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【速報解説】1ドル164円に接近。円安加速の理由
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2026年7月24日

1ドル164円に急速に接近。なぜ円安ドル高が加速しているのか?介入はあるのか?今後、円は落ち続けるのか?為替ストラテジストの佐々木融氏に聞いた。 <ゲスト> 佐々木 融|ふくおかフィナンシャルグループ チーフ・ストラテジスト 1992年上智大卒、日銀入行。国際局為替課で介入実務を担い、NY駐在時は...
ドル円160円台迫る、異次元の円安はどこまで続くのか?
現在の為替市場では、ドル円が1ドル160円台に迫る異常な円安ドル高が進行しており、多くのビジネス関係者や個人の生活に直接的な影響を与えている。その原因、構造的な問題、そして今後の見通しについて大きな関心が寄せられている現状だ。

福岡フィナンシャルグループチーフストラテジストの佐々木融氏に、現在の「ドル高円安」同時進行のメカニズム、背景にある構造的な問題、そして今後のシナリオをQ&A形式で聞くことで、その実態に迫る。
Q. 最近の急速な円安ドル高はなぜ起こっているのか?
以前は膠着していたドル円相場だが、ゴールデンウィークの介入後、明確なドル高と円安が同時に進行するフェーズに移行した。ドル高の主因は、米連邦準備制度理事会(FRB)高官のタカ派発言や堅調な経済指標を受け、米国の追加利上げ期待が高まっているためだ。

これが米2年債金利を押し上げ、ドル買いを促している。根強いインフレ懸念も、高金利とドル買いを支える要素である。また、ドル全体の強さを判断するバロメーターとして、ユーロドルが1.14ドルを下にブレイクし、本格的なユーロ安ドル高トレンドとなるかに注目が必要だ。
Q. なぜ円はここまで売られているのか、その背景に何があるのか?
円安は、日本の大幅なマイナス実質金利、企業の活発な対外直接投資、貿易・サービス収支の赤字という長期要因によって固定化されている。短期的には、政府の補正予算編成や消費税減税の議論といった財政拡張姿勢が懸念されている。
特に「骨太の方針」における日本銀行への実質的な牽制は、「日銀は早期に動けない」という市場の認識を決定づけ、円売りを加速させた要因である。
Q. 日銀は利上げに踏み切れないのか?
他の主要中央銀行が積極的にインフレ対策を講じる中、日銀の動きは鈍い。金利先物市場は日銀の次回会合での利上げをほとんど織り込んでおらず、年内でも1回程度しか見込んでいない。
これは政府からの圧力と日銀の過度な慎重姿勢による。特に中東情勢緊迫化による原油高などを「不透明感」として捉え、様子見に終始する傾向が見られる。この利上げの遅れが、金利差拡大と円安進行を許容する大きな原因となっている。
Q. この円安と資源高は私たちの生活にどう影響するのか?
現在の円安と資源高は、私たちの生活に輸入インフレというダブルパンチを与えている。円安でドル建ての原油価格が上昇し、円建てでは前年比43%高を記録した。
液化天然ガスも前年比約2倍、銅やアルミは2〜3割、小麦は44%高と、食料やエネルギーの円建て輸入価格が広範囲で急騰している。この企業物価の先行的な上昇は、時間差で消費者物価指数を押し上げることが過去のパターンから示唆される。日銀の基調的インフレ指標は既に2%台後半で推移しており、インフレ圧力はさらに強まるだろう。
Q. 為替介入は期待できるのか、効果はあるのか?
ドル独歩高の局面では、日本単独での為替介入は効果が薄い可能性が高い。過去の介入が有効に見えたのは、米CPIが予想を下回り、ドルの上昇トレンドが同時に一服した時である。現在のような米利上げ期待に伴うドル高局面では、介入の持続的な効果は期待しにくい。

また、介入期待による投機的な円買いポジションが溜まっている上、輸入企業のドル買いオプションがノックアウト(消滅)したことによる実需のドル買いフローが活発化している。これらは、万一介入があったとしても、その効果を相殺してしまう恐れがある。政府・日銀は165円レベルでも介入を見送るかもしれない。
Q. 政府はなぜ円安を容認しているように見えるのか?
政府が円安を黙認する背景には、株高と税収増への期待があると推測される。円安は日本企業のドル建て収益を円ベースで膨らませ、株価上昇につながる。
また、物価高に伴うインフレは、累進課税制度の下で国民所得の名目増加を通じて税収を自然と押し上げる「ブラケットクリープ」をもたらす。こうした効果は、輸出の実質的な増加がないにもかかわらず、「見せかけの好景気」を演出するために利用されている可能性がある。しかし、円安が国民の購買力を低下させている事実は大きく、世論の動向次第では政府への批判が高まる可能性も秘める。
Q. この先、ドル円相場はどこまで進むと予想されるのか?
介入がなければ、ドル円は一段と円安に進むだろう。現在の円の対ドル購買力平価(消費者物価ベースで約106円)からの著しい乖離は、日本の購買力が極度に低下した状況を意味する。

中東情勢の悪化による貿易赤字拡大やFRBの利上げ期待継続に加え、無秩序な財政拡大が日本国債の格下げを誘発すれば、金融機関のドル調達難と企業によるドル買いが加速し、円安は制御不能に陥る恐れがある。日銀のタカ派委員の任期満了も、今後の利上げをさらに困難にするだろう。
専門家の間では、年内に170円への上方修正も現実味を帯び、この状況が続けば来年には180〜190円という、これまで想像もしなかった歴史的な円安ステージに突入するとの見方が強まっている。抜本的な政策転換がなければ、日本経済への甚大な影響は避けられない。