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菅原由勢と最強代理人。欧州での「孤独」が成長につながる
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2026年5月24日

サッカー界で影響力を増す代理人。欧州に住み、菅原由勢選手など日本代表5人の担当をするのが「Sports360」の龍後昌弥氏だ。代理人の仕事、選手との関係などについて、龍後氏と菅原選手に聞いた。 <ゲスト> 龍後昌弥|サッカー代理人 ドイツの大手代理人事務所「Sports360」に所属。アジア部門責...
欧州で戦う一流アスリートと代理人の覚悟と成長戦略:「異次元の影響力」をどう築くか
欧州サッカーの厳しい環境で活躍する日本人選手たち。その舞台裏では、彼らを支える代理人もまた「異次元の影響力」を追い求めている。選手はどのように精神的成長を遂げ、代理人はどのように世界を舞台に勝負するのか。一流アスリートとそのビジネスパートナーの視点から、孤独、自己主張、そして世界での戦い方について深く探求する。

Q. 欧州で戦う選手が精神的に成長する背景は何だろうか?
欧州で日本人選手が精神的に大きく成長する要因の一つに、「孤独な時間」の存在がある。日本では友人や家族に囲まれ、すぐに誰かと繋がれる環境にあるが、異国の地ではそうはいかない。特にコロナ禍のロックダウン下では、練習もなく外出も限られた生活の中で、極度の孤独に直面したという選手もいる。この時間を通じて自問自答を繰り返し、内面的な対話から自身の思考を整理し、人間としての器を広げるのである。

欧州の生活文化も、選手たちの「孤独」を後押しする。仕事終わりや週末には家族との時間を優先し、日本のように同僚と頻繁に食事に出かけたりする文化は少ない。日曜日にはほとんどの店が閉まることも多く、必然的に自分と向き合う時間が多くなる。このような環境下で、選手たちは試合に出られない苦境やストレスと闘い、自分自身の思考力や課題解決能力を高めていく。誰も助けてくれない状況を乗り越えることが、精神的なタフネスを育む大きな原動力となる。
Q. 欧州の舞台で「なめられない」ために、日本人選手はどのようなコミュニケーションを意識すべきか?
欧州では、日本特有の「空気を読む」文化がほとんど存在しない。そのため、自分の意思をはっきりと主張しなければ、相手に「何も考えていない」と思われ、「なめられる」ことにつながる危険がある。監督やチームメイトに対し、自分の意見や要望を臆することなく伝える積極性が、欧州で生き残る上では不可欠だ。ただし、感情的に主張するのではなく、相手の状況を考慮した上で最適なタイミングを見極める戦略的なコミュニケーションが求められる。
主張する際の「タイミング」は非常に重要である。例えば、監督に直談判する際も、試合直後や感情的になっている時に伝えるのは避けるべきだ。監督のプランを理解した上で、冷静に話ができるタイミングを選ぶ。具体的な例として、スタメン落ちを知ったタイミングで感情をぶつけるのではなく、翌日や次の練習の前など、相手が受け止めやすい時期を選ぶべきだとされている。適切なタイミングで熱意を伝えれば、監督との関係が悪化することはなく、むしろチーム内に良い相乗効果を生み出す可能性がある。
Q. 現代のスポーツ代理人が目指すべき「異次元の影響力」とは、具体的にどのようなものか?
現代のスポーツ代理人は、単に選手の移籍を仲介するだけの存在ではない。彼らが目指す「異次元の影響力」とは、ジョルジュ・メンデス氏のような、クラブの強化戦略、人事を左右し、実質的にクラブ経営を支配するような「スーパーエージェント」の域を指す。選手がどこに移籍するかだけでなく、そのクラブがどのような選手を獲得し、どのような監督を招聘するかといった、組織全体を動かす力を持つことが、究極の目標である。

この野望の背景には、「日本人は優秀だ」という確信がある。日本人が持つ気遣いや人間的な能力は非常に高い。これをサッカーという舞台で最大限に発揮することで、既存のエージェント業界に新たな価値を創造できると考えている。また、現代のエージェンシーは選手代理業務にとどまらず、スポンサー獲得やイベント事業なども手がけ、広告代理店のような機能も持つ。サッカー以外のスポーツ分野にも積極的に展開することで、影響力の範囲をさらに広げようとする動きが活発だ。
Q. 日本人や日本企業が欧州サッカー界で「異次元の影響力」を持つためには何が必要だろうか?
日本人や日本企業が欧州サッカー界でより大きな影響力を持つためには、現在のアメリカファンドによる買収のような大規模な投資が必要だろう。例えば、日本の大手企業やファンドがプレミアリーグのクラブを買収するような大胆な動きがあれば、「オールジャパンで世界を獲りに行く」という壮大な目標も現実味を帯びる。かつてタイのキングパワーがレスター・シティを買収し、奇跡的なリーグ優勝を成し遂げたように、不可能ではない。単なるスポット的な協賛に留まらず、クラブ経営に深く関与することで、日本ブランドと欧州サッカーの結びつきは一層強固になる。
Q. 選手と代理人の間に築かれる理想的なパートナーシップの姿とはどのようなものだろうか?
選手と代理人の理想的な関係は、信頼に基づく揺るぎないパートナーシップである。選手は「ピッチで結果を残すこと」に全力を集中し、その他のキャリア戦略や交渉事は信頼する代理人に一任する。これは、選手が余計な雑念を払ってプレーに専念できるよう、代理人が最高の環境を整えるという約束でもある。菅原選手が龍後氏に対し、「最強の代理人に任すだけ」と語る言葉は、この全幅の信頼関係を端的に表している。
Q. 「最強の代理人」になるために、代理人はどのような覚悟と熱量を持つべきか?
「最強の代理人」を目指すためには、単なるビジネスとして捉えるだけでは不十分だ。選手がプロとして活躍できる期間は短く、その貴重な10〜15年のキャリア、ひいては選手自身の人生を背負う覚悟が必要である。そのためには「死ぬ気で選手を支える」ほどの圧倒的な熱量と情熱、そして責任感が求められる。金銭目的や生半可な気持ちでは決して務まらない、極めて重い仕事である。

この覚悟と情熱が、選手からの信頼を勝ち取る最大の要因となる。代理人の龍後氏が菅原選手から厚い信頼を寄せられているのも、彼の仕事への姿勢が尋常ではない熱量に裏打ちされているからだ。また、世界トップの代理人になるには、一人の力では限界があり、「仲間」の存在が不可欠である。共に夢を追いかけるパートナーこそが、高みを目指す上で重要な要素だ。先輩代理人への敬意を持ちつつも、新たな道を切り拓き、日本サッカー界の発展に貢献する姿勢も求められる。
Q. 日本代表選手がワールドカップで優勝を掴むために、我々ができることは何だろうか?
ワールドカップ優勝という目標に向かって、日本代表選手たちは4年間、多くを犠牲にしてきた。ピッチ上で結果を出すために死ぬ気で戦う覚悟を持つ選手たちに対し、国民全体が一つになり、ポジティブな応援を届けることが重要だ。ネガティブな批判ではなく、前向きなメッセージこそが選手の力となり、一体感を醸成する。国全体で戦う姿勢が、選手たちのパフォーマンスを最大限に引き出し、勝利を掴む原動力となるだろう。