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【近視は止められる】最新の近視治療
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2026年6月25日

近年、近視治療が大きな進歩を遂げている。特に早期に治療を行うことで「近視を止める」ことも可能になってきた。近視治療の権威である大野京子氏に、最新の近視治療を5つピックアップし解説してもらった。 <ゲスト> 大野京子|眼科医 東京科学大学(I日東京医科歯科大学)大学院医歯学総合研究科教授(眼科学分野...
【近視は止められる】最新の近視治療・TOP5
デジタルデバイスの普及などにより、子どもの近視が社会問題となっている。かつては一度進んだ近視は戻らないと考えられてきたが、現代の医学は大きく進化し、近視の進行を抑制し、さらに治療によって改善できる時代を迎えている。
本稿では、近視治療の現状、日本が抱える課題、そして最新の治療法とそれに伴う費用、さらに家庭で実践できる予防策について詳しく解説する。子どもたちの目の健康と未来を守るために、親が知るべき情報がここにある。

Q. そもそも近視は治療できるのか?
現在の近視治療は、完全に視力を元に戻すことは難しいが、進行を大幅に緩やかにし、止める、あるいは一部改善へ導くことが可能となっている。治療の主目的は、将来的に子どもが経験するであろう近視の度数を軽くすることである。重度の近視は緑内障などの重大な眼疾患のリスクを高めるため、進行抑制は子どもの将来の目の健康に直結する重要な課題だ。
特に海外では、近視の兆候が見られる段階で早期介入し、近視の発症を限りなく抑える予防的治療が主流になりつつある。この動きはここ4、5年の間に顕著になり、日本の治療トレンドと比較しても最新の知見が異なっている現状がある。
Q. 近視治療に関して日本はなぜ海外に遅れをとっているのか?
海外と日本では近視治療に関する情報格差が存在し、特に日本は世界の最新情報に対し遅れをとっている。大きな要因の一つとして、「オプトメトリスト」という専門職の不在が挙げられる。海外の多くの国、特に日本以外の東アジア諸国には、眼科医と患者の間に立ち、近視管理を専門とするオプトメトリストが存在する。彼らは近視に関する専門知識を持ち、治療の普及を積極的に推進している。
一方、日本では眼科医の数は多いものの、このような専門家が法的に位置づけられていないため、近視治療への特化が進みにくい現状がある。
Q. 日本で承認された最新の治療薬とその特徴は何か?

参天製薬から発売された「リジュセアミニ点眼液」は、日本初の近視治療薬である。これは0.025%の低濃度アトロピン点眼液で、1日1回就寝前に点眼するだけで近視の進行を40%から50%抑制する効果が報告されている。従来の個人輸入薬と比較して基材が改良されており、有効性が高く副作用も少ないのが特徴だ。防腐剤フリーの使い切り製剤のため安全性も高く、非常に手軽に治療を開始できる。特に、学校の視力検査で視力が低下し始めたばかりの時期、すなわち「なり始め」に治療を開始すると、メガネが必要となる時期を遅らせる効果が高い。
費用面では、薬代が月々約4,500円程度と、他の近視治療法と比較して最もリーズナブルである。さらに、2024年6月からは検査代の一部が「選定療養」として保険適用となり、患者の経済的負担が軽減されている。ただし、一部の患者には眩しさなどの副作用が出ることがあり、効果が出にくい場合には他の治療法への切り替えも検討する。
Q. コンタクトレンズを使った近視進行抑制治療にはどのようなものがあるのか?

コンタクトレンズを用いた近視進行抑制治療には、「多焦点ソフトコンタクトレンズ」と「オルソケラトロジー」の2種類がある。一つは、クーパービジョン社の「マイサイトワンデー」に代表される多焦点ソフトコンタクトレンズである。これは、レンズの中心部で視力を矯正しつつ、周辺部に特殊なデザインが施され、網膜の手前に第二の焦点を結ぶことで、眼球がこれ以上伸びないよう信号を送る仕組みだ。このメカニズムにより、50%以上の近視進行抑制効果が期待できる。日中に10時間以上の装用が推奨されるため、自分でつけ外しができる小学校高学年以上の年齢に適している。費用は両目で月約2万円程度かかる。
もう一つは「オルソケラトロジー」で、これは就寝中に特殊なハードコンタクトレンズを装着し、角膜の形状を平坦に矯正する治療法である。これにより、日中は裸眼でも良好な視力が得られる。−4D程度までの軽度な近視が対象となるが、こちらも約50%の進行抑制効果がある。親が夜の装着と朝の取り外しを管理するため、小さい子どもでも治療可能であり、日中裸眼で過ごせるため、運動などの活動を制限されないメリットも大きい。これらコンタクトレンズ治療は、低濃度アトロピン点眼液とは異なる作用機序であるため併用が可能だ。組み合わせることで相乗効果が期待でき、より高い抑制効果を望む場合に選択されることがある。
Q. メガネや特殊な光を使った最新の近視治療法とその効果はどのようなものか?
近年注目されているのが、特殊なレンズを採用した「近視管理用メガネ」と、「レッドライト治療法」である。近視管理用メガネは、ホヤ社の「ミオスマート」やニコンエシロール社の「ステレスト」が代表的だ。これらは中心でクリアな視界を保ちつつ、周辺部に配置された多数のマイクロレンズが網膜手前に焦点を結び、眼軸長の伸びを抑制する。その抑制効果は50%以上とされる。コンタクトや点眼に抵抗がある子どもでも使用でき、乱視や強い近視にも対応可能で、対象年齢が幅広い点が利点だ。特に、近視になる前の幼稚園児から予防目的で使用することで、「近視にならない」未来を目指せるという点で、今後の近視トレンドを大きく変える可能性がある。多くの国では主流だが、日本では2024年6月に発売開始されたばかりである。しかし、レンズ代が高額(フレーム込みで約10万円)であることが課題だ。
最も効果が高いとされているのが、「レッドライト治療法」だ。これは、専用機器の赤い光を1回3分、1日2回見るだけで、近視の進行を約80%も抑制するという画期的な治療法である。さらに驚くべきことに、従来の常識であった「一度伸びた眼球は縮まない」という認識を覆し、約2割の患者で眼球が短くなる(近視が改善する)効果が報告されている。特に近視が強い子どもほど効果が高く、約半数で眼球短縮が見られる。オルソケラトロジーとの併用も可能で、組み合わせることでより高い効果を期待できるが、網膜への影響がないかを事前にOCT(光干渉断層計)検査で確認する必要がある。
Q. 高額な近視治療の費用について、現状と課題はどうなっているのか?
残念ながら、低濃度アトロピン点眼液以外の多焦点ソフトコンタクトレンズ、オルソケラトロジー、近視管理用メガネ、レッドライト治療のほとんどは高額な「自費診療」である。

レッドライト治療では、専用機器が約20万円、加えてモニタリング費用などがかかるため、年間の費用負担はかなり大きい。技術的には近視の進行を止め、改善へと導ける時代になったにもかかわらず、高額な費用が普及の壁となっている現状がある。フランスでは政府が近視管理用メガネに補助金を出しているように、日本でも国や自治体による公的な補助制度が導入されれば、より多くの子どもたちが治療を受けられ、近視問題解決に大きく貢献するだろう。
Q. 家庭で実践できる近視予防法と、親が知っておくべきことは何か?
日々の生活の中で親ができる近視予防策はいくつかある。一つは、「30-30-30ルール」の実践だ。これは「30cm以上離して物を見て、30分ごとに30秒間、30m以上先を眺めて目を休める」という習慣付けである。
もう一つは、屋外活動だ。1日2時間の屋外活動が理想とされるが、直射日光の下ではなく、木陰やベランダなど、1000ルクス程度の「適度な明るさ」の場所で過ごすことが重要だ。屋外の光は多様で、家の中で宿題をするよりもベランダでする方が目に良い環境を提供する。
また、「メガネをかけると近視が進む」という誤解があるが、これは間違いである。ピントの合わないぼやけた視界を見続けることこそが近視を進行させる要因となるため、視力低下に気づいたら我慢せず、速やかに適切なメガネやコンタクトレンズで矯正することが不可欠だ。
子どもの近視は、成長期の間に進行し、将来的に緑内障などのリスクを高める。近視を持つ親自身も、これらのリスクを抱えている可能性が高い。人間ドックの簡易な眼科検診だけでは不十分な場合があるため、かかりつけの眼科医を見つけ、年1回の定期検診で目の状態を詳しくチェックすることが推奨される。