マーケット超分析
日本株は夏に向けてさらに急騰?/米国株が調整局面入りする可能性
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2026年5月28日

月イチで株式相場の解説を行う、「マーケット超分析」の5月回。前編では、今後の相場を展望する。 <出演者> 柴田阿弥(MC) 木野内栄治|大和証券 チーフテクニカルアナリスト 1988年に大和証券に入社。 以来一貫してテクニカル分析業務に従事。 日経ヴェリタス「人気アナリスト」テクニカル部門で1位...
日本株は夏に向けてさらに急騰?/米国株が調整局面入りする可能性
直近の市場はAIブームによる熱狂が続く一方で、米国では「セルインメイ」のアノマリーが囁かれ、日本でも長期投資家が見極めを迫られている。
本稿では、激動するマーケットの深層を、最新の動向と専門家の見解から読み解き、短期的な予測から長期的な戦略までを詳説する。
夏場にかけての日本株の展望、ゴールデンウィーク明けの急騰が意味するもの、そして米国株とAI半導体株の行方、さらに日米の金利が経済に与える影響をQ&A形式で徹底解説していく。

Q. 日本株はここから夏場にかけてどのような局面を迎えるのでしょうか?
日本株は、複数の強力な好材料を背景に、7月上旬まで堅調な展開が続くとの見通しである。米国株が5月〜6月に下落しやすい「セルインメイ」のアノマリーがある一方で、日本は独自要因によって買われやすい時期に突入していると指摘する専門家も多い。
この好調を支える理由は、大きく分けて以下の3点である。
ウォーレン・バフェット氏による投資で注目が高まり、海外からの資金流入が継続している点。
IMFが日本の経済見通しを高く評価しており、特に国別配分を重視する欧州投資家が買いを入れている点。
6月は、約13兆円にものぼる3月決算企業の配当金再投資と、株主総会を意識した自社株買いが需給面を強力に下支えする点。
これら海外からの資金流入と国内の買い需要が合わさることで、合計数十兆円規模の資金が日本株市場に流入する見込みであり、これらが夏場の株価を押し上げるドライバーとなる可能性が高い。特に長期投資家にとって、この上昇局面では無理な利益確定をせず、株を保有し続ける戦略が有効と考えられる。相場がもし下落に転じれば、それは優良株を安値で仕込む絶好の機会となるだろう。
Q. ゴールデンウィーク明けの日本株高騰の背景には何があるのでしょうか?
ゴールデンウィーク明けの日本株は記録的な高騰を見せ、日経平均は一時史上初の高値を更新した。この急騰は、SQ(特別清算指数)を控えた週における「踏み上げ相場」と呼ばれる現象、「ガンマ・スクイーズ」が主な要因である。

過去のデータを紐解くと、このような記録的な上昇は一時的なものにとどまらず、しばしば相場の大底を示唆したり、レンジを上放れるような強い上昇トレンドの開始を告げるシグナルであった。つまり、現在の高値は今後の継続的な上昇相場への序章である可能性も指摘される。しかし、現状、多くの市場関係者が次の目標株価を6万8000円と予想している点には注意が必要である。コンセンサスが特定水準に集中すると、その価格帯が利益確定の目安となり、結果的に天井を形成しやすい。一方で、この予想水準を突き抜けるような動きを見せた場合、予想を誤った弱気派による買い戻しが連鎖し、株価をさらに押し上げる「ドテン」と呼ばれる現象が発生する可能性がある。市場参加者の多くが同じ方向を向き始めた時こそ、警戒を怠らない慎重な姿勢が求められる局面だ。
Q. 米国株は「セルインメイ」となるのでしょうか?また、長期投資家はどう対応すべきでしょうか?
米国株は例年5月から6月にかけて株価が調整しやすい「セルインメイ」というアノマリーが存在する。今年は特に、①株価を支えてきた多額の税還付マネーの流入が一巡する時期であること、②中間選挙の年には選挙戦の本格化に伴い株価が停滞しやすいこと、という二つの要因が重なり、調整局面への突入リスクが高まっていると見る向きも少なくない。
しかし、この「セルインメイ」が現実となるか否かの鍵は、ガソリン価格の動向が握るとされている。米国の大統領にとって、有権者の生活に直結するガソリン価格の安定は選挙結果に大きく影響するため、現政権にはイラン情勢を軟化させ、原油価格を抑制する強い政治的インセンティブがあるだろう。もしイラン情勢が鎮静化し原油価格が下落すれば、コスト高で売られていた建設、不動産、空運などのセクターはリバウンド(自律反発)が期待できる投資対象となりうる。

長期投資家の視点から見ると、相場全体の調整はファンダメンタルズが良好にもかかわらず割安に売られた優良株を仕込む絶好の機会と捉えるべきだ。例えば、表面的な理由(建設資材の供給問題など)で売られた企業の中には、TOTOのように、半導体関連の成長性も兼ね備えているような銘柄も存在する。短期的な価格変動に一喜一憂するのではなく、そうした個別企業の真の価値を見極めることが重要となる。
Q. 日米の金利動向はどうなる見込みなのでしょうか?
日米ともに金利を巡る情勢は複雑な様相を呈している。米国では、長期金利が株価のピークアウトを招く「4.2%の壁」を経験したものの、今後のインフレ鈍化シナリオが有力だ。家賃上昇の先行指標である住宅価格の伸びがすでに鈍化しているため、統計的なタイムラグを経て家賃も落ち着き、結果的にインフレ全体が鎮静化する可能性が高い。新たなFRB議長が就任したが、過去の慣例に倣い、前任者の路線を当面は踏襲し、市場が懸念するほど急激な引き締めには踏み切らないだろう。
一方、日本の金利情勢はより政治的な色彩を帯びる。日本銀行は経済の実態から見れば早急な利上げは不要な状況だが、6月の金融政策決定会合で利上げに踏み切る可能性が指摘されている。これは、8月に予定される物価統計の基準改定により、インフレ率が0.5%程度下方修正され、現在の物価水準が下方修正される前の「最後の利上げチャンス」を活かしたいという日銀の思惑があるためだ。この決断は、長期金利を抑制するよう求める米政府からの圧力や、財政出動による成長重視を訴える国内政府(特に高市氏周辺の動き)との意見対立の中、上田総裁が難しい政治的判断を迫られている現状を示している。
Q. AI半導体関連株は、NVIDIAの好決算を受け、今後も成長を続けるのでしょうか?
NVIDIAの直近の決算は、売上高が前年比でほぼ倍増するという驚異的なガイダンスを発表し、AI半導体ブームの継続を市場に強く印象付けた。しかし、通常、新製品を市場に投入する際には製造の歩留まりが悪化し、粗利益率が一時的に低下するという傾向があるため、NVIDIAの株価も調整局面を迎える可能性が指摘されている。ただし、今回は以前とは異なる側面も存在する。

AIが単純なチャットボットから、複数のタスクを自律的にこなす「AIエージェント」へと進化するにつれ、GPUだけでなく、全体の司令塔となるCPUの重要性が再認識され、「CPUルネサンス」とも言うべき状況が到来しているのだ。NVIDIAはこれまでGPUとCPUをセットで提供してきたが、新たに高性能CPU「Vera」を単独でも販売する戦略を打ち出した。これにより、GPUに偏っていた事業構造から脱却し、IntelやAMDの牙城であったCPU市場に本格参入することで、成長をさらに継続させようとしている。この新CPU戦略が奏功すれば、通常の利益率悪化による株価調整を相殺し、AI半導体株の価格上昇をさらに1四半期ほど延命させる可能性も出てくる。
長期的な視点では、AI半導体株にはポジティブな側面が多い一方で、高値警戒感やAI利用にかかるコストの問題も存在する。例えば、Microsoft社内でAIツールの利用コストが人件費を上回ったため使用自粛が促された事例もあるように、AI導入の費用対効果が低いと判断されれば、企業の設備投資は鈍化するリスクを抱えている。ただし、NVIDIAの新製品は単価が上昇しても性能向上が著しく、実質的なユニットコストは低下すると予測されており、AI利用コストの問題は将来的には解消されるかもしれない。しかし、短期的には、高価な新製品が市場に十分に浸透せず、AIビジネス全体が秋以降に停滞する局面を迎える可能性も否定できない。