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【マネジメント技術大全③】成果最大化のための、組織の3つの型
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2026年5月22日

プレイヤーからマネージャーに移行した際、多くの人が直面する「チーム体制づくり」の壁。なぜ優秀なリーダーの組織でも崩壊してしまうのか。3つの組織パターン。メンバーの最適配置。Willの引き出し方など、実務に直結するマネジメントの極意を、株式会社EVeM代表取締役の長村禎庸氏に徹底解説してもらった。 ...
「Will」と「Can」を最大限に活かすチーム体制の作り方:状況に応じた組織と人員配置の「型」
チーム作りはマネージャーの経験や感覚に依存しがちだが、成功には再現性のある「型」の理解が不可欠だ。
ここでは組織構造(フォーメーション)と人員配置(人選)の二つの観点から、効率的なチーム体制構築の要点を解説する。
各要素のメリット・デメリットと適切なマネジメント術を習得し、強力なチームを築く基盤として活用せよ。

Q. 優れたチーム体制を構築する上で、最初に考えるべき要素は何だろうか?
チーム作りの根幹は「フォーメーション」と呼ばれる組織構造と「人選」である人員配置にある。
これはスポーツのチームと同様で、まずはどのような構造で進めるか、その上で誰をどこに配置するかを考える。
マネージャーが直接管理できる人数には限界があるため、適切な組織構造設計は不可欠な出発点となる。
Q. チームの組織構造にはどのような「型」があり、それぞれの特徴はどう違うのか?
組織構造には主に「文鎮型」「構造型」「プロジェクト型」の三つの基本形がある。
それぞれの型は独自のメリットとデメリットを持ち、状況に応じた選択が重要だ。
文鎮型(フラット型):マネージャーとメンバーの間に中間管理職を置かない直接的な構造である。
意思決定、実行、振り返りのサイクルが高速で進むメリットがあるが、マネージャーの管理範囲が限界を迎えるとチーム全体が機能不全に陥りやすい。また、各メンバーがチーム全体像を把握しにくい側面も持つ。
構造型(階層型):中間リーダーを配置し、組織に階層を設ける形だ。
人数が増えてもチームが機能しやすい安定性を持つが、階層が増えるほど意思決定の速度が遅くなる傾向にある。
プロジェクト型(流動型):案件ごとに最適なメンバーでチームを組成する。
高い柔軟性がメリットだが、リソース管理の難易度が高く、固定のラインがないためメンバーのキャリアパスや中長期的な人材育成がおろそかになりやすい課題がある。
Q. 事業フェーズによって最適な組織体制はどのように変化するのか?
最適な組織体制は事業の成長フェーズによって大きく異なるため、固定観念にとらわれず柔軟に変化させる必要がある。
例えば、「立ち上げ期」には、PDCAを高速で回すために文鎮型が最適だ。
「急拡大期」には、増え続ける人数に対応し組織が崩壊しないよう構造型への移行が不可欠となる。
「成功の継続期」では、既存事業を構造型で安定させつつ、新規事業は文鎮型で進めるハイブリッド型が有効となるだろう。
「軌道修正」や「立て直し期」のような、何が正解か見えない状況では、素早く試行錯誤できるよう文鎮型やプロジェクト型が適している。
Q. 「文鎮型」から「構造型」へ移行する際、特に注意すべき点と解決策は何だろうか?
文鎮型から構造型への移行で最も大きな壁となるのは、中間リーダーとして置ける人材の不足である。

その解決策としては、まずチームの一部から構造化する「一部構造型」が挙げられる。全ての階層を一度に構築せず、段階的に進める。
次に、マネージャーの業務を補佐する「補佐スタッフ」の配置だ。数値管理や資料作成といったマネジメント業務の一部を任せることで、マネージャーの負担を軽減しつつ、補佐スタッフが次期リーダー候補として育成されるメリットもある。
構造型組織特有の問題に「階層飛ばし」がある。メンバーが直属の上司を飛び越えて、その上のマネージャーに直接相談や不満を伝えることだ。
この際、マネージャーが安易にメンバーに同調して中間リーダーを批判すると、そのリーダーの権威を失墜させ、結果的にマネージャー自身の信頼をも損ねることになる。
正しい対処法は、「私は中間リーダーを信頼している」という姿勢を明確に示した上で、メンバーから上がってきた情報については「参考情報」として受け止める。
その上で、中間リーダー本人に「メンバーからこういう情報があったが、どう対応するか」と主体的な解決を促すべきだ。
Q. メンバーを配置する際、「Will(やりたいこと)」と「Can(できること)」をどのように考慮すべきだろうか?
メンバーの「Will(意欲)」は「Can(能力)」と同様に、チームの成果を最大化するための重要な「アセット(資産)」である。これを単なる善意ではなく、戦略的な情報として把握する視点が重要だ。

Willを聞く際は、「あなたにお願いする業務は最終的に私が決める」と事前に明確に伝えることが極めて重要だ。この枕詞により、メンバーの過度な期待を防ぎ、叶えられなかった場合の不満や失望を抑制できる。あくまで「より良い仕事をするための参考情報」として傾聴すべきである。
Will(やりたいか)とCan(できるか)の2軸で、メンバーへのアサインは「最適アサイン(高Will/高Can)」「ポテンシャルアサイン(高Will/低Can)」「淡々アサイン(低Will/高Can)」「絶望アサイン(低Will/低Can)」の4象限に分類される。
特に、意欲も能力も低い「絶望アサイン」はメンバーの離職に直結するため、最も避けるべき状況だ。マネージャーは各メンバーがどの象限の仕事をしているかを常に意識し、絶望アサインを防ぐよう努めなければならない。
Q. 「Willが低くてもCanが高いアサイン(淡々アサイン)」や「Willが高いがCanが低いアサイン(ポテンシャルアサイン)」をどのようにマネジメントすべきだろうか?
淡々アサインは「できるがやりたくない」仕事であり、マネージャーは以下のいずれかの方法でメンバーのモチベーションを喚起すべきだ。
一つは「お願いする」アプローチ。メンバーに「あなたにしかできない」「会社としてとても必要なこと」と重要性を伝え、その上で期間限定であることや、業務全体のごく一部に留めることを約束する。
次に「工夫の余地を示す」アプローチ。その仕事の中に新しい技術や効率化の可能性を見出し、新たな挑戦としてメンバーのWillを刺激する。
そして「成長課題と紐づける」アプローチ。今の淡々アサインが、将来のキャリアやWillを実現するための重要な経験となる意味付けを行う。
ポテンシャルアサインは「やりたいができない」仕事で、Willが高いからこそ、放置すると挫折によってWill自体を失い「絶望アサイン」に転落する危険が最も高い。

このアサインを成功させるには、マネージャーによる密なフォローが不可欠だ。マイクロマネジメントに近いレベルで、2日に1度の進捗確認や具体的なアドバイスを行うなど、最初の小さな成功体験を積ませることが極めて重要となる。
メンバーへのアサインは、「最適7割、淡々2割、ポテンシャル1割」のように意図的にポートフォリオを組むことが効果的だ。
これにより、個人のWillや成長を尊重しつつ、組織としての必要な業務を遂行できる。Willに真摯に向き合うマネージャーの姿勢自体が、メンバーのエンゲージメント向上に大きく貢献する。
Q. 常に最適なチーム体制を維持するために、マネージャーは何をすべきだろうか?
組織構造も人員配置も、一度決めれば終わりではない。市場や事業の状況は常に変化するため、マネージャーは「常時チューニング」の意識を持つ必要がある。
チームの状況を継続的に観察し、フェーズに合わせて最適な「型」を選択・調整していくのだ。
このWillとCanに基づくアサインメントの考え方は、社内の異動だけでなく、採用活動にもそのまま応用できる。候補者のWill/Canを深く把握し、入社後に生じる可能性のある淡々アサインについても率直に共有することで、期待値のずれを防ぎ、長期的なミスマッチを防ぐことが可能となるだろう。