MONEY SKILL SET
元ホークス・新垣渚の超堅実マネー術
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2026年7月6日

数千万単位の税金や引退後の収入激減など、アスリート特有の財務リスクはどう管理すべきか。松坂大輔氏からポルシェを500万円で譲り受けた堅実な金銭感覚と、妻による完全な資産管理体制に迫る。 <ゲスト> 新垣渚|元プロ野球選手 1998年夏の甲子園で松坂大輔さんとともに 150キロ超の直球で注目を集めた...
元プロ野球選手・新垣渚氏が明かす、リアルな金銭事情と堅実な資産形成術
華やかなイメージとは裏腹に、プロ野球界にはシビアな現実が存在する。元プロ野球選手である新垣渚氏をゲストに迎え、高額な年俸の裏側、豪快に見えて堅実な金銭感覚、そしてアスリート特有の将来不安に対する具体的な備えについて、その詳細を深掘りする記事だ。プロスポーツ選手のライフプランから、一般ビジネスパーソンも学ぶべき堅実な資産形成術と、専門家である妻との二人三脚による合理的な家計管理に迫る。

Q. プロ野球選手の公表年俸は、その実態を正確に反映しているか?
新垣渚氏の現役時代の最高年俸は、メディアで公表されていた金額とは異なり、実際には1億3,000万円から1億4,000万円程度であったと語る。プロ野球界における年俸の公表は、多分にリップサービスを含み、メディア誘導による場合があることが明かされた。自身の成果が直接年俸に反映されるプロの世界において、先発投手として「二桁勝利」という目標が、年俸を上げる最大のモチベーションであった。

一軍選手の最低年俸は1,500万円に設定されている。これは、年俸数百万の二軍選手が一軍に昇格した場合、日割りでこの最低年俸との差額が支払われる仕組みによるものだ。さらに、プロ野球選手は個人事業主としての契約となるため、多額の収入を得る一方で税金対策は個人の責任となる。高額な年俸の翌年に怪我や不調で引退・戦力外となった場合、前年の高い税金が大きな負担となるシビアな現実があることを強調している。
Q. 高額年俸を得るプロ野球選手は、お金をどのように活用するのか?
高額な契約金を豪快に使うイメージとは異なり、新垣氏の金銭感覚は極めて堅実だ。ドラフト上位選手への契約金約1億円は、税金で約半分に減るが、その残りも親への恩返しとして実家の修繕費用に充てた。自身のためには一切使わなかったと言う。
また、球団の規則で1年目の車購入が禁じられていたが、2年目には同期の松坂大輔氏から、中古のポルシェを500万円で譲り受けたエピソードもある。この購入についても、新車ではなく、交渉により格安で購入したことを明かしている。
当時のソフトバンクホークスは特に選手層が厚く、競争が激しかったため、新垣氏の世代からは「豪快な夜遊び」をする選手は減少傾向にあったと指摘する。セ・リーグが東京などの都心部に球団が集中し、派手な金遣いが見られた一方、地方遠征が多いパ・リーグの選手は、夜の繁華街で過ごす機会自体が少なく、練習に集中する傾向があったと述べた。
Q. アスリート特有の「セカンドキャリア」リスクに、どのように備えていたか?

プロ野球選手は、怪我や成績不振でキャリアが突然途絶える可能性があるため、若いうちから将来への備えが不可欠だ。新垣氏は22歳でプロ入りして間もなく、将来設計として個人年金保険に加入している。これは30代半ばまでに保険料を払い終えることで、60歳以降に老後資金として受給できるタイプのものであった。自身は「ビビリ」だからこそ、漠然とした将来への不安を具体的な行動に移したと語る。
さらに、プロ野球選手会が運営する「退団共済金」制度にも活用している。これは一口1万円から最大50口(月額50万円)、年間10ヶ月にわたって積み立てることが可能で、引退時に金利を上乗せしてまとまった金額が払い戻される仕組みである。怪我によるキャリア終了など、予期せぬ事態が起こった際に翌年の高額な税金支払いや生活費を確保するための貴重なセーフティネットとして機能していたと述べた。この共済金制度は、一般的なサラリーマンにはない、アスリート特有の重要な資産形成手段である。
Q. 結婚後、年俸8000万円から月15万円のお小遣い制となったのはなぜか?
2009年、肩の故障により年俸が減少傾向にあった時期に結婚。その際、新垣氏は自身の金銭感覚について「お金があればあるだけ使い切ってしまう」という不安を抱いていた。この懸念から、通帳やキャッシュカードを含む全ての口座管理を、妻に一任する決断を下している。これにより、手元資金がなくなったことで、自身の浪費癖に歯止めをかけたという。
新垣氏の妻は、法学部出身で法律事務所の勤務経験を持ち、さらに社会保険労務士の資格も保有する専門知識豊かな人物だ。そのため、新垣氏は安心して妻を自身の「専属ファイナンシャルプランナー」として全面的に信頼できたと語る。家計を完全に預けた結果、新垣氏の現役時代のお小遣いは月額15万円に設定された。
食費は遠征や球場での食事が多く、それ以外の大きな支出が抑えられた一方で、高価なブランド品の購入や趣味への出費を一切控える生活を送った。後輩にご馳走するなど急な出費が必要な際は、まるで会社に「経費申請」をするように、妻へクレジットカードの利用確認を行うといった工夫をしていたことも明かした。
Q. 妻が主導する新垣家の資産運用ポートフォリオは、どのように構築されたのか?

年俸の継続的な下落と、子供の誕生が契機となり、2008年頃から妻の主導で本格的な資産運用が始まった。この運用は、老後資金の確保と子供の教育費用の準備を主たる目的としている。
投資初期には、利回りが14%を超える上、日本人には非課税優遇があった「ブラジル国債」を保有した。これは当時のブームに乗った攻めの投資であったが、租税条約の変更でメリットが薄れたタイミングで適切に損切りを実行した。一方で、定期的な分配金によるキャッシュフローを確保するため、「USリート(不動産投資信託)」を厚めに保有し、毎月の生活資金に充当することで生活の安心感を高めている。
現在の新垣家のポートフォリオは、かつて割合が大きかった現金、個別株、リートの保有を削減し、アクティブファンドなどの投資信託を中心とした長期的な運用へとシフトしている。証券口座での実際の購入手続きは新垣氏が行うものの、投資銘柄の選定や市場分析、アロケーションといった運用判断は、専門知識を持つ妻が全て担う。この合理的な役割分担は、模範的な資産形成の成功例と言える。