PIVOT TALK SPECIAL
岡本政調会長に聞く「中道改革の経済政策」:ジャパン・ファンドの批判に答える
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2026年2月5日

消費税減税ばかりに注目が集まる経済政策議論。今回の衆議院選挙で各政党はどんな経済政策を掲げているのか?各党のリーダーたちに聞いた。 <ゲスト> 岡本三成 | 中道改革連合 共同政務調査会長 創価大卒。米ケロッグ経営大学院でのMBA取得やゴールドマン・サックス証券での執行役員歴など、国際金融の最前線...
中道改革連合・岡本光成氏に聞く:失われた30年と未来への提言
各政党の政策に迫る本シリーズ。今回は中道改革連合 共同成長会長の岡本光成氏を招き、連立離脱の経緯から経済政策、働き方改革まで、その独自の思想と未来へのビジョンを探る。同氏が掲げる「政治は勝ち負けではない」との哲学のもと、日本の構造的問題をどのように捉え、解決しようとしているか。

Q. 「中道改革連合」を結成した理由、および自公連立を離脱した経緯を説明してください
自公連立離脱の最大の理由は、国政選挙における2連敗の結果を受けたものだ。これは「失われた30年」の大部分を担った政権への国民の信頼が揺らいでいることを示すと認識し、一度下野してゼロから政策を練り直す「結果責任の取り方」が求められると判断した。
また、政治と金の問題について、企業団体献金の透明化や第三者機関設置を提案したが、当時の連立パートナーの腰は重かった。一方で、「中道改革連合」の結成は、分断を煽るような政治に疑問を感じ、多様な意見の中に「重なる部分」を見つけ、熟議を通じて政策を進めることを目指すものである。異なる党派であっても、価値観の近い人々とのネットワークを構築し、建設的な政策を実現する志を抱いている。
Q. 食料品への消費税ゼロ政策の真意とは何か?その目的と福祉政策としての位置づけについて教えてください
食料品への消費税ゼロは、一時的な物価高対策ではなく、恒久的な福祉政策と位置づけている。日本の消費税率10%は世界的にも低い水準だが、食料品への軽減税率8%は世界最高水準である。これは生活必需品である食料品の税負担を恒久的に軽減することで、将来的な増税議論においても国民生活の根幹を守るセーフティネットとなる。一時的な減税措置は事業者にとって混乱を招き、オペレーションコストが増大する。それよりも、食料品への税金を完全に廃止することで、すべての国民の食生活を安定させる長期的な視点での福祉施策を実現したい。

Q. 社会保険料の引き下げは、どのような思想に基づいているか?医療・介護サービスとの両立策について教えてください
社会保険料の引き下げは、年齢で一律に負担を定めるのではなく、「応能負担」を徹底する思想に基づいている。現代では、若くても困窮している者がいれば、高齢でも多くの資産を持つ者がいる。そのため、個人の所得や資産に応じて負担能力を判断し、より公平な負担構造を構築する。これにより、現役世代の負担を軽減し、社会全体の活力を高めることが可能となる。
医療や介護サービスについては、その質を維持しつつ、無駄を排除することで財源を確保する。例えば、IT化を推進し、お薬手帳の活用による重複投薬の削減やOTC類似薬の見直しなどで、全体のコストを効率化する。単なる削減ではなく、時代に合わせた制度の「改革」を進めることで、サービスの持続可能性と公平性を両立させる方針だ。

Q. 増税や国債に頼らない「第3の財源」として構想する「ジャパンファンド」は、具体的にどのような仕組みなのか
インフレ時代において、政府が持つ巨額の現預金や国債は、実質的な価値が目減りしている。この「何もしないリスク」こそが国富の喪失に繋がり、将来の行政サービスに悪影響を及ぼすと認識している。そこで、この「眠れる資産」を積極的に運用する「ジャパンファンド」の創設を提案している。
具体的な仕組みとしては、年金運用法人(GPIF)が持つ世界トップクラスの運用ノウハウを最大限に活用する。GPIFは過去25年間で180兆円の運用益を上げる実績があり、そのリスク管理能力とコンサーバティブな分散投資戦略を応用すれば、政府資産も安定的に増加させることが可能である。これにより、消費税減税の財源である約5兆円を賄うためには、約200兆円規模の運用が必要だと概算している。ジャパンファンドの最大の鍵は、政治家が運用方針に一切介入しない厳格なガバナンス体制を法制化することである。GPIFのような独立性を確保することで、国民の財産が公正かつ健全に運用されることを保証する。
Q. 全党的なコンセンサスが広がる「給付付き税額控除」について、その意義と導入に向けた具体的な課題は何か
給付付き税額控除は、消費税の逆進性対策として理想的な制度であり、さらに「働くインセンティブを高める」効果が経済学者の間で高く評価されている。労働力不足が課題である日本にとって、この制度は大きな意味を持つ。インフラ整備の議論はもはや党派を超えたコンセンサスとなり、選挙後には国民会議で具体的な議論が開始される予定である。
導入に向けた最大の課題は、個人の所得だけでなく、株式や不動産といった資産をどこまで正確に把握できるかというインフラ構築にある。この高度な情報把握には、国民が「なぜ自分の資産情報を国に提供するのか」を納得できる政治への信頼が不可欠だ。「社会保障の公平な土台を築くため」という目的を丁寧に説明し、信頼を得ることが成功の鍵となる。食料品消費税ゼロ政策との両立は、インフラの精度や運用の実績を踏まえ、その後の国民的議論で判断されるだろう。

Q. 「失われた30年」の日本経済の本質的な問題点をどう捉えているか?経済再生に向けた成長戦略や人への投資をどう進めていくか
「失われた30年」の本質は、日本の労働生産性の低さではなく、「分配」の構造的問題にあると認識している。過去20年間で企業の経常利益は5倍、株主還元は8倍に増加した一方、賃金はわずか1.08倍に留まっている。これは生産性向上の果実が労働者に適切に分配されていないことを示している。この分配構造を改善しなければ、国民は豊かさを実感できず、経済も停滞したままだ。
経済再生に向けた成長戦略としては、従来の業界支援(トップダウン)だけでなく、「人への投資」(ボトムアップ)を重視し、両輪で進める。個人の将来不安を解消するために教育、医療、介護などのベーシックサービスを充実させることが、結果的に個人の生産性向上、ひいては経済成長に繋がる。「再分配」というより「成長戦略」としての社会保障強化である。また、円安是正も重要である。レアアースやコンテンツ産業、宇宙産業など、構造的に「円買い」を誘発し、日本への投資を集めるような「10年後の飯の種」となる分野を戦略的に育成し、国富の増大を目指す。供給サイドの強化として、人手不足を補うAI・ロボティクスなどの省人化技術への投資促進も不可欠である。
Q. 「定年廃止」の提案の真意とは何か?目指す新しい働き方と社会のあり方について説明してください
「定年廃止」の提案は、「死ぬまで働け」という強制を意味するものではない。定年によって能力が変わらないのに再雇用で給与が激減するなど、年齢によって不合理な処遇をされる時代遅れの慣行を是正することが真意だ。労働力不足が深刻化する現代において、意欲と能力がある人が年齢に関わらず、不利なく働き続けられる選択肢を保障したいと考えている。週休3日制など多様な働き方の選択肢を提供し、個人が主体的にキャリアを決定できる社会を目指す。そのためには、ジョブ型雇用への移行や、円滑な労働移動を可能にするルール整備も不可欠である。
中道改革連合の社会政策は、経済は成長志向、安全保障は日米同盟を基軸とした現実主義的な保守でありながら、個人の人権や多様性を尊重する「リベラル」な側面を持つ。選択的夫婦別姓の導入提案もその一つである。多様な価値観を認め、個人が自身の能力と貢献に見合った処遇を受けられる社会を築くことで、労働市場の活性化だけでなく、社会全体の生産性向上と幸福度向上を実現していく方針だ。

Q. 現在の円安はどのように評価し、国力の維持・向上に向けた為替政策をどう考えるか?
現在の1ドル155円を超える行き過ぎた円安は、一部の輸出大企業には利益をもたらすが、輸入物価の高騰を通じて国民全体の生活を圧迫し、実質的な国力を削いでいる。為替は国力と国民生活に直結する極めて重要な問題であり、政治家は党派を超えて、建設的な議論を行う責任がある。肌感覚として、輸出業者も国民生活も両立できる「良い為替水準」は1ドル120円程度だと考えており、この水準への回復を目指すべきである。
円安を是正するために政府が直ちに取り組むべきことは主に3点ある。第一に、将来的な放漫財政をしないという明確な財政規律への姿勢を市場に示すことだ。市場は短期的な財政の増減ではなく、政府の長期的な姿勢で動く。第二に、国内産業を戦略的に育成し、構造的な「円買い」需要を創出すること。例えば、レアアース開発や強力なコンテンツ産業、宇宙産業など、海外から投資を呼び込み「円で買われる」ような分野の強化が有効だ。第三に、デフレ脱却を前提とした2013年の日銀とのアコード(共同声明)を、インフレ下の現実に合わせて見直すこと。物価安定や賃金上昇といった新たな目標を共有し、政府・日銀が一体となったメッセージを発することが市場への信頼に繋がる。これらの複合的なアプローチを通じて、行き過ぎた円安を是正し、国民生活と国益のバランスの取れた為替水準へと誘導すべきだ。