健康新常識
サラダ油・ごま油はやめろ/テレビじゃ言えない/調理油はコレを選べ/週3回 魚を食べよ/ツナ缶の落とし穴
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2026年10月11日

日常的に使う「サラダ油」が実は万病の引き金となっている。植物油脂の何が危険なのか? オメガ6とオメガ3の黄金バランスは? 油研究の第一人者である麻布大学名誉教授・食機能探索研究所BABILON代表の森口徹氏が徹底解説する。 <出演> 守口 徹 麻布大学 名誉教授/食機能探索研究所「BABILON」...
サラダ油をやめて魚を食べるべき理由とは?専門家が語る現代人のための脂質改善法
「油は太るから控えめにするべき」という単純な健康常識は、もはや過去のものとなりつつある。
現代の食生活において真に見直すべき問題は、摂取する油の「量」よりもむしろ「質」と「摂取比率のバランス」である。
家庭料理の必需品として広く普及しているサラダ油には、実は健康維持の観点からは評価できるメリットがほとんど存在しない。
無意識のうちに大量のオメガ6脂肪酸を摂取し続ける一方で、魚などに含まれるオメガ3脂肪酸が著しく不足しているのが実情である。
この脂質バランスの崩壊は、慢性的な炎症やアレルギー疾患、さらには脳機能の低下といった多岐にわたる不調を引き起こす。
麻布大学名誉教授の守口徹氏の見解に基づき、日常の調理油選びから魚の効果的な摂取法まで、正しい脂質マネジメントの極意を解説する。

Q. 健康的な印象のあるサラダ油をやめるべきとされる理由は何か?
サラダ油という名称は、生野菜に直接かけても固まらないように高度に精製された規格基準に由来する。
響きこそヘルシーに聞こえるが、優れた健康効果があるわけではなく、極めて秀逸なネーミングによるイメージが先行しているにすぎない。
大豆や菜種、トウモロコシなどを原料とするサラダ油の主成分は、多価不飽和脂肪酸の一種であるオメガ6脂肪酸である。
オメガ6自体は体内合成ができない必須脂肪酸であり、適量であれば血液凝固や外部細菌に対する免疫応答を担う重要な役割を果たす。
しかし安価で汎用性が高いために、揚げ物や加工食品、外食などあらゆる食品に過剰なまでに使われているのが現代の実情である。
油の専門家から見ると、意識せずとも摂りすぎてしまう現代環境下において、あえて家庭の調理にサラダ油を採用する利点は皆無である。
Q. 体内における脂肪酸の分類とオメガ6が過剰になるリスクとは何か?

体内に存在する脂肪酸は、大きく4種類に整理して把握することが基本となる。
牛脂や豚脂に代表される飽和脂肪酸と、オリーブ油などに含まれるオメガ9脂肪酸は、炭水化物などを原料として体内で自己合成できる。
一方、オメガ6とオメガ3の2種類は体内で作り出せないため、毎日の食事から摂取しなければならない必須脂肪酸に該当する。
問題となるのは、オメガ6とオメガ3が体内において全く同一の代謝酵素を奪い合う競合関係にある点である。
体内のオメガ6が突出して多くなると、オメガ3を代謝するための酵素が枯渇し、オメガ3由来の良好な生体反応が阻害されてしまう。
その結果としてオメガ6の作用が暴走状態に陥り、慢性的な血管の炎症や動脈硬化、アレルギー症状などを引き起こしやすくなる。
Q. 毎日の調理油をサラダ油から切り替えるなら何を選ぶべきか?
家庭での炒め物や焼き物に使うベースオイルには、オメガ6含有量が極めて少なく熱にも強いオリーブオイルの活用が最適である。
オリーブ油の主成分であるオメガ9脂肪酸は酸化しにくいため、加熱調理を行っても有害物質が生じにくい特徴を持つ。
高級なエクストラバージンオイルでなくとも、安価な精製オリーブオイルで同等のオメガ9を十分に確保することが可能である。
また、酸化リスクが低いバターや、オメガ6の比率が控えめな米油・菜種油に切り替えることも有効な対抗策となる。
油の劣化は空気・熱・光という3要素の重なりによって加速し、傷んだ油は消化管や内臓にダメージを与える酸化脂質へと変化する。
特に長時間の加熱を繰り返す飲食店の揚げ物は酸化が進みやすいため、揚げ物は自宅で新鮮なオリーブ油を用いて調理するのが安全である。
Q. なぜ週3回以上の魚摂取が健康の最低条件とされるのか?

厚生労働省の指針では、オメガ6とオメガ3の理想的な摂取比率は4対1程度と定義されている。
研究現場では2対1がより望ましいとも言われるが、現代人の食生活は肉食化と魚離れによってオメガ6過多へと偏りきっている。
1か月に約90回ある食事の中で、理想比率の4対1を維持するには最低でも15回から30回の魚食が必要であることが判明している。
つまり週に最低3回、可能であれば2日に1回以上のペースで魚を食べることが、脂質バランスを保つ防衛ラインとなる。
長寿で知られた双子のきんさん・ぎんさんは、週21回の食事のうち12回も魚を口にして良好なバランスを保っていた好例である。
日常の食卓に意識的に魚介類を組み込まなければ、知らず知らずのうちに生体バランスは崩壊へと向かってしまう。
Q. オメガ3の欠乏は脳機能や身体組織にどのような悪影響を及ぼすのか?
「魚を食べると頭が良くなる」という俗説は、科学的な厳密さを持って表現するならば「魚を食べないと頭が悪くなる」が正しい。
オメガ3の補給は脳の潜在能力を飛躍させるのではなく、不足によって本来の100パーセントから著しく落ちていた機能を回復させる役割を果たす。
オメガ3系脂肪酸はきわめて柔軟な構造を持ち、体内のあらゆる細胞膜を柔らかくしなやかに保つ性質を備えている。
これが体内で不足すると皮膚の保水力が失われてドライスキンとなり、脳の老化が加速して認知症リスクが高まる恐れがある。
また細胞膜の柔軟性は妊活の成否にも直結しており、卵子の膜が硬いと受精や着床が妨げられるため周産期の女性にとっても死活問題である。
オメガ3を摂取する意義は、プラスの効能を狙うこと以上に、欠乏による深刻なマイナスを未然に防ぐことにある。
Q. サバ缶とツナ缶ではオメガ3の摂取効率にどのような違いがあるのか?
手軽に魚を補給できる加工食品として缶詰は重宝されるが、製法の違いによって含まれる脂質の質は天と地ほど異なる。
サバ水煮缶や蒲焼き缶は、生の魚をぶつ切りにして調味液と共に密封し缶ごと加熱するため、魚特有のオメガ3が一切失われず保持される。
対照的に一般的なツナ缶は、一度原料をボイルして栄養豊富な煮汁を排出した後、安価な植物油で油漬けにして作られる。
良質なタンパク源にはなるものの、魚由来の貴重なオメガ3はほぼ残っておらず、充填されたオメガ6系植物油を大量に摂取することになる。
ツナ缶をマヨネーズで和える調理法などは、脂質バランスの視点から見ればオメガ6の塊を口にしているに等しい。
魚の健康効果を期待して缶詰を常備する場合は、必ず原材料表示を確認し、サバ缶や水煮タイプを選ぶのが賢明である。
Q. 魚が苦手な場合はえごま油やアマニ油をどのように活用すべきか?

魚の調理や生ゴミの処理が負担で魚食が難しい場合は、植物性オメガ3であるえごま油やアマニ油の活用が有効である。
これらの油に含まれるα-リノレン酸は、体内で一部が魚の脂と同じEPAやDHAへと変換され、脂質比率の改善を後押しする。
ただしオメガ3系オイルは酸化耐性が極めて低く熱に弱いため、フライパンでの加熱調理に使用することは厳禁である。
炒め物やスープなどの調理にはオリーブ油を使い、火を止めて器に盛り付けた後に生のまま直接ひと回しふりかける使い方が原則となる。
また、えごま油と発音が酷似している一般的なごま油はオメガ6を主成分とする油であり、健康上の性質は正反対である点にも注意が必要である。
正しい知識を身につけ、日々の調味料の扱い方をほんの少し工夫することが、生涯にわたる身体の健全さを支える基礎となる。