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速報解説:新トランプ関税の影響と今後
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2026年2月24日

アメリカの相互関税が米最高裁判断により無効とされた経緯と、発動した「新トランプ関税」の影響を徹底解説。中国やブラジルは恩恵を受ける?日本への影響は?世界経済にとっては予見可能性が向上?丸紅経済研究所の今村卓社長が考察する。 <ゲスト> 今村卓|丸紅経済研究所 代表 丸紅米国ワシントン事務所長を経て...
「新トランプ関税」の真実:高関税政策の終焉と新たな国際通商の幕開け
米国の通商政策は歴史的な転換点を迎えている。これまでドナルド・トランプ前大統領が強権的に行使してきた高関税政策の根拠法が、米連邦最高裁判所の判決によって無効化されたからだ。これを受け、トランプ政権は慌てて代替法に基づく新たな関税を発動したが、その本質は従来の恣意的な関税とは大きく異なると考えられる。
本稿では、この「新トランプ関税」の経緯とその内容、そして世界経済と日本に与える影響、さらには高関税政策そのものの限界について深く掘り下げる。トランプ氏による予測不可能な関税攻撃は過去のものとなるのか、今後の国際通商の行方を多角的に分析する。

Q. 今回の最高裁判決により、トランプ前大統領の関税政策はどのように転換したか?
トランプ政権がこれまで多くの国に対し恣意的に発動してきた「相互関税」の根拠となっていたIEPA(国際緊急経済権限法)関税が、最高裁判所で「大統領に発動権限はない」と判断され、無効となった。これはトランプ政権にとって「ほぼ完敗」というべき事態であった。この判決自体は、司法の過程を見ていた者にとって驚きはなかったが、トランプ政権にとっては高関税政策の根幹を覆される出来事となった。
政権はこの判決を予測しており、すぐさま代替策を発動した。新たな関税は1974年通商法122条を根拠とし、150日間限定で世界一律10%(将来的に15%の可能性も示唆)というものであった。これは、無効となったIEPA関税によって得られていた税収の穴埋めを目的とした、あくまで応急処置的な措置に過ぎない。
Q. 新たな関税制度は、世界の経済や日本の通商にどのような影響をもたらすか?
新しい一律関税は、その性質上、これまでの恣意的な高関税政策とは異なる影響を生む。特に注目すべきは、これまでトランプ政権によって不当に高関税を課されていた中国やブラジルといった国々にとって、皮肉にも「恩恵」となる点だ。彼らの関税率は、一律10%へと大幅に引き下げられることになる。
一方で、日本や英国など、これまで比較的低い関税率でアメリカと取引していた同盟国は、関税負担が増加するという矛盾を抱える。これは、従来の友好国が負担増に直面し、敵対国とされた国が恩恵を受けるという、非常に特異な状況と言える。しかし、日本に対する新たな実質的影響は限定的とみられ、全体としての大きな変化はないとの見方が強い。
Q. トランプ政権の恣意的な関税発動は今後も続くのか?その懸念は解消されたか?
今回の最高裁判決で最も重要な意味を持つのは、大統領が自身の意向によって即座に高関税を発動できる「魔法の杖」が失われた点にある。トランプ政権が気に入らない特定の国や品目に対して、正当な理由もなく高率の関税を一方的に課す手段は事実上なくなった。

今後、米国が関税を発動する際には、通商法301条などの他の根拠法を用いることが想定されるが、これらは時間と手続きを要する。具体的には、米国の国益を害しているかどうかの厳格な審査や調査が必要であり、関税対象となる側にも意見陳述の機会が与えられる。これにより、これまでのような「唐突で不透明な」高関税の導入は困難になり、国際社会はより予測可能で透明性の高い通商関係へと移行すると考えられる。これは世界経済の不確実性を大きく軽減させる朗報である。
Q. そもそも、トランプ前大統領の高関税政策はなぜ限界を迎えたのか?
高関税政策は、司法判断が下される以前から既に限界を迎えつつあった。トランプ政権は他国に負担を転嫁していると主張してきたが、ニューヨーク連銀の調査によると、関税コストの約9割は米国国内の企業や消費者が負担していた実態が明らかになった。高関税は米国内で物価上昇を引き起こすインフレ圧力となり、中間層以下の生活を圧迫していた。
中間選挙を控え、政権は中間層以下の負担を軽減する政策を強く求められており、ガソリン価格引き下げ以外の目立った成果がない中で、さらなる高関税によるインフレ助長は政治的に極めて困難な状況であった。実際に、政権は昨年後半から食料品を関税対象から除外したり、鉄鋼・アルミの関税引き下げを検討したりするなど、自ら高関税政策の修正を迫られていた。この状況は、高関税が国内経済に悪影響を与え、政策として有効ではなかったことを、政権自身が認めざるを得なかった証拠と言える。
Q. 企業が過去に支払った関税は還付されるのか?今後の法的な展望はどうか?
IEPA関税の無効判決を受けて、過去に企業が支払った関税の還付が焦点となるが、その道のりは決して平坦ではない。最高裁は還付について明確な判断を下しておらず、具体的な審議を下級審に差し戻した形となっている。企業は個別に国際貿易裁判所に還付請求の訴訟を起こす必要があるのだ。

政権側は「当時の関税は有効だった」と主張し、還付請求に強く抵抗するだろう。企業は訴訟を進める上で高額な弁護士費用を継続的に支払わねばならず、得られる還付額と裁判費用のバランスを見極める必要がある。集団訴訟制度ではないため、一つでも勝訴判例が出れば全体に適用されるわけではなく、各企業が個別に戦わねばならない。
この状況に対し、最高裁の判事からも「膨大な大混乱が待っている」との懸念が表明されている。裁判慣れしているトランプ氏も「数年かかる」と指摘しており、企業が実際に還付金を取り戻すには、多大な時間と費用、そして粘り強い努力が求められるだろう。