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スペースXの未来【キャシー・ウッド】
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2026年6月15日

SpaceXの時価総額は2030年に400兆円以上?テスラとの合併の鍵を握るAI半導体製造構想とは?テスラ・Zoomの成長を予測した「ハイテク株の女王」キャシー・ウッドが予想するSpaceXの未来とは? <ゲスト> キャシー・ウッド|ARKインベスト創業者 金融機関アナリスト・ヘッジファンド共同創...
キャシー・ウッドが語る破壊的イノベーションの最前線:SpaceX、AI、そして未来市場
「ハイテク株の女王」として世界中の投資家から注目を集めるアークインベストメントCEO、キャシー・ウッド氏。同氏が米国株の未来、特に革新的な企業SpaceXやAIブームの本質について詳細を語る。このレポートでは、その洞察を基に、激動の時代に日本の投資家がどう戦略を立てるべきかを深掘りする。

Q. SpaceXの現在における評価は果たして過熱しているのだろうか?
SpaceXの評価は短期的な視点で見れば確かに高騰しているように見えるかもしれない。しかし、アーク・インベストは「長期的な視点」からこの評価を分析する。再利用ロケット技術や衛星通信の分野における急速な技術進化を考慮すれば、SpaceXの現在の企業価値は正当であり、将来的にさらに優れたリターンをもたらす可能性を秘めていると考える。
短期的な視点を持つ投資家は、過去の売上高に基づく「100倍」といった評価額を過大と見なすだろう。しかし、アークは深いリサーチを通じて、SpaceXが有する技術の破壊的なポテンシャルを理解し、それが極めて急速に市場に浸透すると見ている。このため、SpaceXはその評価に十分見合うだけでなく、投資家に対し卓越した収益を提供するだろう。
Q. SpaceXが他社を圧倒する核となる強みは何があるのか?
SpaceXの核となる強みは多岐にわたる。まず、競合他社に10年先駆ける「再利用ロケット技術」が挙げられる。同社は2015年に再利用ロケットの運用を開始し、ロケット打ち上げコストを劇的に低減した。この技術的優位性により、世界の全衛星の75%をSpaceXが所有しているのが現状だ。
次に、衛星インターネットサービス「スターリンク」だ。これにより、世界の通信市場(1.6兆ドル規模)への参入を可能にし、特にブロードバンドインターネット市場において、その10年リードが大きなシェア獲得につながると予測する。さらに、地上データセンターの限界を見越した「宇宙データセンター」構想は、2.7兆ドル規模の新たな市場を創造する可能性がある。
この宇宙データセンターは、次世代の大規模言語モデル(フロンティアモデル)開発に必要な圧倒的な計算能力を提供する。イーロン・マスクが地上のデータセンターの官僚主義、政治、電力不足に不満を抱いた結果として生まれたこの構想は、今後数年間のSpaceXの主要な競争優位性となるだろう。
Q. SpaceXのIPOに際して、日本の個人投資家はどのように立ち振る舞うべきだろうか?
SpaceXのIPOには記録的な需要が予測され、初値は上昇すると見られる。しかし、その後に株価が一時的に下落する局面も想定すべきだ。これは短期的な利益を追求するヘッジファンドなどが売りに出る可能性があり、株価を一時的に押し下げるかもしれない。こうした変動は、テスラをはじめとする多くのイノベーション銘柄が経験してきた軌跡だ。

ここで重要なのは「長期的な視点」を持つことだ。もし株価がIPO価格を下回るような状況が生じれば、それはむしろ長期投資家にとって、毎月積立投資を行うNISA口座などを活用し、徐々に買い増し(ドルコスト平均法)していく絶好の機会となるだろう。アークは、そのような戦略を持つ投資家にとって、SpaceXは素晴らしい機会を提供すると確信している。
Q. イーロン・マスク氏がSpaceXの議決権の82%を保有しているという点にリスクはないか?
イーロン・マスク氏が議決権の大部分を握ることは、ガバナンス上の「負」の側面として指摘されることがある。しかし、アーク・インベストはこれを必ずしもリスクとは見ていない。これは、短期的な利益を求める株主からの介入を避け、マスク氏の破壊的で長期的なビジョンに集中するために不可欠な構造であると考えているからだ。
テスラでの経験が示唆するように、一部の株主は、積極的に投資することよりも短期間での収益性や経営者への報酬に異を唱えることがある。しかし、もしイーロン・マスクが目標とするマイルストーンを達成すれば、それが投資家にもたらすリターンは計り知れないほど大きいだろう。マスク氏を天才的な発明家としてその時間と才能を最大限に活用させるためには、このような経営体制が有効だとアークは捉えている。
Q. 将来的にSpaceXとテスラが合併する可能性は現実的なのだろうか?
SpaceXとテスラの合併は「絶対にあり得る」とキャシー・ウッド氏は明言する。その背景には、イーロン・マスクが信条とする「垂直統合」戦略がある。テスラの自動運転技術「Robo-taxi」の拡大が期待される一方で、同社は新たな半導体工場「TerraFab」の建設を進めている。

このTerraFabで生産される特殊なチップは、Robo-taxiだけでなく、SpaceXの宇宙データセンターが必要とする過酷な宇宙環境に耐えうるものである。両社が必要とする技術的な要件が収斂し、それぞれの事業が相互に補完し合う関係にあることが、合併の強力な根拠となる。両社の連携は、EV、ロボティクス(Optimus)、AI、宇宙開発、ひいては火星移住までをも含む、壮大な「イーロン経済圏」の実現を意味するだろう。
テスラはもはや単なる自動車会社ではなく、Robo-taxiを軸としたプラットフォームサービスを提供する企業へと進化しつつある。SpaceXが加わることで、テスラは宇宙というさらなるフロンティアを開拓する中核となり、この変革は世界の誰もが再評価せざるを得ないものとなる。
Q. 現在のAIブームは、2000年代初頭のITバブルと同じではないだろうか?
現在のAIブームは、ITバブルとは全く性質が異なる。ITバブルは、光ファイバー網がほとんど利用されずに「ダークファイバー」と化すなど、収益の実体を伴わない夢と投機が先行した。しかし、AIは既に企業の生産性を劇的に向上させ、現実の収益を生み出している点が大きく違う。証拠は日ごとに積み上がっている。

例えば、主要なAI企業の一つであるAnthropic社の年間経常収益(ARR)は、昨年12月時点の90億ドルから、わずか半年も経たないうちに470億ドルへと急増した。これは人類史上類を見ない成長速度であり、空虚な誇大広告ではなく、具体的な経済的価値が創造されていることを示す。
また、ITバブル期には未成熟であったクラウドコンピューティングやAIの技術は現在、成熟段階に差し掛かっている。今問題になっているのはGPU(グラフィック処理ユニット)の圧倒的な供給不足だ。企業がAIを活用して生産性を向上させたいと望むが故に、GPUの需要が供給を大幅に上回っている状況だ。この物理的なボトルネックこそが、現在のAIブームが本物であることの裏付けとなる。
AI企業がIPOを目指す主な理由は3点だ。一つは、初期からのベンチャーキャピタル投資家に資金回収(流動性)の機会を提供するため。二つ目は、長年献身的に努力してきた従業員がその報いを受けられるようにするため。そして最も重要な三つ目は、AI技術の発展と普及に必要な莫大な計算資源やインフラ構築のために、深く流動性のある資本市場から資金を調達することだ。これはITバブルの目的とは明確に異なる。
Q. 日本の投資家は、破壊的イノベーションの時代にどのように向き合うべきだろうか?
日本の投資家は、根底に「イノベーションのDNA」を持っているとキャシー・ウッド氏は分析する。過去、エネルギー危機からのバッテリー技術、少子高齢化社会におけるロボット技術の発展、山中伸弥教授によるiPS細胞の発見など、必要に迫られて独自のイノベーションを遂げてきた歴史がその証だ。このイノベーションへの理解度は、グローバルに見ても特筆すべきものだと彼女は評価している。
新しいNISA制度によって日本の個人投資家が6,000万人規模にまで急増したことは、世界経済にとっても大きなインパクトがある。しかし、SpaceXのような破壊的イノベーション企業は、すぐにS&P 500のような既存の主要インデックスには採用されない傾向がある。このため、インデックス投資などの受動的な戦略だけでは、こうした次世代の成長機会を捉えきれない可能性があるだろう。
日本の投資家がこの変革の時代を生き抜くためには、パッシブな運用に加え、深いリサーチに基づいたアクティブな投資戦略をポートフォリオに組み込むことが重要となる。破壊的イノベーションを特定し、それに投資することは、個人の資産形成だけでなく、世界の未来を形成する上でも不可欠な要素となるだろう。