
社会の理不尽に勝つ耐性の作り方
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2026年3月17日
WBC近藤健介の父が語る教育哲学。強豪校ならではの理不尽さに耐えた先に彼らが見たものは。 <ゲスト> 近藤義男|福岡ソフトバンクホークス 近藤健介選手の父 中学校の教員・教頭、パキスタンの日本人学校を経て小学校の校長を務めた。 さらに日本中学生野球連盟専務理事など学生スポーツ界に貢献。 現在は、青...
WBC選手を育てた父が語る子育ての秘訣:現代に「理不尽さ」が必要な理由と、親が「楽しむ」姿勢の重要性
野球日本代表であるWBC選手を育て上げた父親が語る子育て術には、現代社会を生き抜く子供を育むための本質的なヒントが満載である。彼は教員であり、野球連盟の専務理事という多様な顔を持つ立場から、子供の才能を伸ばし、社会で成功させるための深い洞察を提供している。
本稿では、表面的なノウハウに留まらず、あえて「理不尽さ」を経験させる教育、親が「感性」を磨き子供の進路に深く関わる方法、そして成果を導くための「考え方」や「問題解決能力」の育み方に焦点を当てる。多くの親が抱える子育ての悩みに対し、常識を覆すような実践的なアドバイスが詰まっている。

Q. 現代の子育てにおいて、子供に「理不尽さ」を経験させることは本当に必要なのか?
社会に出れば誰もが理不尽な状況に直面するものである。しかし、現代の子育ては子供を過保護に育てる傾向が強く、学校もそうした理不尽な体験の機会が減少している。そのため、子供が将来社会でたくましく生き抜く力を養うには、親があえて「理不尽さ」を経験させる環境を用意するべきだと提唱する。これを「理不尽さへの授業料」と捉えるならば、お金を払ってでも体験させる価値のあるものだ。

WBC選手の父は、息子が通った強豪校での常軌を逸した厳しい練習をその一例として挙げる。朝早く家を出て、夜遅く帰宅するというような生活は、一見理不尽に見えるかもしれない。しかし、そのような環境に身を置くことで、子供は「できるまでやれ」という指導を乗り越え、「やればできる」という確固たる成功体験を得る。これが、単なる根性論で終わらない、困難を克服する本質的な力を育むのだ。
Q. 子供の才能を最大限に引き出すために、親はどのように進路選択に関与すべきか?
子供、特に小学生は進路に関する十分な情報や判断力を持たないため、親が積極的に関与することが不可欠である。ただし、親が一方的に進路を「決める」のではなく、子供が持つ可能性を考慮し、選択肢を広く調査して「繋ぐ」役割を担うべきである。そして、最終的な決定は子供自身に委ねることが、主体性と責任感を育む上で重要だ。WBC選手の父親は、息子に「親が繋いでくれた場所で、自分が選んだ」と言わせることに成功している。
時には、子供の才能を伸ばすために親が大きな決断を下す必要も出てくる。例えば、息子が望む強豪校に通わせるために、親が引っ越し、通勤時間が大幅に増加するような物理的な犠牲を厭わない覚悟である。これは金銭的な投資だけでなく、親自身の時間や労力を投じることにもなる。このような大胆なサポートは、他人にはない独自の価値創造であり、親自身のやりがいにも繋がるものとなる。
Q. 親が「感性」を磨き、子どもの本質を理解するためにはどうすればよいのか?
親は、子供の言葉や態度を額面通りに受け取るだけでなく、その裏にある真の感情や状況を深く読み解く「感性」を磨く必要がある。例えば、子供が「野球を辞めたい」と言っても、それが本当に諦めなのか、一時的な感情なのかを見極める洞察力だ。大人が理不尽だと感じるような状況でも、子供本人はそれを成長の一環として受け入れている場合もあり、親子の認識にはズレが生じやすい。

この「感性」を磨く具体的な方法として、PTA活動など、子供たちの生活に積極的に関わることを推奨する。少年野球のお茶当番のように、一見面倒に思える役割も、子供がどのように指導を受け、どう反応し、どう成長していくかを間近で観察できる貴重な機会となる。現場で子供の世界を深く知ることで、親としての言葉に説得力と深みが増し、子供への的確なアドバイスに繋がるだろう。
Q. 京セラの稲盛和夫氏が提唱する「成果を出す方程式」において、最も重要な要素は何であるか?
成果は「情熱×能力×考え方」というシンプルな方程式で表される。このうち、情熱と能力はそれぞれ0から100の範囲だが、「考え方」は−100から100まで幅広い値を取り得る。そのため、この「考え方」こそが成果に最も大きな影響を与える要素となる。
どれだけ情熱や能力が高くても、考え方が間違った方向、例えば「マイナス」の方向に向かっていれば、結果として成果は負の値となり、努力が全て裏目に出る可能性がある。ゆえに、正しい方向性を持つ健全な「考え方」を培うことが、持続的な成果を生み出す上で何よりも重要だと稲盛和夫氏は説く。
Q. 「今に集中する」という考え方が、成果にどのように繋がるのか?
多くの人の心が落ち着かないのは、「変えることのできない過去への後悔」と、「まだ見ぬ未来への漠然とした不安」によるものだ。しかし、この過去や未来へのとらわれこそが、現在の集中力を妨げ、負の感情を生み出す要因となる。これを克服し、心を平穏に保ち、最大限のパフォーマンスを発揮する秘訣が「今に集中する」ことである。
仕事に熱中している時を想像してみよう。人はその瞬間に完全に没頭しているため、過去の後悔や未来の不安は意識から消え失せる。同じように、目の前のタスクや状況に意識を向け、「今」できることに全力を注ぐことで、心の乱れは鎮まり、より建設的な思考と行動が可能になる。これは、親が子育てにおいて直面する悩みや不安に対しても有効な姿勢となるであろう。
Q. 学ぶことの真の意義と、子供のリーダーシップを育むための重要な経験とは何か?
勉強や学ぶことの真の意義は、知識の詰め込みに留まらない。それは、人生における「課題」というインプットに対し、自分らしいユニークな「解」をアウトプットできるような「問題解決能力」を磨き、自分自身という「ブラックボックス」の機能を高めることにある。自分の経験や学びが多ければ多いほど、課題に対する多様で最適な解決策を導き出すことが可能となり、人生をより豊かなものにすることができるのだ。
そして、この問題解決能力を飛躍的に高めるために不可欠なのが、リーダーシップの経験である。小さなコミュニティであっても「班長」や「代表」といった立場でトップを務めることは、フォロワーの立場からは見えない責任や課題、そしてその解決方法を学ぶ絶好の機会を提供する。WBC選手の父が語る「班長は日本一になれるが、副班長にはなれない」という言葉は、自ら責任ある立場に立ち、挑戦することの重要性を力強く示唆している。
Q. 子育てを「悩む」のではなく「楽しむ」ためには、親はどのような意識を持つべきか?
子育ては「悩むもの」という固定観念を捨て、「楽しむもの」へと意識を転換することが、子供の健やかな成長と親自身の幸福感に繋がる。親が子育てや自分の人生を楽しんでいなければ、その感情は子供にも伝わり、物事を楽しむ姿勢を育むことは難しいだろう。これは、教師が授業を楽しんでこそ、生徒も学びを楽しめるのと同じ原理である。

子育てに悩む親こそ、自ら新しいことに挑戦し、楽しむ姿勢を見せることが大切だ。PTA活動に参加し、場合によっては会長を目指すことで、新たな知見や達成感を得る。親自身が挑戦し、成長を享受する姿を見せることこそが、子供に対する最高のメッセージとなり、子育ての醍醐味となるのである。
