
NISAで買える防衛ETF・投信10選【田代昌之×篠田尚子】
防衛関連株投資の最前線:「Made with Japan」が切り拓く新たな成長戦略と個人投資家の勝機
世界の地政学的緊張が高まる中、日本の防衛費増額と安全保障政策の転換は、防衛関連産業に新たな注目を集めている。
これまでの「Made in Japan」という自国完結型のものづくりから、国際協調を重視する「Made with Japan」への移行が、この産業の成長を左右する鍵となる見込みだ。
本稿では、防衛関連銘柄の多様性、個人投資家が直面する課題、そして成長のチャンスを徹底的に解説する。
激変する世界情勢と政府の強力な推進を背景に、このセクターが持つポテンシャルと、中長期的な視点からどのような投資戦略を立てるべきかを探る。
「国策に売りなし」と言われるが、この領域においてはその言葉がこれまで以上に真実味を帯びる状況だ。

Q. 防衛関連株が今、なぜ投資家の注目を集めるのか?
近年の国際情勢は、ロシアのウクライナ侵攻、中国の海洋進出、北朝鮮のミサイル開発など、日本の安全保障に直結する課題が山積している。
これを受け、日本政府は防衛予算の倍増を打ち出し、防衛産業の強化を国家的な課題として掲げているのだ。
このような政策的な後押しは、防衛関連企業にとって売上拡大と技術開発促進の絶好の機会となり、中長期的な視点で投資家からの大きな注目を集める要因となっている。
防衛関連事業は製品開発から導入まで数年から数十年の時間を要する息の長いプロジェクトが多いため、一時的な株価変動に一喜一憂せず、長期的な成長を見据えた投資が求められる。
初期の成長期待からくる思惑買いが先行し株価が乱高下しやすい特徴があるが、ひとたび安定的な収益化が見込めれば、その価値はより一層確かなものとなるだろう。
Q. 防衛関連銘柄とは具体的にどのような企業群を指すのか?

一般的に防衛関連銘柄と聞くと、三菱重工業や川崎重工業、IHIのような重工業メーカーを想像するかもしれない。
しかし、現代の防衛産業は精密機器、化学メーカー、素材産業、電子部品、情報技術(IT)など、実に多様なセクターの企業が技術を提供している点が特徴だ。
例えば、ミサイルの誘導システムに不可欠な精密電子部品、特殊な性能を持つ素材、航空機や艦船に使用される軽量高強度部材などを供給する企業が該当する。
これら企業は、通常の分類では「防衛セクター」として認識されにくい場合が多いため、広範な視野で銘柄選定を行う必要がある。
特に、AI、サイバーセキュリティ、ドローンといった先進技術は、「防衛テック」として新たな投資領域を形成し、非軍事企業が防衛分野へ参入する動きも活発になっている。
Q. 個人投資家が防衛セクターに乗り出す際の賢明なアプローチは何か?
防衛産業は高度な専門知識が必要とされるため、個別の企業を選定するには大きなハードルがある。
初心者や専門知識がない個人投資家が個別株を選ぶ際には、事業内容が明確で外需を取り込んでいる企業、例えばスカパーJSATホールディングスのようなグローバル展開している企業が比較的分かりやすい選択肢となるだろう。
より手軽に防衛セクター全体へ投資したい場合、投資信託やETFが有効な手段だ。
「テーマ型ファンド」として宇宙開発や防衛テックに焦点を当てたものが複数存在し、これらを通じて分散投資の効果を得ながらセクターの成長を取り込める。
ただし、日本株に特化したファンドは少なく、多くは流動性の高い米国株を中心に構成されている点に留意が必要だ。
また、日本の防衛産業はまだ黎明期にあり、今後の政策や国際連携の進展によって投資環境が大きく変化する可能性があるため、常に最新情報を追う姿勢が重要となる。
Q. 世界の宇宙・防衛ファンドはどのように変化しているのか?

世界の宇宙・防衛関連ファンドは、主に「宇宙開発」「防衛テック」「国家安全保障」の三つのカテゴリーに分類できる。
初期のファンド(2018年頃)は純粋な宇宙探査やロケット・衛星開発など、より夢のある「宇宙開発」に焦点を当てたものが多かった。
しかし、過去5~6年で地政学的リスクが顕在化すると、「防衛テック」へとシフトが進んだ。
AI、サイバーセキュリティ、ドローンといった先進技術を活用し、防衛能力向上を目指す企業群への投資が主流になり、これまでのイメージとは大きく異なっている。
日本においては、防衛関連株の時価総額や流動性が低い企業が多いため、投資信託が組成されにくい実情がある。
結果として、「グローバルX 防衛テック日本株式ETF」のような例外を除き、ほとんどのファンドは運用上の制約から流動性の高い米国や欧州の大企業を中心に投資を行う傾向が強い。
このことは、日本の個人投資家が独自に魅力的な中小企業を見つけ出す余地を残しているとも言える。
Q. 日本の防衛産業の現状と国際的な位置づけはどうなっているのか?
日本はこれまで防衛産業に対して慎重な姿勢であったが、国際情勢の変化により、政府は国内産業の育成を強化している。
しかし、アメリカのヘグセス国防長官がアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で「韓国を見習え」と発言したように、米国の視点では、日本の防衛費増強と産業育成の動きはまだ評価途上であると認識されている。
これは、隣接する北朝鮮の脅威に直面し、大規模な防衛費と最新兵器調達にいち早く動いた韓国とは対照的である。
今後の日本の防衛産業は、米国一辺倒ではない多様な国際連携が鍵を握るだろう。
日英伊3カ国による次世代戦闘機(GCAP)の共同開発プロジェクトにカナダやオーストラリアも関心を示すように、非覇権国同士での技術共有や開発協力が活発化している。
このような連携は、「Made with Japan」のコンセプトを体現するものであり、日本の技術力が世界に求められる重要な機会となる。
Q. 個人投資家にとってニッチ・高シェアの中小型株に「大化け」の機会はあるのか?
防衛関連の多くの中小型株は、時価総額が小さく流動性も低いため、外国人投資家や大手機関投資家は投資規制や運用リスクの観点から手を出せないことが多い。
しかし、このことが逆に個人投資家にとっては魅力的な機会となる。
他社に真似できないようなニッチな技術分野で高いシェアを持つ企業は、いつかブレイクスルーを果たし、株価が急騰する「大化け」の可能性を秘めている。
特に、軍事技術を民生品へ転用する「デュアルユース」の成功例は、企業の価値を飛躍的に高める。
例えば、富士フイルムが写真フィルムの技術を化粧品や医療分野に応用して成長したように、防衛関連の精密技術も民間市場で大きなインパクトをもたらすかもしれない。
また、国防に関連する特殊な事業内容ゆえにIR(投資家向け広報)を積極的に行わない企業も多く、これらの企業の中に、まだ市場に十分に評価されていない「お宝銘柄」が眠っている可能性がある。
日本語の公開情報を丹念に読み解き、将来性を自分自身で発掘できる個人投資家こそが、この分野で大きな勝機を見いだせるだろう。
Q. 防衛関連株投資で長期的に夢を追い求める際に必要な心構えとは?

防衛・宇宙関連セクターは、国家の安全保障に直結する分野であり、政府が国策として推進するため、そのポテンシャルは極めて高い。
しかし、前述の通り株価の乱高下も予測されるため、「国策に売りなし」という大前提に立つと同時に、「投資は自己責任」という基本原則を徹底する姿勢が求められる。
ポートフォリオ全体のリスクを考慮し、少額での積立や長期保有を基本とする投資戦略が有効だ。
短期的な利益を追うのではなく、今後5年から10年のスパンで、技術革新や国際連携が進展することで、企業価値が飛躍的に向上する未来を想像する投資家こそが報われるだろう。
個人投資家は、世界の大手企業に投資するETFから、日本のニッチな高シェア中小企業まで、多岐にわたる選択肢を自由に組み合わせられる。
このテーマは、最新の技術トレンドと国際情勢を学びながら、自分だけの投資ポートフォリオを構築する喜びを与えてくれる、数少ない魅力的な領域と言えよう。
