PIVOT TALK LIFE
自分だけのキャリアの作り方
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2026年9月19日

転職、結婚、移住、独立…20~30代なら誰しもがキャリアやライフプランの狭間で悩んだことがあるはずだ。後悔しないキャリアの歩み方について、英国で建築・インテリアデザイン事務所を経営するクローデン葉子氏に聞いた。 <ゲスト> クローデン葉子|建築・インテリアデザイン事務所経営 京都大学卒、仏INSE...
自分だけのキャリアの作り方:転職、結婚、移住、独立
2010年代に人気を博したブログ「世界級ライフスタイルの作り方」の著者として知られるクローデン葉子が、現代におけるキャリアと人生の向き合い方について語る。
彼女の道のりは、大企業勤務から海外MBA取得、そしてロンドンでの建築・インテリアデザインスタジオ経営へと多岐にわたる。本記事では、一般的な「キャリアアップ」とは一線を画し、いかに自身の内面と向き合い、ライフスタイルを土台とした自己実現を達成したのかを探求する。

Q. キャリアよりライフスタイルを優先する考え方とはどのようなものか?
キャリアは人生の中でも「24時間の一部」に過ぎないとクローデン氏は語る。まず「自分はどう生きたいのか」という問いから入り、キャリアはその結果として導き出されるものだ。
この思想に基づき、30歳を前に「理想の1日」を詳細に書き出す作業を実践したという。朝7時の起床から始まり、家族との朝食、午前中の自宅での集中作業、午後の外出、子供の帰宅時に家にいる、といったごく普通の平日の理想像だ。当時の華やかな企業出張漬けの生活(五つ星ホテル宿泊や豪華な会食)は、実は疲労と時差ボケに悩まされ、自分の理想とはかけ離れていたと振り返る。このギャップに気づいた結果、理想を実現するためには「時間と場所の裁量が大きく、自宅で仕事ができる環境」が必要だと判断した。高価な外食より家族と囲む食卓の「生姜焼きの方がおいしい」と断言する価値観こそが、ライフスタイル優先の原点にある。
Q. 大企業のビジネスキャリアからデザインの世界へ転身したきっかけは何か?

総合商社時代、自身が希望する勤務地やキャリアパスが、企業の都合でコントロールされる現実に直面した。この経験から、企業に依存せず「好きな場所に住むことの難しさ」を痛感し、自立した生き方を模索し始めたという。MBA留学では、多様なバックグラウンドを持つ世界の優秀な人材との競争を目の当たりにする。非ネイティブとして言語力で優位に立つことが難しいと冷静に分析し、自身の強みが活かせる別の領域、特に「言語に頼らないビジュアルやデザインの世界」へ意識を向けた。当初は自覚がなかったが、自身の幼少期の記憶や周囲の指摘により、タイル集めや建物への関心といった潜在的な情熱が呼び起こされた。論理で突っ走りがちなビジネスパーソン時代に抑え込んでいた「創造性」を解放することが、本当にフィットするキャリアパスを見つける鍵となった。
Q. 留学や独立にかかるお金の問題にはどう向き合ったのか?
MBA取得のための留学費用や無収入期間に関して、彼女は「必要以上に生活コストを上げないこと」を強調する。
自身がどれくらいの生活費で満たされた毎日を送れるのかを明確にしていれば、高い収入に固執する必要もなくなるため、挑戦へのハードルが大きく下がるという。パートナーシップを「チーム」として捉え、互いを支え合う戦略も重要だ。彼女の場合、一方が学業に専念する期間はもう一方が経済的に支え、次には逆のサポートを行うという協力体制を築いた。この相互サポートにより、経済的リスクを分散し、何度もキャリアシフトを行う柔軟性を確保できた。結婚や家族形成がキャリアの足かせになるのではなく、むしろ挑戦を加速させる強力な基盤になると説明する。
Q. MBAや海外留学の「本当の価値」はどこにあると考えるか?

MBA留学の価値は、単なるスキルの習得やキャリアアップという損得勘定を超えたところにある。
オンラインではなく現地で学ぶことの真価は「人生を変える体験」にあるという。多様なバックグラウンドを持つ学友たち(元女優、元軍人など)との出会いは、狭い視野を打ち破り、一生涯続く深い友情を築く機会を与えた。彼らの多くは卒業後、ワイナリー経営者やワールドツアーをするミュージシャンなど、型破りな道を進んでおり、キャリアの無限の可能性を教えてくれたのだ。環境を変えることは自己変革を促す最も簡単な方法であると彼女は断言する。頭で考える「正しい」選択ではなく、自身の「体が喜ぶ」直感に従うこと。それが結果的に、精神的に豊かで後悔のない人生を送る鍵だとしている。
Q. 20代・30代の若手ビジネスパーソンに最も伝えたいアドバイスは何か?

自己啓発書を何冊も読むことに終始するのではなく、まずは学んだことを行動に移し、結果から軌道修正する「実践のサイクル」を回すことが何よりも重要だ。インプットを止めて行動することからしか、本当の自己成長は生まれない。
次に強調するのは、キャリアの「フィット」を重視することである。市場での「見栄え」や履歴書の豪華さでキャリアを選択するのは、他者の評価基準で自らを「松阪牛」のように太らせ、高く売られることを目指すようなものだという例えは印象深い。
重要なのは、自身が大規模な組織で専門性を高めるタイプなのか、あるいは時間や決定権の自由度を最優先するのかを早い段階で見極め、自身の「フィット感」に正直な道を選択することである。自分に合わない環境で無理をし続けることは、結局は不幸を招きかねない。自身の特性を理解し、主体的に働き方を選ぶことが不可欠だ。