PIVOT TALK BUSINESS
【若者へのNG行動】アットホームな職場に抵抗感
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2026年5月14日

「職場にいるZ世代の考えていることがわからない……」「どう接したらうまく意思疎通できるのだろうか……」。 30~50代のビジネスパーソンが思い悩む、Z世代との関わり方。良好な関係を構築するためのコミュニケーション法とは何なのか。毎月200人の若者を対象にインタビューを行っているSHIBUYA109 ...
Z世代は「褒められたくない」!?職場の新常識:信頼関係を築くコミュニケーションとは
ビジネス現場における世代間ギャップは、多くの組織で頭を悩ませる問題である。特にZ世代の価値観は、旧世代の常識では理解しがたい点が少なくない。「褒められたくないZ世代!?」という衝撃的なタイトルが示すように、旧来のマネジメント手法やコミュニケーションスタイルは通用せず、信頼関係を築くどころかかえって逆効果となるケースも多いという。本稿では、若者研究の第一人者である渋谷109 lab.所長の長田麻衣氏が解説するZ世代の本音に迫り、彼らの行動原理と、世代を超えて協働するための新たなコミュニケーション戦略について考察する。

Q. なぜZ世代は人前で褒められることを嫌がるのだろうか?
Z世代には「Z団子」と呼ばれる特徴がある。これは集団の一部として存在したい、突出して目立つことを避けたいという心理を指す。長田氏の調査によると、約6割ものZ世代が「みんなの前で褒められたくない」と回答している事実がある。旧世代にとって、人前で褒められることは喜びであり、周囲への良い刺激になると考えられていたが、Z世代にとってはその真逆だ。

目立つことで、同期からの視線を意識したり、「次にまた大きな成果を出さなければならない」という過度なプレッシャーを感じたりすることを嫌うのである。彼らは個人が評価されるよりも、チームや集団全体の調和を重んじる傾向が強い。そのため、個別の成功であっても、「これは同期の手伝いがあったから」と自分の功績を分散しようとする行動が見受けられるという。
この背景には、SNS社会の影響が大きい。常に他人と緩やかに繋がっており、個人の行動が常に相互に監視される環境で育ったことが、突出することへの敏感さを生んだ可能性が高い。旧世代が考える「褒めて伸ばす」というアプローチが、Z世代には「重すぎる褒め」となり、逆効果になることがあるのだ。このようなギャップを埋めるには、彼らの価値観を理解することが不可欠である。
Q. Z世代への効果的な褒め方とはどのような方法があるのだろうか?
Z世代を褒める上で重要なのは「個別で軽く伝える」ことだと長田氏は指摘する。従来の「褒める時はみんなの前で、叱る時は個別で」というマネジメント理論は、Z世代には当てはまらない。彼らにとって、褒める時も個別が最適である。
面と向かって改まって褒めるよりも、チャットで「あれ良かったよ」と気軽に送ったり、エレベーターホールで会った際に「さっきのあれ、良かったよ」と一言残して立ち去る程度が効果的だという。このように、形式的ではないフランクな伝え方が、Z世代にとってはプレッシャーにならず、純粋に受け入れられやすい。褒め言葉の「重さ」を意識し、より「軽やかに」伝えることが、Z世代の心に響く褒め方のポイントとなる。
Q. チャットで「マルハラ」や「長文嫌悪」が生じるのはなぜだろうか?
Z世代とのテキストコミュニケーションには、旧世代が意識すべき特徴がいくつかある。その一つが「マルハラ」(マルハラスメント)と呼ばれる現象である。文章の最後に「。」(句点)を使用すると、Z世代にとっては「怒っている」「冷たい」といった印象を与えかねないというのだ。彼らは日頃から句読点を使わないカジュアルなチャットに慣れているため、わざわざ句点をつけると特別な意図を感じ取り、時にネガティブに捉えてしまうことがある。

また、グループチャットでの発言には消極的な傾向も見られる。自身の投稿が他人からどのように評価されるか、間違った内容ではないかといった不安から、必要以上にテキストを打ちたがらないのである。スタンプ一つでの返信は、その場の雰囲気を乱さずに効率よくコミュニケーションを済ませる合理的な行動だと言えるだろう。
さらに、「お弁当箱」のように画面を埋め尽くすような長文メッセージもZ世代は嫌う。彼らは丁寧さよりも効率を重視し、簡潔な情報を求める。そのため、長文は「重い」と感じ、読むこと自体を負担に感じる可能性が高い。ビジネスチャットにおいては、短文で要点を伝える、絵文字やスタンプを適切に使うなど、彼らのデジタルコミュニケーション様式に合わせた工夫が求められる。
Q. Z世代が就職先で「アットホームな職場」を避けるのはなぜだろうか?
Z世代にとって、「アットホームな職場」というキーワードは、就職先を選ぶ上でむしろネガティブな要素として捉えられている。長田氏の調査では、「就活時に避けたいキーワード」として「アットホーム」が最も多く挙がったという。旧世代が良かれと思って表現する「家族的な雰囲気」は、Z世代には異なって響くのだ。
「アットホーム」という言葉から、彼らは飲み会への強制参加や、プライベートへの過度な介入、社員同士の人間関係の近さを連想する。これは「公私の分離」を重視し、職場の人間関係の距離感を自分自身で決めたいZ世代にとって、窮屈さや気持ち悪さを感じさせる。また、ブラック企業のような負のイメージと結びつけて捉える若者もいる。彼らは仕事を業務として割り切り、過度なウェットな関係性を好まないため、ファミリー感を強制されることに強い抵抗感を覚える傾向がある。
このようなZ世代の感覚を理解し、職場のアピール方法や実際の職場環境を見直すことは、若手人材の確保と定着において非常に重要となる。従来の価値観だけで職場環境を築こうとすると、かえって優秀な若者との接点を失いかねない状況にあると言える。
Q. Z世代が本当に求める働き方や職場環境の理想とはどのようなものなのだろうか?
Z世代が最も重視するのは、「納得」に基づいた行動である。彼らにとって、「良いからやれ」「背中を見て育て」といった指示は全く通用しない。行動する意味や目的が不明確なままでは、動機付けが難しいと感じるのである。データや数字を示し、ロジカルに「なぜそれが必要なのか」を説明することで、初めて彼らは行動を起こし、高いパフォーマンスを発揮するという。
また、暗黙のルールもZ世代にとっては大きなストレス源である。エレベーターの乗り降り一つとっても、「空気を読んでほしい」という旧世代の期待は届かない。「こうしてほしい」という要望を具体的に言葉で伝え、明確な共通認識を築くことが不可欠だ。共通認識さえあれば、厳格なルールがある環境(例:勝利至上主義の少年野球チーム)であっても、それを理解し受け入れる傾向がある。

さらに、Z世代はマニュアルや「型」を求める傾向がある。ゼロから答えを探すことよりも、まずは完成された「答え」や「型」を提示されることを好むのだ。これは決して受動的な意味ではなく、マニュアルというベースラインがあることで、彼らはその上に自身のオリジナリティや工夫を加えて最適化する能力に長けている。カスタマイズ商品が人気を博す背景にも、ゼロからの創造ではなく「型に少し手を加える」というZ世代特有の価値観が強く表れていると言えよう。上司世代には、業務の体系化やマニュアル作成といった、具体的な「型」を示す努力が求められるのである。
Q. 旧世代とZ世代のコミュニケーションギャップを埋めるためにはどうすれば良いのだろうか?
旧世代は、Z世代を「お客様扱い」する必要はないと長田氏は提言する。Z世代は悪気なく旧世代の常識を知らないだけの場合がほとんどであるため、コミュニケーションにおける課題が生じた際には、「なぜダメなのか」を明確に伝え、共通認識を築く努力が重要である。旧世代が不機嫌な態度で間接的に察させようとすることは、Z世代にとってはかえってストレスであり、両者にとって不健全な関係性を生む。正直かつ具体的に、相互の認識を擦り合わせる対話こそが、信頼関係構築の第一歩となるだろう。
これからの時代、旧世代が一方的にZ世代の価値観に合わせるのではなく、互いに理解を深める努力が求められる。特にAIやメタバースといった新技術を当たり前のように使いこなすα世代の台頭も間近に迫っていることを鑑みれば、過去の常識に囚われず、常に最新のトレンドや価値観にアップデートし続ける柔軟な姿勢こそが、これからのビジネスリーダーには必要不可欠だと言えよう。伝える努力と、相手を尊重する姿勢が、世代間の壁を乗り越え、より強固な組織を築く鍵となる。