健康新常識
体調崩す前触れ/死亡リスク高い4つの不調サイン/パフォーマンスを最大化する健康管理術
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2026年8月16日

働き盛りのビジネスパーソンを襲う突然の不調。それは体が発する明確なSOSだ。経営者・富裕層のパーソナルドクター山本康博氏は、体調を崩す前触れのサインが4つあると教える。サインを見逃さず対処し、死亡リスクを減らす方法を解説する。 <出演> 山本康博 総合内科・呼吸器専門医/医学博士/経営者・富裕層パ...
見落とされがちな「体のSOSサイン」早期発見がパフォーマンスを高める
多忙なビジネスパーソンにとって、体調管理は日々のパフォーマンスを維持する上で不可欠だ。
しかし、日々の体の不調を「まだ大丈夫」と見過ごしがちなケースは少なくない。
今回は、経営者のパーソナルドクターとして多忙な人々の健康管理を支援する山本康博氏が、見逃してはならない体のサインについて解説する。
本稿では、仕事のパフォーマンス最大化のために知っておくべき「4つの不調のサイン」と、それらに潜む危険性、そして具体的な対策を深掘りする。

Q. 体が発する不調の「静かなサイン」とは何だろうか?
健康のプロである山本医師によると、私たちは体の小さなアラートを見過ごしがちだ。
しかし、これらは時に将来の健康を大きく左右する重要な兆候となることがある。
安静時心拍数の上昇
握力の低下
寝ても取れない疲労が2週間以上続く
体重が変わらないのに体型が変わる
以上の4つが、特にビジネスパーソンが見逃しやすい不調のサインであり、これらを早期に察知し適切に対処することが、パフォーマンスの維持と向上に直結する。
Q. 安静時心拍数の上昇は健康状態にどう関係するのか?
安静時心拍数は、体の余裕や心肺機能のレベルを示す「鏡」と言える。
心肺機能が高い人は一回の拍動で多くの血液を送れるため心拍数は低く保たれるが、体調不良や異変があると心拍数が上昇する傾向にある。
スマートウォッチなどのデバイスがなければ、起床時の安静時に脈拍を測ることで自身の状態を把握できる。
約100万人規模の大規模研究から、安静時心拍数が10拍上がるごとに全死亡リスクが9%上昇するとの結果がある。特に80拍以上の人は65拍未満の人に比べて全死亡リスクが50%以上高いことが分かっている。
過去の自身の心拍数と比較し、年々上昇している場合は心不全や死亡のリスク増大との関連が強いことが示唆される。
心拍数上昇の原因は多岐にわたり、貧血、ストレス、睡眠不足、感染症、甲状腺機能亢進症などが挙げられる。自己判断せず、まずは内科や循環器内科で潜在的な病気の有無を検査することが重要だ。異常が除外された場合、心肺機能を鍛える有酸素運動が効果的である。

また、慢性ストレスが原因であれば、スタンフォード大学開発の「サイクリックサイ」という呼吸法が効果を示す。
この呼吸法は鼻から半分吸ってからさらに吸い込み、口から長く吐き出すため息のような方法で、1日5分行うだけで不安軽減やポジティブな気分向上に繋がることがエビデンスとして報告されている。
Q. 握力はなぜ全身の健康度を示すバロメーターとなるのか?
握力は単に「手の力」を測るだけでなく、脳の運動野から神経を経て筋肉へと繋がる全身の連動と健康状態を反映する。
著名な医学雑誌に発表された研究では、握力が5kg弱まるごとに全死亡リスクが16%、心臓血管死リスクが17%上昇することが示された。高血圧よりも握力低下の方が死亡リスクとの関連が深いという結果も出ている。
さらに、握力は認知症やパーキンソン病、要介護状態のリスクとも関連が深く、強い人ほど発症率が低いことが明らかになった。
筋肉減少症(サルコペニア)の基準として、男性は28kg以下、女性は18kg以下の握力に注意が必要だ。
全身の健康指標として腕立て伏せの回数も注目されている。ハーバード大学の研究では、1分間に40回以上腕立て伏せができる消防士は、10回未満の消防士と比較して将来の心筋梗塞などの心血管疾患リスクが90%も低かった。適切かつ深く行う腕立て伏せが10回できるかどうかを目安とするべきだろう。
握力低下は全身の筋力低下や栄養状態の悪化を示す「鏡」であるため、グリッパーのような部分的なトレーニングではなく、全身をバランス良く鍛えることが重要だ。
特に下半身の筋肉は非常に重要であり、スクワットが推奨される。
腕立て伏せが難しい場合は、膝つき腕立てやジムのマシンを活用し、全身を週2回程度鍛えることから始めるのが良い。
Q. 2週間以上続く「寝ても取れない疲労」にはどのような原因があるのだろうか?

2週間以上も「寝ても取れない疲労」が続く場合、以下に示す主要な原因が潜んでいる可能性がある。
アルコールによる睡眠の質の低下
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
慢性的なストレス
アルコールは入眠を促すが、睡眠後半のレム睡眠や深い睡眠を阻害し、睡眠の質を著しく低下させる。これにより、十分な時間寝ても「中身のスカスカな睡眠」となり、疲労回復が滞る。健康的な飲酒量は「ゼロ」とされているが、困難であれば「週2日は飲める日」と意識を切り替え、量や頻度を減らすと良い。
いびきが大きい、日中に強い眠気があるなどの症状がある場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性が高い。日本では約900万人以上の潜在患者がいるとされるこの病態は、自宅での簡易検査が可能であり、診断された場合はCPAP治療やマウスピースなどで劇的に症状が改善することが多い。根本治療には体重減量が効果的である。
精神的なストレスは、ストレスホルモン(コルチゾール)の過剰分泌を引き起こし、体が休息モードに切り替わるのを阻害する。スマートウォッチの心拍変動(HRV)機能でストレスレベルを把握できることもある。
胃潰瘍、下痢、不整脈など、体にも多様な症状が現れることがあるため、メンタルクリニックへの受診に抵抗がある場合は、まず内科で身体症状を相談するのも有効な選択肢だ。
Q. 体重が変わらないのに体型が変化する場合、何が起こっているのだろうか?
体重やBMIが正常範囲内であっても、ベルトの穴が変化するなど体型の変化が見られる場合、筋肉が減少し内臓脂肪が増加している「TOFI(Thin Outside Fat Inside:外見は痩せ、中身は肥満)」の状態にある可能性がある。
日本人は欧米人と比較して内臓脂肪がつきやすい傾向にあるとされ、この「隠れ肥満」に陥りやすいことに注意が必要だ。
内臓脂肪は単なる脂肪ではなく、体内の慢性炎症、血糖値上昇、血圧上昇、脂肪肝など、様々な健康リスクを高める有害なホルモンを分泌する器官だ。
特に男性では、内臓脂肪から出る物質が男性ホルモン(テストステロン)を女性ホルモンに変換し、やる気の低下や筋力減少を招き、結果としてさらなる脂肪蓄積という負のサイクルを引き起こす危険性がある。
対策の第一歩は、家庭用体組成計やジムのインボディなどの高精度な機器で、体脂肪率、筋肉量、内臓脂肪レベル(10未満が標準、10以上は要注意)といった現状を正確に把握することだ。
体重が同じでも筋肉が減り脂肪が増えていれば、体が悪化の方向に向かっているサインとなる。週2回の筋トレ(スクワットなど)を通じて筋肉量を維持・増加させることが、体組成改善に非常に重要である。日常生活で工夫して運動を取り入れることも効果的だ。
Q. これらの不調のサインにどう対処すべきか?

今回紹介した体の「静かなサイン」は、いずれも日常生活をこなせてしまうほど微細であるため、つい見過ごされがちだ。
しかし、これらは体からの貴重なアラートであり、無視することで健康が一気に崩れる可能性がある。
安静時心拍数を定期的に測る。
握力や腕立て伏せの回数を把握し、全身の筋トレを継続する。
2週間以上続く疲労があればアルコール摂取を見直し、睡眠時無呼吸症候群やストレスの有無を専門医に相談する。
体組成計で内臓脂肪レベルをモニタリングし、筋トレと食事で適切な体組成を目指す。
山本医師が指摘するように、これらのアラートサインを適切に拾い上げ、必要な対策を打つことで、仕事のパフォーマンス向上と長期的な健康維持に繋がる。不調が顕在化する前に自身の体と向き合い、積極的に管理する意識が求められるだろう。