PIVOT TALK POLITICS
【徹底解説】高市政権の4大政策
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2026年2月13日

圧勝した高市政権は今後、どの政策を重点的に進めていくのか?「高市政権のアクセル役」として、高市政権と連立を組む維新の阿部圭史衆議院議員に「高市政権の4大政策」を解説してもらった。 <ゲスト> 阿部圭史|日本維新の会 衆議院議員 医師。北大医学部卒。国立国際医療研究センターを経て厚労省入省。ワクチン...
高市政権が日本に課す「戦後80年の宿題」:情報・軍事大転換への道
自民党と日本維新の会が手を組んだ高市政権が発足し、30年ぶりとなる保守連立政権が日本の政治地図に新たな章を刻み始めた。この政権が掲げるのは「国の根幹に関わる重要政策の大転換」である。特に、高市総理と日本維新の会の吉村代表、藤田共同代表の間には、単なる政策協定にとどまらない深い国家観の共有があると言う。
本記事では、彼らが「12本の矢」と呼ぶ政策集の中から、特に「戦後80年の宿題」として積み残されてきたとされる、情報・軍事、皇室、憲法、安全保障といった国の根幹をなすテーマに焦点を当て、その具体的な改革の方向性を探求する。

Q. 高市政権における日本維新の会の役割と、連立政権「12本の矢」の重要性は何を意味するのか?
日本維新の会は高市政権の「アクセル役」を担っている。衆議院で3分の2の議席が確保されたことで、維新の役割が薄れるという見方もあるが、むしろ、高市政権を誕生させた政党として、連立合意でまとめた政策の実現を推進する責任は増している。自民党と維新は政策面で協調し、国民から信任を得た「12本の矢」を実行していく覚悟を示している。

「12本の矢」は単なる政策の羅列ではなく、両党が共有する国家観、国際政治観、安全保障観、経済財政観といった「国家の背骨」を具現化したものである。これは、戦後80年間にわたり積み残されてきた課題を解決し、日本の国の形を根本から変えることを目指す、具体的なロードマップだと理解できるだろう。
Q. 戦後80年を経て、日本が今まさに解決しようとする「宿題」とはどのような課題か?
国益を確保する上で不可欠な要素として、「DIME」(Diplomacy=外交、Information=情報、Military=軍事、Economy=経済)という概念が存在する。しかし、戦後の日本は「吉田ドクトリン」の下、経済復興を最優先課題とし、軽武装と安全保障の対米依存を基本方針としてきた。この結果、DIMEの中でも「情報」と「軍事」の要素が著しく軽視されてきた歴史がある。
高市政権は、この「吉田ドクトリン」からの脱却と、戦後80年間の宿題である情報・軍事能力の強化を目指している。これは、変化し続ける国際情勢に適応するための歴史的転換点と位置付けられる。外交官であった吉田茂の時代とは異なり、現代の日本にはより多角的でバランスの取れた国力の発揮が求められていると言えるだろう。
現代は「国運の分岐点」である。中国の軍事拡大、北朝鮮のミサイル開発、ロシアによるウクライナ侵攻など、日本の周辺環境は極めて厳しさを増している。国民の間でも「国を強くしてほしい」との危機感と要望が高まっており、こうした情勢認識が、長年の宿題である情報と軍事の強化を後押しする強い動機となっている。
Q. 日本の「国家の背骨」である皇室と憲法は、どのように改正されようとしているのか?
皇室典範の改正は、安定的な皇位継承のために急務となっている。高市政権は「古来例外なく男系継承が維持されてきたことの重み」を尊重し、現行の継承順位を変更しないことを前提としている。その上で、皇族への養子縁組を可能とし、皇統に属する男系男子を皇族とする案を「第一優先」として検討する。具体的には、戦後に皇籍を離脱した旧宮家の男系男子孫などを皇籍に復帰させることを想定しており、これにより男系継承を維持しながら後継者の安定的な確保を目指す考えだ。
憲法改正についても、自民・維新の両党は積極的に推進する改憲政党である。特に重要視されるのが、国家の危機管理体制を強化する「緊急事態条項」の創設と、防衛力の基盤となる「憲法9条」の改正である。維新の会は憲法9条2項(戦力不保持)の削除を強く主張し、自衛隊を「国防軍」として憲法に明記すること、集団的自衛権をフルスペックで認めることを提唱している。これは自衛官の士気向上にも繋がり、真に自立した国家を目指す上で不可欠な要素だと考えている。
憲法改正には衆参両院で3分の2の賛成が必要となる。衆議院ではすでに改憲勢力がこの議席数を確保したが、参議院では依然として微妙な状況が続いている。そのため、今後も国民的議論を深めつつ、2年半後の参議院選挙を見据えながら、憲法改正論議を進めていく方針だ。また、日本の安全保障は日米同盟を基軸とするが、同時に自主防衛能力の向上と多層的な安全保障体制の構築も急務であると位置付けている。
Q. 急変する安全保障環境に対応するため、日本の防衛力はどのように抜本的に強化されるのか?
まず、日本の防衛政策の根幹をなす「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の戦略3文書を前倒しで改定する。本来10年サイクルで見直すこれらの文書を早期に刷新するのは、国内外の安全保障環境が想定を上回る速さで悪化しているという認識があるためである。これにより、防衛体制を現代の脅威に対応したものへと抜本的にアップデートする方針だ。

反撃能力を実効的なものとするため、自衛隊はVLS(垂直発射システム)を搭載した潜水艦の保有を検討する。この次世代潜水艦には、長期間の潜行・運用を可能とする「あらゆる選択肢を排除しない次世代の動力」の活用が盛り込まれており、原子力潜水艦の導入も視野に入れている。これにより、敵の攻撃に対し海中から迅速かつ持続的な反撃を可能とし、抑止力を高める狙いがある。
防衛産業の振興も、日本の防衛力強化の柱の一つである。現在、運用指針で輸出が限定される防衛装備移転三原則を改正し、「五類型」を撤廃することで、戦闘機や護衛艦といった完成品の輸出を可能にする方針である。これにより、国内防衛産業に海外市場という新たな販路を与え、産業の持続的成長と技術革新を促す。日本の防衛産業は、大企業だけでなく、高い技術力を持つ多くの中小企業にも支えられており、その技術力こそが日本の防衛力の基盤となるだろう。ソフトウェア分野でのディフェンステック系スタートアップの育成も急務である。
防衛の最前線を担う自衛官の処遇改善も重要な課題である。少子化の影響で定員割れが続く中、自衛官の士気を高め、人材を確保するため、階級名を「陸将補」などといった特殊な名称から、国際標準の「少将」などへ変更する。さらに、命を懸ける任務への覚悟を国が報いる形として、掛金不要の年金制度である「恩給制度」の創設を検討する。これにより、自衛官本人だけでなく、その家族も国が最後まで面倒を見るというメッセージを明確にし、後顧の憂いなく任務に専念できる環境を整備することを目指している。
Q. インテリジェンス改革と「スパイ防止法」導入により、日本はどう変わるのか?
日本はこれまでインテリジェンス(情報活動)能力が国際標準に比べて著しく低い状態であった。「戦後80年の宿題」の中でも特に喫緊の課題とされているのが、このインテリジェンス機関の強化である。まず、内閣には各省庁の情報を集約・分析する司令塔として「国家情報局」を創設する方針である。これは安倍政権時に安全保障政策の司令塔として設置された国家安全保障局(NSS)の情報版として機能し、両組織が密接に連携しながら国の安全保障戦略を推進することになるだろう。
さらに、外国からの情報収集を担う「対外情報庁」、いわゆる「日本版CIA」の創設が連立合意に明記されている。普通の国であれば当たり前に保有しているこの機関の欠如は、戦後の日本が情報活動において「片手落ち」の状態であったことを意味する。対外情報庁の設立は、国際情報戦において日本が主体的に行動するための基盤を築くものとなり、真に自立した外交・安全保障政策を可能にする上で不可欠である。
情報要員の育成も体系的に進める。これまで警察、公安調査庁、防衛省、外務省など、各省庁が個別に行ってきた情報要員の育成を統合し、省庁横断的な「情報要員養成機関」を創設する。これにより、情報活動に必要不可欠な共通の素養や能力を効率的に習得させ、情報活動全体の質の向上を図る。プロフェッショナルな「インテリジェンス・オフィサー」の育成を通じて、彼らが誇りを持って国家に貢献できる環境を整備することを目指す。

そして、現在日本では処罰対象とならないスパイ活動そのものを取り締まる「スパイ防止法」の制定が予定されている。現状の日本は、外国勢力によるスパイ活動を罰する法律がないため「スパイ天国」と揶揄される状態にある。スパイ防止法の導入は、このような現状を解消し、国家機密の漏洩や外国からの内政干渉を防ぐ上で極めて重要である。過去には「言論統制」への懸念から制定が見送られた経緯もあるが、今回の法制化では国民の自由や人権を制限することなく、あくまで外国勢力からの不当な諜報活動を規制することに特化する方針であり、国民の安全保障をより一層確保するものとなるだろう。これらのインテリジェンス改革は期限を切って進められており、高市政権が「腹を決めて」実行すべき課題として取り組んでいく構えである。