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【続・森保ジャパン徹底レビュー】ポスト森保に相応しいのは誰か?
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2026年7月11日

半年間の続投が報じられた森保監督。その後の新監督には誰が相応しいのか?次期監督の条件は何か?協会をどう再編すべきか?徹底議論してもらった。 <ゲスト> 木崎伸也|スポーツライター 1975年、東京都生まれ。2002年夏にオランダへ移住。翌2003年から6年間、ドイツを拠点に欧州サッカーを取材。スポ...
日本サッカー界、既定路線を打ち破るか?次期監督人選から紐解く協会改革の論点
日本サッカー界では、代表監督の人選を巡り常に議論が繰り広げられる。ワールドカップでの躍進により森保監督の続投が決まったが、その背景には不透明な選考プロセスと、ピッチ内外で監督に求められる多様な要素が絡み合っていた。

本記事では、現状の協会体制が抱える課題を深く掘り下げつつ、次期監督の選考基準、有力候補、さらには根本的な組織変革の必要性について、多角的な視点から考察する。

Q. 日本代表監督の選考プロセスに潜む問題点とは何か?
日本代表監督の選考プロセスは、実質的に透明性に欠け、日本サッカー協会(JFA)上層部による密室での決定が常態化している。技術委員会などの専門的な会議体が形式的なものとなり、田嶋、岡田、山本、宮本の4氏といった特定幹部の意向が色濃く反映されるのが実情だ。これにより、森保監督の半年間延長なども鶴の一声で決定され、外部からは出来レースのように見える。
このような状況の裏には、日本人監督の「都合の良さ」がある。契約を厳格に順守する外国人監督とは異なり、日本人監督はスポンサー対応やイベント出演、メディア露出など、契約に含まれないピッチ外の業務も自発的に引き受ける傾向が強い。これはJFAの運営において非常に重宝される側面であり、組織の論理が人選に影響を与える大きな要因となっている。
Q. 森保監督の半年間続投の背景には何があるのか?
森保監督の半年間の続投は、次期監督への円滑な引き継ぎを前提とした「既定路線」として考えられる。情報筋によると、半年後に欧州のシーズンが終了し、アジアカップが開催されるタイミングで、大岩剛U-23日本代表監督へバトンタッチするという青写真がすでに描かれていると指摘されている。
この半年間の契約は、森保監督が個人的に進路を模索する時間、具体的にはベルギーのシント=トロイデンなどへの就任準備期間として機能する可能性が高い。JFAにとっては、アジアカップ予選突破という短期的な成果と、確実に予選を通過できる「堅実な」監督選考を両立させるための苦肉の策であるとも言えるだろう。
Q. 次期日本代表監督に真に求められる能力は何か?
日本代表監督に求められる条件は、単に優れた戦術眼だけでなく、チームを一つにまとめ上げる強固な団結力とマネジメント能力だ。ワールドカップのような長期間にわたる過酷な大会を戦い抜くには、選手一人ひとりのパフォーマンスを引き出し、チーム全体の士気を維持する手腕が不可欠となる。森保監督の強みも、この「ジャパンズウェイ」(あるいは「森保ズウェイ」)と呼ばれる求心力にあったと評価する声が多い。
しかし、チームのマンネリ化を防ぎ、戦術の幅を広げるためには、異文化のノウハウを導入できる柔軟性も必要となる。既存の日本人指導者の多くが抱える共通の課題として、現代サッカーで必要とされる細かいプレスの仕組みなどを現場に落とし込めていないという現状が指摘される。そのため、監督や少なくともコーチングスタッフには、欧州の最先端の知見を持ち込める人材が求められるだろう。
Q. 長谷部や本田のような名選手を育成するには何が必要か?
本田圭佑や長谷部誠といった、日本サッカー界のレジェンド級の選手たちが次世代の指導者として期待されているが、彼らを「名監督」へと育てるためには慎重なプロセスが求められる。
イタリアのピルロの例が良い教訓となるだろう。現役時代の輝かしい実績にもかかわらず、経験不足のまま名門ユベントスの監督に抜擢され、わずか1年で解任されたピルロは、その後のキャリアに大きな傷を残した。長谷部や本田を同様の「失敗」から守るためには、オリンピック代表やJリーグクラブなどの下部カテゴリーでの経験を十分に積ませる「段階的なキャリアパス」を設計し、長期的な視点での育成計画が必要である。

また、森保監督が示したような高度なメディア対応力やスポンサー業務への協力をこなす能力も、日本特有の「監督業」として重要である。これらは若手指導者や外国人監督が日本で成功する上での大きな障壁となり得るため、指導者育成プログラムにおいて、ピッチ外のスキル習得にも焦点を当てるべきだという意見も存在する。
Q. 日本サッカー界を変革するために「JFA会長選挙」は有効な手段となるのか?
日本サッカー界の抜本的な改革を求める声の中には、JFA会長選挙を一般サポーターにも開かれた形で行うという過激な提言もある。
現状、監督一人の責任ばかりが問われる風潮があるが、実際は組織全体の財務やビジョンを決定するJFA会長の力量こそが、日本サッカーの将来を左右する。この会長選挙を通じて各候補者が「どのような監督を招聘し、どのようなビジョンで日本サッカーを発展させるのか」というマニフェストを公約として提示すれば、組織に健全な競争と責任感が生まれ、サポーターは「自分たちの代表」であるという納得感を持つことができるはずだ。
この改革の実現には大きな課題が伴う。FIFAは加盟国のサッカー協会に対して、政治や外部からの介入を厳しく禁じており、規定以外の選考プロセスを実施すればワールドカップ予選追放などの制裁を受けるリスクがある。
また、現在のJFA会長選は、実質的に対立候補が現れない無風状態で「出来レース」化している。これを変えるには、規定の範囲内で新たな解釈やロビー活動を行うといった「変化の起こし方」に関する知見も必要だ。日本人の得意とする“憲法解釈の変更”のような形で、この会長選挙が実現すれば、日本サッカー界全体が活性化する起爆剤となる可能性があるだろう。
Q. 森保監督体制下の日本代表における監督と選手の信頼関係に課題はあったのか?
森保監督と選手たちの間には、表向きは良好な関係が築かれているとされたが、内実では信頼関係に課題が潜んでいた可能性が指摘される。
特に、アジアカップでの遠藤選手を巡る問題は、監督と選手の間の溝を象徴している。負傷からのコンディション調整を重視しリハビリに専念したい選手と、可能な限りの状態チェックを行いたい監督との間で、決定的な意識のズレがあったとされる。最終的に遠藤選手が離脱時に挨拶なしでチームを後にした事実は、これまでの関係性において監督への不信感があったことを示唆する。

森保監督は、ピッチ外のメディア対応やスポンサー活動においては卓越したバランス感覚を発揮したが、サッカーの戦術面においては「嫌われる勇気」に欠け、選手に対して厳しい指導や抜本的な変更を強く求められなかった側面も指摘される。これが、大会中の戦術的な修正の遅れにも繋がったという見方もある。
Q. 日本のサッカーメディアが代表チームへ厳しい批判ができない背景には何があるのか?
日本のサッカーメディアが、日本代表やJFAに対して本質的な批判を行うことに躊躇する背景には、取材機会の損失を恐れる「馴れ合いの文化」が存在すると指摘される。結果に厳しい野球界のメディアと比較され、「甘すぎる」との批判を受けることも多い。
実際にはJFAが決定的な取材拒否をすることは稀だと言われるものの、メディア各社は囲み取材から外されたり、独占インタビューの機会を失ったりすることを避けようと、無難な報道に終始しがちだ。これは企業としての経営事情も大きく影響している。
また、ワールドカップでの「優勝」という目標設定が、最初の段階から曖昧であったことも問題を複雑にしている。元々、主将ですら達成可能な目標として迷いながら発言した「優勝」が、あたかも全員の総意であるかのように独り歩きした結果、大会後の客観的な検証や厳しい責任追及が難しくなっている。この曖昧さが、日本サッカー界の根本的な進歩を阻害している可能性がある。