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25年間の資産推移は“ツーシーム”【槙原寛己】
(1980)
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2026年2月2日

“ミスターパーフェクト”こと元巨人軍エース・槙原寛己氏が現役引退後の運用成績を公開。さらに「薄利多損でしかない」と語るデイトレードで得た失敗の教訓とは? <ゲスト> 槙原寛己|元プロ野球選手/タレント - 1982年 高校卒業後 ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団 - 1983年4月16日 阪神...
「株のツーシーム」にみるプロ野球選手の壮絶な投資失敗談とその教訓
かつてプロ野球界を沸かせた槙原氏が、引退後に足を踏み入れた株式投資の世界は決して順風満帆ではなかった。
自らの数々の壮絶な失敗談を赤裸々に語り、そこから得た教訓を次の世代へと繋ぎたいと熱く訴える。
彼の言葉から、ハイリスクな信用取引やデイトレードの危険性、そして精神状態が投資判断に与える影響の大きさが浮き彫りになる。プロ野球選手が語る、株式投資のリアルとその重みがここに凝縮されている。
Q. 損失が家一軒分とは、一体どれほどの金額なのか?
槙原氏が語るトータルの損失額は「家一軒分」である。具体的な金額を問われると、都内の家を一軒1億5000万円と仮定した場合、40年の投資経験で毎年500万円の負けが続くと、総額2億円の損失に達すると明かした。

これほどの損失を出しても驚きが少ないのは、自身の投資歴が長く、薄利ながらもコンスタントに利益を積み重ねられなかったためだと槙原氏は説明している。デイトレードに取り組むようになったきっかけも、持ち越しによる翌日以降の大きなリスクを回避する目的があった。
しかし、感情的な取引を繰り返して損益を拡大させる「おはぎゃー」と呼ばれる状況を多々経験したという。常に相場を監視するデイトレードは「投資をやっている感」は得られるものの、利益確定の薄さや自身の感情に左右される取引の難しさを痛感した経緯がある。
Q. 信用取引が元プロ野球選手のメンタルに与えた影響とは?
信用取引の恐ろしさを身をもって体験したという槙原氏。中でも強烈な記憶として残っているのは、現役時代の先発登板日に受けた一本の電話である。
それは証券会社からの追加資金(追証)を求める連絡だった。ネットバンキングなどない当時、遠征先の広島から妻に電話し、追加資金の振り込みを頼むしかなく、隠れて続けていた株式投資が家族に発覚するという窮地に陥ったと話す。
メンタルの動揺は試合にも及び、野球に集中できず良い結果を出せなかったと振り返る。巨額の損失と登板のプレッシャー、そして家族への罪悪感という三重苦は、誰にも打ち明けられない孤独な戦いだったという。投資に全てを捧げた結果、精神状態が不安定になり、本来のプロとしてのパフォーマンスにまで影響を与えてしまう危険性を強く訴えた。
Q. ライブドアショックは槙原氏にどのような影響を与えたか?
ITバブルと新規公開株ブームに乗っかり、「必ず上がる」と信じてライブドア株に投資していたという槙原氏。その平穏は、ライブドアへの強制捜査のニュースによって一変した。
知人の会社社長が顔面蒼白になる様子を目の当たりにし、市場の大混乱を予感した。その直後、証券担当者との会食で銀座の高級すき焼きを口にしたが、翌日からの株価暴落への恐怖で、その味が全く分からなかったというエピソードは、彼の精神的なダメージの深さを物語っている。

証券担当者の「多分値はつくだろう」という楽観的な言葉も虚しく、市場は連日のストップ安となり、他の銘柄にも影響が波及。自身は本命銘柄ではなかったものの、多大な損失を被ったと明かした。
Q. 自身の失敗談から若手選手に何を伝えたいのか?
槙原氏は自身の投資失敗談を反面教師として、現代の若手プロ野球選手に警鐘を鳴らす。かつて信用取引の審査は厳格で、支店長クラスの面談を要するほどだったが、今やネット証券で手軽に始められるため、その気軽さが逆に危険だと指摘する。
野球も投資も「基本(ファンダメンタルズ)」が重要であり、リスクを理解せず他人の話だけでフルベットする愚かさを訴えた。一方で、現代の若手選手たちは堅実な投資をしていると感心している。自分のパフォーマンス向上のための「自己投資」として、パーソナルトレーナーや栄養管理士を雇う選手が増え、引退後のセカンドキャリアを見据えてマンション一棟買いをする選手もいるという。
まとまった契約金などをNISAなどで賢く運用し、長期的な生活設計を立てることの重要性を、自らの失敗を通して力説した。これがプロスポーツ選手にとって非常に重要な教訓であると彼は考えている。
Q. 自身の資産推移を「株のツーシーム」と表現する真意とは?
槙原氏の引退後の資産推移は、自身の決め球である「ツーシーム」のようだと表現した。ライブドアショック、リーマンショック、東日本大震災と、2001年の引退後から続く各暴落局面で、資産は鋭く落ちるフォークボールではなく、じわじわと、しかし確実に減少する様子がグラフで示された。

最も株価が急伸したアベノミクス初期には、度重なる損失で心が折れ、投資から「休止」していたため、最大の回復期を逃す結果になったという。暴落局面は「安く買うチャンス」と頭では理解しつつも、実際に大きな損失を抱えた状況では「心が壊れてしまい」、資金を投入する気力が湧かず、結果的にチャンスを逸してしまうという皮肉な現実も明かした。
さらに、2023年には好調だったものの、11月に相場が下がると予測して「売り」を入れた結果、逆に相場が上昇し「爆損」に繋がった「薄利多損」の実情を語った。
Q. 2026年からの新たな投資戦略と「タブレットからの脱却」とは?
槙原氏は現在のポートフォリオが日本株に偏り、米国株が皆無であることを反省。2026年からは「世界を相手にする米国株への投資」を宣言し、新NISAも活用していく意向だ。これまでコツコツ積み立てる堅実な投資を野球の「送りバント」のように「一発ホームラン狙い」の自分には不向きだと避けていたが、その考えを改め、長期的な視点での分散投資へとシフトする決意を固めている。

「2026年、タブレットを捨てる」という言葉には、四六時中株価をチェックするデイトレード生活からの脱却への強い意志が込められている。
実際にテレビ番組「相席食堂」のロケ中に株価の暴落が気になり、仕事に集中できなかった苦い経験を披露した。このままずっと「負け犬投資家」では言葉に説得力がないため、これからは投資で「勝つ」ことを目指し、堅実な投資家としての再起を誓う。