏が提唱する独自のキャリア理論「5つの“し”」をはじめ、20代から40代のビジネスパーソンが直面する具体的な悩みに焦点を当て、キャリアを自律的に築くための思考法を深掘りする。
目の前の仕事や将来に対する漠然とした不安を抱える読者にとって、彼の言葉は明日への行動を後押しする羅針盤となるはずだ。
Q. キャリアには「旬」があるというのは本当か?
青田氏はキャリアに「旬」が存在すると断言する。これは、年代ごとに重視すべきことや頑張りどころが異なることを意味する。例えば、20代から30代は将来の「資産」を築くための準備期間にあたる。この期間に努力を怠り、有限な「資源」を強固な「資本」へと変換できなければ、40代、50代での挽回は極めて困難になる可能性が高いという。若いうちにいかにキャリアの土台を築き、投資していくかが、その後のキャリアを大きく左右する。
各年代の特性を理解し、その時々に最適な行動を取ることが、キャリアの旬を最大限に活かす鍵となる。
Q. 「良いキャリア」とはどのようなものか?また、その具体的な築き方は?
青田氏は、良いキャリアを「資格・資源・資質・資本・資産」の「5つの“し”」を円滑に変換し、最終的に「資産」として蓄積していくプロセスと定義する。キャリアの最終ゴールである「資産」は、金銭的余裕に限定されるものではない。そこには、「相互信頼と繋がり」「人や社会への貢献実感」「自分なりの価値(良い思い出を含む)」といった、働く上での価値軸が含まれる。
良いキャリアを築くためには、まず自身にとって何が「資産」となり得るのかを明確に定義し、そこから逆算してキャリアプランを組み立てることが重要だ。
キャリアは「資格」から始まり、仕事に投下できる「資源」を、自身の「資質」を活かして「資本」へ変換していく。そして最終的に、これらが個人の「資産」として実を結ぶ流れとなる。この一連の変換プロセスが円滑に行われる状態が「良いキャリア」である。
Q. 「やりたいことが分からない」と悩む若手ビジネスパーソンはどうすればよいか?
多くの若手が「やりたいことが分からないから動けない」という状況に陥りがちだ。しかし青田氏はこの考えに警鐘を鳴らし、「動いていないから、やりたいことが見つからない」のだと語る。 机上で考え込むだけでは何も得られない。インターンシップやアルバイト、社内での異動など、積極的に様々な経験をすることで、自分と仕事に関する「情報」を集めるべきである。
集めた情報に基づき、何が自分に合うのか、何に違和感を抱くのかといった自己理解を深めることが、やりたいことを見つけるための確実な道だ。また、自己分析は新卒時だけでなく、キャリアを通じて継続的に行うべきものと考える。年に一度、職務経歴書を更新し、自身の成長や達成、あるいは課題を客観的に棚卸しする習慣は、自己理解を深める上で極めて有効である。
Q. 自身のキャパシティ管理において、最も重要なことは何か?
個人のキャパシティは、「心、体力、能力、時間」の4つから構成される。これらの中で、最も優先順位が高く、何よりも大事にすべきなのは「心」のキャパシティだ。心が悲鳴を上げていれば、たとえ体力や時間に余裕があったとしても、一旦立ち止まり、自分を休ませる必要がある。
青田氏は「倒れたら休む」のではなく、「倒れないために休む」というプロアクティブな休息の重要性を説く。休みを予定としてカレンダーに組み込むことで、罪悪感を抱かず、自分のパフォーマンスを維持・向上させるためのメンテナンス時間として捉えられるだろう。これは、F1のピットインのように、長期的なパフォーマンスを最大化するために不可欠なプロセスであると述べる。
Q. 「専門性がない」と不安を感じる場合、どう捉えるべきか?
専門性に関する悩みは多くのビジネスパーソンが抱えがちだが、専門性には2種類あると青田氏は指摘する。一つはウェブデザイン、会計、エンジニアなどの「分野の専門性」、もう一つは組織内部の構造や働き方を熟知し、その企業で成果を出す力である「社内の専門性」だ。
ジェネラリストと称される人々は、しばしば「分野の専門性」の欠如に悩むが、実は「社内の専門性」という強力な武器を所有している場合が多い。これら二つの専門性は、単独ではなく掛け算でその価値を発揮する。もし一方の専門性が不足していると感じるなら、パートナーを見つけて補完し合うチームを組むことも戦略的である。20代後半で「専門性がない」と焦る必要はなく、まずは周囲に尊敬できる人がいる環境に身を置き、その場所で学びを深めることが第一歩となる。
Q. 年収が下がる転職について、どのように考えればよいか?
年収が下がる転職は一見リスクのように思えるが、青田氏はこれを新しい経験を得るための「勉強代」と捉えるべきだと主張する。例えば、キャリアを通じて7回転職した彼自身、その半分は年収が下がった転職であったという。
目の前の年収だけに囚われるのではなく、その転職によって得られる経験やスキルが将来の「生涯年収」や自身の成長にどのように寄与するかを長期的な視点から評価することが重要である。
まず、自身のライフプランに基づき、「いくらあれば生活が成り立つのか」を具体的に試算し、仮の金銭的ゴールを設定することが賢明だ。この目標が明確になれば、必要以上の高年収に固執することなく、キャリアにおける真の価値判断が可能になる。そして、転職によって年収がどの程度下がるのか、それが自身の生活にどれほどのインパクトを与えるのかを解像度高く把握することが、納得のいく意思決定に繋がるだろう。
Q. キャリアの悩みを解決するために、まず何をすべきか?
多くのキャリアの悩みは、「今のキャリアこのままでいいのか?」といった漠然とした、あまりに広範な問いから生じることが多いと青田氏は語る。このような「難問」は変数が多すぎ、具体的な答えを導き出すのが困難なため、結果的に思考停止に陥り、貴重なキャリアの「旬」を逃してしまう原因となる。
悩みを解決するための第一歩は、この問い自体を「精査する」ことにある。つまり、「私って転職した方がいいですか?」のような大きな問いではなく、それを具体的な小さな問いにブレイクダウンする作業だ。例えば「今の悩みを別の言葉で言い換えると何だろう?」と自問することで、より意味のある、解を導きやすい問いに変容させることが可能となる。問いの質を高めることが、キャリア選択の質を向上させることと直結しているのである。