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松木玖生インタビュー:サウサンプトンで覚醒した理由
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2026年2月21日

トルコから英国のサウサンプトンに移りプレーする松木玖生選手。試合に出られない日々をどう乗り越えたのか?英国で通じると感じた武器は何か?日本代表や今後のキャリアも含めて話を聞いた。 <目次> 00:00 ダイジェスト 00:55 オープニング 01:55 4ヶ月のメンバー外からの復活 07:32 海...
不遇の4ヶ月を乗り越え再起へ 松木玖生が語る欧州での挑戦と覚悟
イングランド・チャンピオンシップのサウサンプトンに所属するサッカー日本代表の未来を担う一人、松木玖生選手。今シーズン、一時は4ヶ月間もメンバー外という厳しい時期を過ごしながらも、不屈の精神で這い上がり、再びピッチで輝きを放ち始めた。

本稿では、若き司令塔がどのようにして逆境を乗り越え、欧州の激しい競争の中で自身の価値を証明しているのか。チーム戦術への適応、自己投資の重要性、そして日本代表への揺るぎない目標まで、その挑戦の裏側に迫る。
Q. 長期離脱からの復帰後、どのようにチャンスを掴んだのか?
松木選手は、シーズン序盤に約4ヶ月もの間、メンバー外の期間を経験したと明かした。この間も、紅白戦などの練習では常に100%でプレーし続けたと話す。こうした真摯な姿勢が監督の目に留まり、バーミンガム戦で急遽チャンスを得るに至った。
そのわずかな出場時間で結果を残したことが転機となり、翌試合からはスターティングメンバーに定着。苦しい時期も下向きな努力を怠らなかったことが、チャンスを呼び込み、成果として表れた瞬間であったと言える。

Q. 若い監督のもと、チームの戦術やご自身の役割はどのように変化したのか?
現在のサウサンプトンを率いる監督は、33歳という若さながら非常に戦術的な手腕を持つ指揮官だと松木選手は評価している。例をあげると、ゴールキックからのビルドアップに関しては多くのパターンを練習から徹底していると言い、相手のプレスに合わせて空くスペースを見つけ、そこにタイミング良く選手が入っていく戦術は、松木選手自身にとっても新たな発見の連続であったという。
監督から特定のプレーをリクエストされることは少ないが、松木選手は自身の強みであるミドルシュートへの信頼を感じている。現代サッカーにおいてミドルレンジからのシュートを放てる選手は貴重であり、その点を自身の大きな長所として、今後も磨いていくと語った。
Q. トルコリーグと現在のチャンピオンシップの違いは何であり、ご自身の成長にどう繋がったか?
松木選手はトルコリーグからイングランドのチャンピオンシップに移籍し、両リーグの間に「圧倒的なクオリティの違い」を感じたと言う。サッカーの質はもちろん、球際の激しさ、プレーのスピード、そして個々の選手の質において、チャンピオンシップははるかに高いレベルにあると述べた。
この環境の変化が自身の成長に繋がった最大の要因の一つとして、トルコ時代の経験を挙げた。当時の監督から「止まってボールを受けるとディフェンダーに潰される」と指摘され、ボールを受ける前の駆け引きや、背後への抜け出しといったオフザボールの動きを意識的に学ぶきっかけとなった。この学びが、今の自身のプレーの質を大きく高めたと感じているようだ。
Q. 持ち味であるミドルシュートを最大限に活かすための課題とは?
松木選手は自身の現在の課題として、まず試合勘を取り戻し90分間戦えるコンディションを維持することを挙げた。そして、得意のミドルシュートを効果的に放つための形作りが不可欠であると分析する。具体的には、ボールを有利な形で引き出す動きや、味方選手とのコミュニケーションを通じて最適なシュートチャンスを創出するプロセスを構築する必要があると述べた。
さらに、自身の得意とする中央でのプレーと、監督から求められる右ウィングとして「幅を取る役割」との間に葛藤があるとも明かした。チーム戦術として最終ラインを押し込んだ後も、サイドに張り出すことが要求されており、ここから1対1の状況を作り出す、という新たな武器の習得が求められている。このような状況下で、サイドバックとの連携を密にし、最適な攻撃パターンを模索しているという。ロールモデルとしては、同じ左利きの右ウィングである堂安律選手を挙げ、カットインからのシュートやクロス、そして複数の相手を仕掛ける突破力など、自身が手に入れるべき要素が多いと話した。
Q. 監督やチームメイトとのコミュニケーションはどのように工夫しているか?
メンバー外だった時期のメンタルについて、松木選手は「練習では自分は活躍していたし、監督に『見る目がない』と思うほど自信があった」と振り返る。この揺るぎない自信が、苦しい時期を乗り越える原動力となったと言える。

チーム内のコミュニケーションについては、選手のタイプを見極めて接し方を変えているという。伸び伸びとプレーしたい選手や言わずともやる選手には過度な干渉をせず、逆にコミュニケーションを欲する選手には密に話し合いを行う。海外では言葉の壁があるため、簡単な英語やジェスチャーを駆使し、より強く自分の意図を伝えるよう心がけている。実際に、FAカップでの試合中には、ボールの流れが悪い左サイドでの起用を監督に直接提案し、それが認められるなど、戦術的な発言も積極的に行っているようだ。
激しいフィジカルコンタクトが多いチャンピオンシップでの対応策として、タックルされる前にボールを裁くことや、相手に自由にプレーさせないことを意識している。また、体勢を崩されても簡単にボールを失わず、背負った状態からドリブルで剥がすなど、プレーのバリエーションを増やすことにも取り組んでいる。
Q. 青森山田時代の黒田監督の指導は、現在のプレーにどう影響しているか?
青森山田高校時代の恩師である黒田監督の指導は、松木選手のプレースタイルの基礎を築いた。特に印象的だったのは、セットプレーに対する異常なこだわりである。プロの世界では専門のコーチに任されることが多いセットプレーの指導を、黒田監督は自ら行い、年間20種類以上のバリエーションを用意していたという。拮抗した試合ではセットプレーが得点を生み出す重要な鍵となる、という哲学のもと、得点確率を少しでも高めるための徹底的な準備を指導していた。
また、PK練習においても、大会前には朝練で一人あたり10~15本ものキックを蹴り込ませるなど、徹底していた。これにより、選手たちは「これだけ練習したから大丈夫」という強い自信を持って本番に臨むことができた。こうした練習から培われたメンタリティは、今のプロの舞台で直面するプレッシャーの中で、自身のパフォーマンスを支える大きな要因となっていると松木選手は語った。
Q. プレミアリーグを目指す上で、自己成長のためにどのような取り組みをしているか?
松木選手は、チャンピオンシップの試合過密日程が戦術練習の時間を制限するため、監督のアドリブ的な指示に対応できる思考力と、個々の選手の判断力が重要だと考えている。サウサンプトンのクラブハウスのクオリティは「まさにプレミア基準」と感じるほどで、広大な施設には選手が必要とするものが全て揃っており、専属シェフによる個別メニュー対応、遠征中の洗車サービスまで充実しているという。
フィジカル管理においては、GPSデータを活用した科学的アプローチが徹底されている。フィジカルコーチが走行データなどを分析し、個々の選手に合わせたスプリントや持久力強化のための追加トレーニング、ジムメニューを作成している。さらに、クラブの提供する環境に加え、パフォーマンス向上のための自己投資も欠かさない。吉田麻也選手も利用していたマッサージ師に体のケアを依頼し、また菅原由勢選手の紹介でスプリントコーチの杉本龍勇氏をつけ、馬力のある走り方やクイックな動きを身につけるための改善に取り組んでいる。今後は代理人事務所の分析官とのミーティングも開始し、客観的なデータ分析を取り入れて更なるレベルアップを目指す考えだ。

今後のキャリアについては、最大の目標であるプレミアリーグでのプレーを目指す。それは自身が最も成長できる場所であると考えているため、今季サウサンプトンで結果を出し、チームをプレミア昇格へ導くことが最優先事項だ。日本代表でのワールドカップ出場ももちろん狙っているが、今は目の前の課題に集中することが代表への唯一の道だと捉えている。本田圭佑選手と比較されることもあるが、自身の左足のシュートやオフザボールの動きについては、常に高みを目指すロールモデルの一人であると認識している。
Q. 松木選手にとって、サッカーと真摯に向き合い続けるモチベーションの源泉は何だろうか?
常に高みを目指す姿勢と、プロとしての強い自覚が松木選手のモチベーションを支えている。たとえ試合に出られない時期でも、冷静に自分のプレーを見つめ、ひたむきに努力を続ける。それは、いつか必ず来るチャンスを掴み取るための覚悟と自信に裏打ちされているのだ。現状に満足することなく、目の前の目標に全力を尽くす彼の挑戦は、今後の日本サッカーを大きく動かすだろう。