健康新常識
朝食抜きは口臭の元/飲み物・ガム・口臭スプレーは効く?/歯科医師が教える日常の口臭対策/大人の歯列矯正/子どもの歯並び
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2026年6月14日

朝食抜きは口臭の元。噛まないことで唾液が減少し、口腔内細菌が繁殖する。歯科医師の森下真紀氏が日常でできる口臭の予防法を教える。さらに大人の矯正や子どもの歯並びについても解説。 <出演> 森下真紀 歯科医師/日本歯科総合研究所 社長 三田友梨佳 MC/フリーアナウンサー 森本晋太郎 MC/お笑い芸人...
口臭・歯列矯正の新常識:口腔ケアがビジネスパーソンの未来を変える
ビジネスの場において、印象を左右する口元と息は重要な要素だ。本記事では、歯科医師による解説を基に、口臭の原因と対策、そして成人以降も可能になった歯列矯正の最新事情をQ&A形式で深掘りする。普段見落としがちな口腔ケアの落とし穴から、あなたの健康とビジネスにおける信頼性を高める新常識まで、専門的な知見が詰まっている。日々の生活で実践できる具体的な予防策を学び、自信を持って日々の活動に取り組むための情報がここに満載である。

Q. 口臭の原因は胃ではなく口の中にあるという話は本当か?
口臭のほとんど、実に9割は胃腸の不調ではなく、口の中に原因があることが明らかになっている。胃の入り口には強い筋肉の噴門があり、通常は胃からの臭いが上がってくることはほとんどないからである。口臭が発生する主なタイミングは、起床時や緊張時など、唾液の分泌量が減る時である。
唾液には口の中を洗い流す「自浄作用」と、菌の増殖を抑える「抗菌殺菌作用」があり、口腔内の環境を清潔に保つ重要な役割を担っている。特に朝食を抜くと、一晩中分泌が停滞していた唾液が出ない状態が午前中いっぱい続き、口臭リスクが格段に高まる。物を「噛む」行為は唾液分泌を強く促すため、食生活は口臭予防に直結する重要なファクターだ。
Q. 口臭の正体は何で、どのように発生するのか?

口臭の主な原因物質は、「揮発性硫黄化合物(VSC)」と呼ばれる複数のガスが複合したものである。具体的には、卵が腐ったような匂いの硫化水素、血生臭いメチルメルカプタン、そしてジメチルサルファイドが含まれる。これらの物質は、口の中の歯周病菌が、剥がれた粘膜や食べかすなどのタンパク質を分解する際に発生させる。歯周病菌こそが、口臭の“悪の根源”と言える。
Q. 舌苔は口臭のサインとなるのか、またその正しいケア方法とは?
口臭のセルフチェックには、「舌苔(ぜったい)」の有無が非常に役立つ。舌苔とは、舌の表面に付着する白いまたは黄色の苔状の堆積物であり、剥がれた粘膜上皮や細胞の死骸、食べかすなどのタンパク質成分からなる。これらの中には歯周病菌が潜んでおり、舌苔の量が多ければ多いほど口臭のリスクが高まるため、鏡で自身の舌をチェックすることは有効な指標となる。
舌苔のケアには舌磨きが推奨されるが、繊細な舌を傷つけないよう注意が必要である。磨きすぎは味蕾(味を感じる細胞)を傷つけ、味覚に影響を及ぼす可能性がある。適切なケア方法は以下の通りだ。

専用の舌ブラシを使用する。舌ベラタイプよりも、凹凸に入り込んだ汚れを効率的にかき出せる舌ブラシタイプが推奨される。
1日1回、最も舌苔が付着しやすい起床時に行う。
優しく力を入れずに磨く。
ブラシを動かす方向は、奥から手前へ一方方向にすることで、剥がれた舌苔を飲み込むリスクを避ける。
Q. 日常生活で口臭予防のためにできる具体的な習慣は何があるか?
口臭予防の鍵は唾液の分泌促進である。忙しいビジネスパーソンにとって、手軽な朝食としてスムージーやジュースを摂る人が多いが、液体だけでは唾液の分泌は不十分である。水や液体では口臭は消えないことが実験で示されており、固形物をしっかり「噛む」ことが非常に重要だ。朝食には、繊維質の多い生野菜やナッツなど、咀嚼が必要な食材を取り入れることを意識するとよいだろう。
外出先や仕事中など、食事が難しい場面ではガムも有効な手段となる。ただし、虫歯予防のためには砂糖不使用のガムを選び、特にキシリトール配合ガムは50%以上の含有量がないと効果が期待できない。歯科医院で販売されている100%キシリトール配合ガムであれば、確実に効果を見込める。フィンランドでは食後に1日3回、5分間キシリトールガムを噛むことが虫歯予防として推奨されているそうだ。
ガムが噛めない状況下では「唾液腺マッサージ」が手軽にできる予防策である。唾液の9割は大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)から分泌されるため、これらの部位を刺激することで唾液の分泌を促せる。具体的な方法は以下の通りだ。
耳下腺:耳の前あたり(上の奥歯付近)を指で円を描くようにマッサージする。
顎下腺:顎の内側の柔らかい部分に親指を当て、数回押すように刺激する。
舌下腺:顎の先端を親指で下から上へ押し上げるように刺激する。
一方で、市販の口臭予防スプレーには注意が必要である。ほとんどの製品は香料で悪臭をマスキングするだけであり、根本的な原因物質を取り除いているわけではない。効果は一時的(15~30分程度)で、香料と悪臭が混ざって逆効果になることもある。根本的な解決のためには、口腔ケア自体を見直すことが先決だ。
Q. 歯列矯正は何歳からでも可能で、どのようなメリットがあるのか?
歯列矯正には年齢制限はない。50代、60代で矯正を始める患者も少なくなく、見た目の改善だけでなく、「予防」としての意味合いが近年非常に高まっている。歯並びが良くなると歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病のリスクを低減し、結果として歯を長持ちさせることにつながる。

近年注目されているのが「マウスピース矯正」である。透明なマウスピースを使用するため目立ちにくく、ワイヤー矯正に比べて痛みが少ないというメリットがある。また、食事や歯磨きの際には取り外し可能で衛生的であるため、大人になってから矯正を始める人々に大変人気だ。しかし、誰でもできる治療ではなく、矯正に関する十分な知識と経験を持つ専門医を選ぶことが治療成功の鍵を握る。適切な医師の選択を誤ると、噛み合わせの悪化などのトラブルが生じる可能性もある。
ただし、重度の歯周病、コントロールされていない糖尿病、骨粗鬆症など、特定の持病がある場合は矯正治療が難しいケースもある。矯正治療は歯を動かす治療であるため、これらの疾患があると骨吸収を促してしまったり、歯がぐらつくリスクが高まるからである。
Q. 子どもの歯並びのために親ができること、また良い歯科医を選ぶポイントは?
子どもの歯並びに関しては、親の介入が非常に重要となる。乳歯が隙間なく綺麗に並んでいる場合、実は将来的に歯並びが悪くなる可能性を示すサインかもしれない。本来、乳歯と乳歯の間には「成長空隙」と呼ばれる隙間があるのが理想であり、これにより大きな永久歯が生えるスペースが確保される。そのため、乳歯列の段階で隙間が少ない場合は、5〜6歳を目安に歯科医院で相談し、顎の発育を助ける装置を早期に使用することで、将来の抜歯矯正を回避できる可能性が高まる。
また、子どもの顎の健全な発達のためには、固形物を「噛む」ことが不可欠だ。コーンやチキン、フランスパンなど、前歯で“噛みちぎる”必要のある食材を積極的に取り入れさせることが重要である。食べ物を細かく切りすぎてしまうと、子どもが噛む機会を奪い、顎の発達が遅れて歯並びの悪化につながる可能性がある。脳の発育においても、「噛む」ことは学習能力や記憶力を高めることがマウスの研究で示されており、これは大人にも当てはまる知見である。
信頼できる歯科医を見分けるポイントは、治療方針や選択肢について患者が納得するまで丁寧に説明してくれるかという点にある。保険診療と自費診療の違い、それぞれのメリット・デメリットを具体的に示し、最終的な選択を患者に委ねてくれる医師が良いだろう。自費診療の方が材料の質が高く長期的に優れているケースも多いため(例:セラミックの詰め物は汚れにくい)、その点を正しく情報提供してくれるかは見極めの大きな基準となる。一方的に治療法を押し付けるのではなく、コミュニケーションを通じて信頼関係を築けるかどうかが重要である。