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2026年の投資は「耐えよ」【マネックス証券・塚本憲弘】
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2026年1月12日

2026年、投資の潮目が変わる? マネックス証券・塚本憲弘氏が提唱する「予測ではなく、耐える投資」の本質とは? 「なんとなく投資」を卒業し、自分だけの「投資の軸」を再構築する。 <ゲスト> 塚本憲弘|マネックス証券 執行役員 1978年生まれ。2001年一橋大学経済学部卒業後、経営学修士(ファイナ...
2026年 資産運用は「予測」ではなく「耐える」?米国株バブルと分散戦略
2026年が幕を開けた。資産運用の世界では「予測する」ことの難しさが常に取り沙汰されるが、今年は特に市場の不確実性が高く、「予測」よりも「耐える」という視点が重要になると識者は語る。
本記事では、マネックス証券執行役員である塚本典弘氏の解説を基に、米国AI株の現状から、来るべき相場の変動に備えるための戦略をQ&A形式で解説する。
Q. 2026年の資産運用は「予測」と「耐える」のどちらが重要か?
市場の将来を正確に予測することは専門家にとっても極めて困難である。2026年の資産運用においては、目まぐるしく変化する市場環境に対して短期的な予測に基づいた「攻め」の投資戦略よりも、市場の変動に「耐える」ための堅実な運用設計が求められる。
ここで言う「耐える」とは、単に市場が下落しても感情的に動揺しないことではない。事前にポートフォリオの適切な設計や、万一の価格変動時にも慌てずに済むような運用方針を明確に固めておくという戦略的アプローチを指す。長期的な視点での目標設定が重要になるだろう。
Q. なぜ今、現金を持つことが資産運用のリスクになるのか?
現代は「インフレ時代」に突入しており、物価上昇が進行している。日本では年間3%程度の物価上昇が続けば、約24年で物価は2倍になり、現金の実質的な価値は半分に目減りしてしまう(72の法則)。現金だけを保有していると、知らないうちに資産が蝕まれるリスクがあるのだ。
インフレは企業の売上増加を通じて株価を押し上げる傾向があり、株式投資は物価上昇に対抗し、資産価値を維持・増大させる有効な手段となる。新NISAのような税制優遇制度の拡充も相まって、今こそ資産運用に取り組む必要性が高まっている。
Q. 現在の米国株市場、特にAI関連銘柄は「バブル」状態にあるのか?
米国株式市場はGDPの成長ペースを上回る株価上昇が続いており、これは市場の「期待」が先行していることを示唆する。CAPEレシオ(景気変動を均した長期的な株価指標)で見ると、現在の水準は約35倍と歴史的平均の約20倍を大幅に超え、過去のITバブル期に匹敵する割高水準にある。
特にAI関連銘柄への期待感は非常に高いが、こうした「期待先行」の状況は、株価の調整が起こる可能性を内包している。市場の熱狂が過度になりすぎている側面は否めず、「バブル的な状況」と捉える見方も存在するのは確かである。
Q. 新技術に現れる「ハイプサイクル」から、AIブームの今後をどう予測するか?
ガートナー社の提唱する「ハイプサイクル」によれば、新技術は通常「黎明期→過剰な期待のピーク期→幻滅期→回復期→普及期」という段階を辿る。現在のAIブームは「過剰な期待のピーク期」に位置する可能性があり、その後に「幻滅期」として一時的な株価の調整局面が来るリスクを意識する必要がある。
幻滅期に差し掛かると、当初の過大な期待が現実とのギャップを生み、株価は大きく下落する可能性がある。しかし、このサイクルを理解していれば、幻滅期の下落は長期的な視点を持つ投資家にとっては、技術の本格的な普及期を見据えた絶好の買い増し機会ともなり得るだろう。
Q. ITバブル期と比較して、現在のAI株の状況は何が異なるのか?
ITバブル(ドットコムバブル)期も「期待先行」の様相を呈していたが、当時の多くのスタートアップ企業は赤字経営であり、業績が株価に全く追いついていない状況だった。一方、現在のAI関連主要企業の多くは、高い業績を背景に成長を遂げている点が大きく異なる。
堅実な業績が伴っていることは、仮に市場全体が一時的な調整局面、つまり「幻滅期」を迎えたとしても、2000年代初頭のような大規模な崩壊に直結する可能性は低いとされている。企業の実力があるため、調整後に回復し、長期的な成長へと繋がる期待が持てるだろう。
Q. 米国株一辺倒の投資戦略を見直すべき時期に来ているのか?
過去10年以上、米国株は世界市場を牽引してきたが、最近の動向を見るとグローバル化の停滞や米ドルの基軸通貨としての地位の緩やかな低下など、構造的な変化が起きている。関税率の上昇や貿易量の頭打ちがその兆候であり、米国一辺倒の投資戦略には新たなリスクが潜在している。
ドル高と米国株優位が連動する傾向が示されており、過去にはドル安と世界株優位の時期も存在した。約10年続いた米国株優位のサイクルが転換点を迎える可能性もあり、米国以外の新興国や成熟市場、あるいは金といった安全資産への地域・資産分散の重要性がこれまで以上に高まっている。
Q. 金利上昇期において、「債券」はどのような魅力的な投資対象となり得るか?
世界的な金利上昇局面により、かつてゼロ金利で魅力が乏しかった債券が再び投資対象として注目を集めている。株の期待リターンと債券の金利(利回り)を比較する「イールドスプレッド」が縮小し、両者のリターンが同水準に近づいているためだ。
この状況では、高いリスクを負って変動の大きい株式に投資する魅力が相対的に薄れ、よりリスクを抑えて同様のリターンを目指せる債券の価値が高まる。個人のリスク許容度や投資期間に合わせて、株式だけでなく債券もポートフォリオに組み入れることで、より安定した資産形成が期待できる。