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15年ぶり日米協調介入の真実
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2026年8月4日

15年ぶりとなる日米協調介入が実施された。米国が介入に踏み切った背景には、円安に伴う日本国債売りが米国債の利回り上昇を招き、米株調整やリセッションの引き金になることへの強い警戒感がある。米国の真の狙いと日銀による利上げペース加速の可能性、そして円安の根本原因である貿易赤字の実態について徹底解説する。...
日米協調介入の裏側:為替市場の今後と日本の取るべき戦略を専門家が解説
7月31日、円相場が一時1ドル162円台後半から157円台へと大幅に上昇する局面があった。この動きの裏には、15年ぶりとなる日米当局による円買い協調介入があったことが後に明らかになった。表面上は円の過小評価是正という説明だが、識者はアメリカ側の具体的な思惑があったと分析する。協調介入の真の狙い、今後の為替市場の動向、そして日本が取るべき戦略について、みずほ銀行チーフマーケットエコノミスト唐鎌大輔氏が語る。

Q. 15年ぶりとなった今回の協調介入に踏み切った直接的なきっかけは何だったか?
今回の介入は表面上、日本の助けを求めた結果に見える。しかし、その実態はアメリカ側の事情が主要なトリガーだったと見られる。具体的には、介入の直前にはアメリカの30年債利回りが19年ぶりの高水準である5.2%台を記録している。過去にも米国の長期金利が高まった後に日米共同のレートチェックが行われた経緯があるのだ。

近年、「日本売り」の様相を呈した円安が進行し、これと同時に日本国債の利回りも上昇した。日本の金利上昇は米国債の相対的な魅力を低下させ、投資家が米国債から日本国債へ資金をシフトする誘因となる。その結果、米国債が売られ、米国債の利回りがさらに上昇する悪循環をアメリカは懸念していたと考えられる。
Q. なぜ米国は今回の介入に協力したのか、その裏にある真意は何か?
米国の介入協力の背景には、自国経済への悪影響回避という強い動機が存在する。FRBは複数回利下げを行っているにもかかわらず、長期金利は高止まりしている。これは、第2次トランプ政権の孤立主義的政策に起因する「ドル離れ」や、構造的な米国債への需要不足が原因と見られる。

金利高止まりは、米国株価の割高感を強め、株価調整のリスクを高める。アメリカの家計金融資産の40%以上を株が占める現状において、株価の調整は消費低迷を引き起こし、最終的にはリセッションにつながる可能性がある。米国当局は、この景気後退のリスクを高める「ノイズ」である円安を是正するため、今回の介入に協力したとの推測が成り立つ。
Q. 日米両国はユーロに対しても介入を実施した。これはどのような狙いがあるのか?
報道によると、今回の協調介入はドルと円だけでなく、ユーロ売り円買いの形でも行われたと見られる。これは金利上昇圧力を米国債だけに集中させないためである。ドル売り円買いのみの場合、米国債だけが売却対象となり、さらに米国の金利が上昇する懸念がある。
ユーロに対しても介入することで、利回り上昇圧力が米国債と欧州債に分散され、自国の負担を軽減する効果がある。この動きも、米国の国債利回り抑制を主目的とした合理的な戦略の一部であると捉え得る。
Q. 協調介入の発表が市場に与えたメッセージ性と、その効果についてどう見るか?
日米当局が同じ通貨政策の方向性を向いているという事実は、市場に対し極めて強いメッセージとなる。これによって、これまで蓄積されていた投機的な円売り持ち高は利益確定の調整を余儀なくされる。実際、円相場は介入後に大幅に上昇した。市場で「当局と戦うな」という格言があるように、今回の協調は投機筋による過度な円安誘導を短期的に抑制する効果が期待できるだろう。
Q. 今後、日本は円安を是正するためにどのような政策を講じるべきか?

協調介入はあくまで一時的な「時間稼ぎ」である。その間に日本が根本的な対策を講じる必要がある。現状、日本の政策金利は実質マイナスであり、財政政策も減税など拡張気味である。これらの要因は本質的に円安を促すため、日米協調介入による円高方向への力を持続させるためには、これらと整合性の取れた政策転換が不可欠である。
具体的には、日本銀行は四半期ごとの利上げなど、利上げペースの加速が求められる。また、財政に関しても補正予算規模の見直しなど、財政の健全化に向けた引き締め気味の政策が焦点となってくるだろう。最強のパートナーであるアメリカの協力を得ている間に、日本は真の自立と成長戦略を確立し、情報発信を刷新するべき時である。
Q. 協調介入後も円安圧力が残る可能性はあるか、その原因は何か?
為替介入や利上げは一時的な効果をもたらすものの、中長期的なドル円相場を左右するのは、実需に基づく「貿易収支」の動向である。現在の日本は構造的な貿易赤字体質にある。原油備蓄放出の終了や、ホルムズ海峡を経由しない高価な代替原油調達(対米依存度の上昇)により、貿易赤字は7月以降、さらに拡大している可能性がある。
この貿易赤字は継続的な実需ベースの円売り圧力となる。さらに、デジタルサービスの赤字や防衛装備品購入費といった外貨支払い需要も増大している。これらの構造的な問題が解決されない限り、短期的には円高になっても、長い目で見れば再び円安基調が続く可能性が高い。介入後も冷静に実需の動向を分析し、中長期的な円安に備える視点が不可欠である。