健康新常識
VO2max低いと5倍死にやすい/忙しい人のタイパ最強健康術/日常でVILPA実践/経営者・富裕層パーソナルドクター
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2026年6月16日

多くのビジネスパーソンが重視していない心肺機能の低下。実は「VO2max(最大酸素摂取量)」が低いと、全死亡リスクは5倍に跳ね上がる。多忙な経営層が取り入れるべきタイパ最強の運動法「VILPA」とは何か。経営者・富裕層パーソナルドクターの山本康博氏が徹底解説する。 <出演> 山本康博 総合内科・呼...
タイパ最強の健康術: 血圧・血糖よりも重要なVO2 Maxとは何か
現代社会を生きるビジネスパーソンにとって、時間対効果、すなわち「タイムパフォーマンス(タイパ)」は、仕事の効率を測る上で不可欠な要素となっている。それは健康管理においても例外ではないだろう。今回の記事では、富裕層のパーソナルドクターも務める山本康博医師が提唱する、忙しい日々でも実践可能な「タイパ最強の健康術」を深掘りする。
従来の健康指標にとらわれず、最新の科学的知見に基づいた「VO2 Max」の重要性から、日常生活に溶け込む短時間高強度運動「VILPA」の驚くべき効果まで、効率よく健康を手に入れるための具体的なアプローチを紹介する。健康は単なる体力の問題に留まらず、ビジネスのパフォーマンスや精神的な安定にも直結する投資である。本記事を読み進めれば、自身の健康に対する意識が変わり、明日から実践できる具体的なヒントが見つかるだろう。

Q. 健康管理において、血圧や血糖値よりも本当に重要な指標は何なのか?
健康意識が高い人であれば、血圧や血糖値のコントロールを日々心がけていることだろう。これらは確かに重要な指標だが、実は健康診断ではほとんど測定されない「VO2 Max(最大酸素摂取量)」こそが、健康長寿において最も注目すべき数値である。VO2 Maxは心肺機能の指標であり、簡単に言えば「息切れのしにくさ」を数値化したものだ。運動能力の高さだけでなく、体がどれだけ酸素を効率良く取り込み、利用できるかという「体力の貯金」の度合いを示す指標と捉えられる。
大規模な研究によると、このVO2 Maxが最も低い人たちは、最も高い人たちと比較して「全死亡リスク」が最大で5倍も高まることが判明している。喫煙者や糖尿病患者の全死亡リスクが約1.4倍であることを考慮すると、VO2 Maxが健康に与える影響の大きさが際立っていることがわかるだろう。全死亡リスクとは、がんや心筋梗塞、感染症など、あらゆる原因による死亡リスクの合計を指す。また、VO2 Maxが1ランク上がるごとに、死亡リスクは年齢、性別、BMIに関わらず約13%低下するとされ、この数値こそが、長期的健康を左右する極めて重要な「生きる力」を示していると言える。
Q. 効率的にVO2 Maxを向上させる具体的な方法はあるのか?
心肺機能を高めるには様々な方法があるが、忙しいビジネスパーソンにとって最も現実的かつ効果的なのは、日本で開発された「インターバル速歩」と、短時間高強度運動の「バーピー」である。インターバル速歩は、「会話が辛くなるほどの早歩きを3分間」と「ゆっくり歩きを3分間」を交互に5セット繰り返すトレーニングだ。これを週に合計60分(早歩き時間のみ)実施するだけで、5ヶ月後には心肺機能が8〜9%向上し、実に10年分の体力低下を取り戻す効果が報告されている。特に体力が低い人ほど効果は大きく、血圧低下や骨密度の向上といった副次的な健康効果も期待できる。

さらに短時間で高効率を目指すなら、「バーピー」が最強の選択肢だ。腕立て伏せとジャンプを組み合わせた全身運動で、筋トレと有酸素運動の両方の効果を一度に得られる。最も厳しいタバタプロトコルでは「20秒全力+10秒休憩」を8セット繰り返す。このセットを週1〜2回実施するだけでも、心肺機能向上に大きな効果がある。しかし、どちらの運動も一定の負荷がかかるため、運動経験のない人は、まずはウォーキングから始めて体を慣らすことを勧める。自分の体力レベルに合わせて無理なく取り組むことが、継続の鍵となるだろう。
Q. VO2 Maxを高めることは、心臓だけでなく脳やメンタルにも良い影響を与えるのか?
心肺機能の高さは、単に身体的な健康に貢献するだけでなく、脳やメンタルの安定にも深く関わっている。最近の大規模な調査では、心肺機能が高い人々は、うつ病や認知症といった精神疾患の発症リスクも低いことが示された。このメカニズムは主に三つ挙げられる。

BDNF(脳由来神経栄養因子)の分泌促進: 「脳の肥料」とも呼ばれるこの物質は、運動によって分泌が増加し、脳の神経細胞の生成や活性化を促す。うつ病患者はBDNFの分泌が少ない傾向にあり、運動による増加が精神安定に寄与する可能性がある。
慢性炎症の軽減: 運動は体内の慢性的な炎症反応を抑制する。炎症は脳機能の低下と関連するとされており、その軽減が思考能力や気分の改善につながる。
ストレス耐性の向上: 脳は運動によるストレスと仕事によるストレスを区別できないと言われる。定期的に運動で「ストレス予行練習」を積むことで、現実生活でのストレスに対する体の反応が整い、精神的な負担が軽減される可能性がある。
体力が豊富であることは、まるで企業の「手元資金」のように機能する。体力に貯金があれば、肺炎や心筋梗塞、怪我など予期せぬ身体的ショックが起きた際も、その貯金を取り崩して回復に耐えることができる。つまり、心肺機能が高い状態は、肉体的にも精神的にも「有事に強い」体を構築することを意味するのだ。これはビジネスにおいて、予測不能な事態にも対応できる組織であることと同様の理屈と言える。
Q. 多忙なビジネスパーソンが、日常生活で効率良く運動を取り入れる「VILPA」とはどのようなものか?
時間がないことを言い訳に運動を諦めていないだろうか。「VILPA」、すなわち「運動のつまみ食い(エクササイズスナック)」という新たな運動概念は、忙しい人々のための強力な健康ツールとなる。VILPAは、日常生活の中に1回1~2分程度の、息が上がるような高強度の運動を散りばめることを指す。例えば、駅の階段を駆け上がる、子供と本気で追いかけっこをする、少しの時間だけ小走りするなど、意識せずに行っていた動きがVILPAに該当する。
VILPAの驚くべき効果は、そのタイムパフォーマンスにある。研究では、たった1分間のVILPAが、53分間の普通の散歩に匹敵する健康効果をもたらすことが示されている。また、1日3回、合計約4分間のVILPAを継続することで、あらゆる原因による全死亡リスクが40%、心臓病による死亡リスクに至っては48%も低下するというデータがある。これは、スマートウォッチなどのデバイスが普及し、正確な活動量を測定できるようになったからこそ明らかになった「新常識」である。以前は運動不足と考えられていた健康な人々が、実は日常でVILPAを実践していたのだ。
Q. 運動習慣のない人や体力に自信がない人でも実践できる効果的な健康法はあるか?
もちろんある。VILPAは、特にこれまで運動習慣が全くなかった人、いわゆる「運動ゼロ」の人にとって最もリターンの高い健康投資となる。なぜなら、VILPAによる健康効果は、最初の数回の実践で最も大きく得られるためだ。運動経験や体力レベルに関わらず、今日から誰もが始めることができる。具体的な実践例としては、通勤中に少し早足になったり、会社の階段を意図的に速く上ったり、休憩時間に短時間ジャンプ運動を取り入れたりすることなどが挙げられる。想像力を働かせれば、日常生活の中で高強度の「つまみ食い運動」を見つけ出すことは難しくない。

また、VILPAのように激しい運動が難しい人には、「食後の10分間早歩き」を強く推奨する。食事後に座ったままだと血糖値が急激に上昇する「血糖値スパイク」が起こりやすいが、食後すぐに10分間早歩きをするだけで、血糖値の急激な上昇を大幅に抑制できるのだ。足の大きな筋肉が血糖を効率的に消費するため、食後の眠気軽減や血管への負担軽減にも繋がる。この方法であれば、場所を選ばずに実践可能である。
ただし、VILPAなどの高強度運動には注意も必要だ。心疾患、高血圧、関節に問題がある人は、医師に相談の上、無理のない範囲で、まずはウォーキングなどの軽度な運動で基礎体力を築くことを勧める。大切なのは、自身の体調と相談しながら、段階的に運動強度を上げていくことだ。自身の生活スタイルに合わせてこれらの知見を取り入れれば、タイパ良く健康を維持し、日々のパフォーマンスを最大化できるだろう。