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老化の研究者が教える【確実に老ける食べ物・習慣】
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2026年2月10日

老けないために何をすればいいのか?生命科学博士の早野元詞氏に最新の若返り研究について伺う。 <ゲスト> 早野元詞|生命科学博士/慶應義塾大学特任講師/東京理科大学准教授 2011年東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカルゲノム専攻にて博士号取得。主に「老化」の速度について研究をしている。ハーバ...
寿命の常識を覆す:老化は治療できる「病気」となるのか?
かつて「人間の寿命は長くても100年」という考えが一般的であった。しかし、科学技術の急速な進展により、私たちは今、かつての常識が大きく覆される時代に生きている。
老化は避けられない自然現象ではなく、「治療可能な病気」として捉えられ始めているのだ。
ゲノム編集、AI、そして日常生活における健康習慣まで、多様なアプローチが人類の寿命延長と「若返り」の可能性を広げている。この未曾有の変化は、私たちの人生観、社会システム、そして個人の価値観を根本から変える可能性を秘めている。人類は、自らの寿命をデザインし選択する時代を迎えるのであろうか。

Q. 人間は本来、どのくらい生きるように設計されているのか?
驚くべきことに、人類は生物学的には約38歳で死ぬようデザインされている。これは脈拍や呼吸の回数といった生体リズムに基づいた推計で、鮭が生殖を終えると急激に老化し死に至るのと同じ自然の摂理だと考えられている。
事実、わずか120年前の日本の平均寿命は41歳だった。
現代人が80歳を超える長寿を享受しているのは、公衆衛生や医療の進歩により、本来の生物学的限界を超えて「無理やり」寿命が引き延ばされた結果である。つまり、私たちは常に、生命の設計図とは異なる生き方をしているといえるだろう。
Q. 長寿の秘訣は「楽しむこと」にあるというのは本当か?
長寿を目指す上で、精神的なストレスがいかに大きな障害となるかは科学的に示されている。かつて行われた猿の研究では、同じカロリー制限食を与えられても、目の前から食料が奪われるという強いストレスを感じた猿は、そうでない猿に比べて寿命が伸びなかった。
この研究が示唆するのは、我慢を強いられる苦痛な生活は長寿に寄与しないという点である。「楽しくなければ寿命は伸びない」という事実は、老化科学における重要なパラダイムシフトを促している。美食や楽しみを我慢せず、テクノロジーの力でその代償を解決しようとする、米国的な発想の根底には、意外にもこの真実がある。
Q. 老化は「病気」として治療できる時代が来るのか?
ハーバード大学のデビッド・シンクレア教授など、最先端の研究者は老化を「治療可能な病気」として捉え、その治療法の開発に注力している。従来の臓器ごとの治療ではなく、老化そのもののメカニズムにアプローチし、細胞レベルからの若返りを目指すものだ。
このアプローチにおける最終的な関門は、脳や視神経といった「神経系」の若返りだ。
臓器を若返らせることはある程度可能だが、神経系の再生は困難とされる。最新の研究では、遺伝子レベルで神経細胞に「あなた方は神経細胞である」と再認識させることで、認知機能の改善や視力の回復を目指すという革新的な試みが行われている。体がどれだけ若返っても、脳が老いては意味がないという思想に基づいている。
Q. ゲノム編集やAIはどのように寿命に影響を与えるのか?
人類がこれまで到達した最長寿命は122歳だが、ゲノム編集技術はこの限界を打ち破る可能性を秘めている。遺伝子レベルで疾患の原因を取り除いたり、身体機能を最適化したりすることで、血糖値が一生上がらない体や脂質代謝に優れた体を作り出すことが理論上可能となるのだ。
さらに、AIの発展は医療・生物学研究に革命をもたらしている。Google DeepMindが開発した「AlphaFold」のように、タンパク質の立体構造を高精度で予測するAIは、創薬のスピードを劇的に加速させ、新しい治療法の開発を可能にする。AlphaFoldの開発者デミス・ハサビス氏が「ほぼ全ての疾患がなくなる」と予測するように、AIは老化や疾患との戦いにおいて決定的な役割を果たすだろう。
そして、2029年には、Xプライズ・コンペティションにおいて、「安価で20年分の若返りを実現する技術」が登場する可能性が高い。これは富裕層だけでなく、一般の人々も若返りの恩恵を受けられる時代が近づいていることを示唆している。
Q. 富豪の若返りプロジェクト、ブライアン・ジョンソン氏の取り組みから何を学べるのか?
アメリカの資産家ブライアン・ジョンソン氏は、年間3億円を投じ、自身の身体を実験台にした壮大な若返りプロジェクト「Blueprint Project」を推進している。
その結果、実年齢47歳にして皮膚年齢28歳、心臓年齢37歳、肺活量18歳相当という驚異的な体内年齢を実現した。

彼の取り組みは、毎日100錠以上のサプリメント摂取、完全ヴィーガン食、1時間の高強度トレーニングといった極めてストイックな生活によって支えられている。しかし、あまりに多くの介入を同時に行っているため、具体的にどの要素が若返りに寄与しているのか科学的な特定は困難だ。これは、「文化」の形成を目指す一方で、一般の人々が容易に模倣できるものではない、という課題も示している。また、この分野での日本の取り組みは、バイオベンチャーの数や投資額で「2周遅れ」と評されており、大きな課題となっている。
Q. 日常の食事やサプリで寿命を伸ばす秘訣や落とし穴はあるのか?
長寿を目指す上で、食に関する認識の転換が求められる。例えば、筋トレ愛好家に人気のBCAA(分岐鎖アミノ酸)に含まれるロイシンは、実は老化を促進する作用があることが判明している。肉に含まれるメチオニンやトリプトファンといった必須アミノ酸も、過剰摂取は寿命を縮める可能性があるのだ。
若い世代がプロテインを大量摂取することは、短期的には能力を高めるが、長期的に見れば命を燃やす「スーパーサイヤ人」状態ともいえ、寿命を縮めるリスクがある。一方で、高齢者の断食は筋肉の急激な減少を招き、虚弱体質(フレイル)の原因となるため危険だ。高齢者にとっては、筋肉維持のために積極的にプロテインを摂取すべきケースもある。

乳酸菌を含むR-1ヨーグルトや納豆、キムチといった日本の発酵食品は、美味しく健康寿命を延ばす可能性を秘めている。複数の種類の菌をバランスよく摂取し、食物繊維でそれらを活性化させることが重要だ。その効果が数値として可視化されれば、食品産業にとって大きなビジネスチャンスとなるだろう。
Q. 寿命が劇的に延びた未来で、私たちの生き方はどう変わるのか?
寿命が150年、200年、さらには250年へと延びる時代が到来すると、現在の固定観念は通用しなくなる。結婚は複数回行うのが当たり前になり、108歳まで現役で働き、キャリアを何度もリセットするといった新たなライフデザインが主流になるだろう。
病気が克服された未来では、主な死因はカメやデバネズミといった長寿生物と同様、「不慮の事故」に移り変わる。自動車事故、転倒、人間関係のトラブルなど、偶発的な出来事が死のリスクとなる。しかし、自動運転技術の進歩などにより、そのリスクも徐々に軽減されるかもしれない。

この新しい時代において、人々は「50歳で生涯を終える」選択も、「250歳を目指す」選択も自由に行えるようになる。倫理的な議論は残るが、権力者層の間ではすでに水面下でゲノム編集が進められている可能性も指摘されている。自分の寿命や生き方を自らデザインし、自己の価値観に基づいて選択する能力が、これからの人類に求められるのだ。