PIVOT TALK SPECIAL
【マネジメント技術大全①】良い目標設定とは?
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2026年4月20日

マネジメントの技術を全12回で網羅的に学ぶ「マネジメント技術大全」。価値観多様化、AI全盛の時代に求められるマネジメントの技術を、EVeM代表の長村禎庸が徹底解説。 EVeM &PIVOT マネジメント技術大全 リアルゼミ ▼詳細はこちらから https://www.evem-managemen...
現代マネジメント技術大全: チームを動かす目標設定の極意
現代のビジネス環境は未曾有の変化に直面し、マネージャーにはこれまで以上に複雑な対応が求められる。従来の経験則や属人的なマネジメント手法では太刀打ちできない今、いかにしてチームを導き、その潜在能力を最大限に引き出し、成果を最大化するのか?本シリーズでは、現代に不可欠なマネジメント技術を「チーム運営」「ピープルマネジメント」「リーダーシップ」という3つの柱と、その基盤となる「目標設定」の観点から徹底解説する。

Q. なぜ今、マネジメント技術の体系化が重要なのか?
終身雇用が当たり前でなくなり、中途採用や多様なバックグラウンドを持つメンバーが増えた現代において、従来の経験則や属人的なマネジメント手法では、多様な人材を一つにまとめ、最大限のパフォーマンスを引き出すのは困難だ。さらにAIの台頭がその傾向を加速させ、的確な指示で人やシステムを動かす能力がマネージャーに強く求められる。このような状況下で、優れたマネジメントはもはや属人的な才能ではなく、体系的に学習し習得可能な「技術」として認識すべきだ。チーム、個人、AIのポテンシャルを解き放つためには、この技術の網羅的な習得が不可欠である。
Q. 良い目標設定の最初のステップは何ですか?
良い目標設定の出発点は、自チームの「役割」を明確に言語化することにある。会社全体の大目標に対し、自分たちのチームがどのような役割を担い、どう貢献するのかを定義しなければならない。この役割認識が会社や上司とズレている場合、どんなに目標を達成したとしても評価に繋がらない事態が生じる。チームの戦力と会社からの期待値、双方を踏まえ、まずは「私たちは何をすべき組織なのか?」という問いを明確にし、その役割を厳密に定義し、共通認識を醸成することが極めて重要となる。
Q. 変化の激しい時代に求められるマネージャーの役割定義とは?

現代のように環境変化が激しく、マネジメントを専門とする職種が少ない組織では、トップが常に全部署の役割を細かく指示することは不可能に近い。だからこそ、ミドルマネージャー自らが「今、自部署がどのような役割を担うべきか」を主体的に考え、上層部に提案する「ミドルアップ」の姿勢が求められる。これは指示待ちの受け身の姿勢ではなく、「〇〇という役割を担うべきだ」というように、自身の役割を自分で定め、会社の全体最適に貢献する積極的な関与を意味する。このような主体性が、変化に対応し成長し続ける強い組織を築く土台となる。
Q. 全てのチームが持つべき「貢献モデル」とはどのようなものですか?

全てのチームには「誰に、どのような価値を提供し、その対価を得ているか」という「貢献モデル」が存在する。営業チームは顧客に製品・サービスを提供し、対価として収益を得るという分かりやすいモデルを持つ一方で、法務や経理といったコーポレート部門も、事業部門をサポートすることで間接的に会社の収益や安定運営に貢献している。この貢献モデルをチーム全員が深く理解し、言語化し共有することは、自分たちの存在意義を明確にし、目標設定の指針とする上で極めて重要である。迷った時はこの貢献モデルに立ち返り、「今、この活動は本当にモデルを最大化するものか?」と問い直すことで、本質的でない業務に労力を費やすことを防げる。
Q. チームの創意工夫を最大化する目標設定のポイントは何ですか?
目標設定の真の目的は、チームのポテンシャルを解き放ち、創意工夫を誘発する「カンフル剤」である。達成が完全に予測できる目標は「予測」に過ぎず、成長を促さない。理想は、7割の達成見込みがありつつも、残り3割には「どう達成するかまだ不明」という未知の領域を残す「野心的な目標」である。この未知の3割については、マネージャーが「正直、今は知らない」と答えることも正解となり得る。この不確実性がチームに深い思考と新たな方法論の模索を促し、結果として予測を上回る成果へと導く。目標が高すぎてチームが思考停止に陥ったり、逆に低すぎて成長を促さなかったりしないよう、ギリギリ手の届く挑戦的なレベル設定が肝要だ。
Q. 管理部門でも実践できる「状態目標」とはどのようなフレームワークですか?
目標設定では、「〇〇を開発する(Do)」という行動ではなく、「〇〇が完了している状態(Be)」という到達点で表現する「状態目標」が不可欠だ。行動目標は達成と見なされかねず、具体的な成果へのコミットが曖昧になる。これに対し状態目標は、「MVPの開発と検証が完了している状態」のようにゴールを明確にし、客観的な進捗管理と評価を可能にする。この「〇〇という状態」という語尾での定義は、定量化しにくい管理部門の目標設定にも有効である。「ドキュメントツールの運用ルールが策定され、全社説明が完了している状態」といった形で定義すれば、そこに至るプロセス(例:S/A/B/Cなどの達成度)も設定でき、事業部門同様に明確なロードマップと週次トラッキングが可能になる。無理に数字で表現できない本質的な目標であっても、状態目標を用いることでチームの成長志向を失わせず、全体最適に貢献できる。
Q. メンバーの目標設定スキルを育むにはどうすれば良いですか?

メンバーの目標設定スキルを引き出すためには、マネージャーが一方的に目標を与えるのではなく、「このチームにおけるあなたの役割は何か?」と問いかける対話が有効だ。まずメンバー自身に役割を考えさせ、次に会社の等級(グレード)表や期待レベルと照らし合わせながら、役割定義をブラッシュアップさせていく。これにより、メンバーは自分の目標が会社の期待や評価とどう連動するかを深く理解し、納得感を持ちながら主体的に目標を策定できる。目標の具体性もメンバーの習熟度に応じて調整する。経験豊富なメンバーには「売上〇億円達成」といった抽象度の高い目標で自由度を高め、経験の浅いメンバーには「商談〇件獲得」といった行動に近い目標を設定する。安易に細かすぎる目標を与えるのではなく、思考と成長を促す対話を重ねることが、真の目標設定スキル育成に繋がる。マネジメントにおける目標設定は、プレイヤーが自律的に目標を立て、実践する能力を引き出すための決定的な要素だ。