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米軍ベネズエラ攻撃:世界秩序の変容
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2026年1月5日

米軍によるベネズエラへの軍事作戦とマドゥーロ大統領拘束の衝撃を速報解説。トランプ政権が掲げる「麻薬撲滅」の正当性と、石油資源を巡る思惑を深掘り。過去の「パナマ侵攻」との類似点や中国・ロシアなど国際情勢への波及効果を検証し、書き換えられる「世界のルール」の正体に迫る。 ▼プロフィール 三牧聖子|同志...
アメリカによるベネズエラ攻撃の衝撃とトランプ政権の真の狙いを専門家が解説
20XX年1月3日未明、米軍特殊部隊が南米ベネズエラの現職マドゥロ大統領夫妻を拘束し、ニューヨークへ移送するという前代未聞の事態が発生した。SNSを通じてトランプ大統領自らが作戦の成功を宣言し、世界中に衝撃を与えた今回の軍事作戦は、単なる個別国家の問題にとどまらず、国際社会の秩序と法の支配の根幹を揺るがす重大な転換点となる可能性を秘めている。
果たしてアメリカの真の狙いは何だったのか。そして、この強権的な行動は国際秩序にどのような影響をもたらすのか。同志社大学大学院の三牧聖子教授に、今回の事態の全貌と今後の展望について、Q&A形式で深掘りする。

Q. アメリカはベネズエラの現職大統領夫妻を拘束し、ニューヨークへ移送したというが、これはどのような事件か?
今回の事件は、米軍特殊部隊「デルタフォース」がベネズエラに投入され、現職のニコラス・マドゥロ大統領とその夫人を拘束、ニューヨークに移送したという国際的には前例のない事態である。作戦は1月3日明け方に行われ、マドゥロ大統領の居場所は事前にCIAのオペレーションによって特定されていたと言われる。拘束に先行してベネズエラの首都カラカスや東部の空軍基地など各地で米軍による空爆も実施され、その様子はSNSで瞬く間に拡散された。
トランプ大統領は作戦開始から数時間後の午前5時頃、自身のSNSアカウント「トゥルースソーシャル」を通じて「大規模な攻撃を成功的に遂行した。大統領と夫人を逮捕し、国外に移送した」と発表した。マドゥロ夫妻は現在アメリカ国内に拘束され、ニューヨークで裁判にかけられる見通しである。
Q. なぜアメリカは今回の軍事作戦に踏み切ったのか?その正当性についてはどう考えるか?
アメリカが今回の軍事作戦に踏み切った理由は主に二つあるとされている。一つは、マドゥロ政権による国民への「圧政」である。マドゥロ大統領は前年の大統領選で敗北していたにもかかわらず、自身の影響下にある裁判所や選挙管理委員会を使って勝利を宣言し、不法に大統領職を続けていたとされる。その結果、ベネズエラでは800万人もの難民が発生し、深刻なインフレに苦しむ状況があった。

もう一つの理由は、「麻薬問題」である。トランプ政権は、マドゥロ大統領が麻薬カルテルと関係し、大量の麻薬をアメリカに密輸する「麻薬テロ」を仕掛けていると主張する。アメリカ国内では麻薬中毒による死者が多数出ているため、これを麻薬からの自衛として軍事作戦を正当化している。しかし、国際法の観点から見れば、現職の国家元首を武力で拘束することは国際法に著しく違反する行為であり、重大な疑義が呈されている。麻薬問題は本来、警察権で対処すべき事柄であり、軍事作戦の理由にはなり得ないのだ。
Q. 麻薬対策は口実だとの指摘もあるが、今回の作戦の真の狙いはどこにあるのか?
今回の作戦において「麻薬対策」が強調された背景には、国内向けのアピールという側面がある。トランプ大統領の支持層は、一般的に他国への軍事介入に批判的であり、「介入に使うお金があるならアメリカ国内に投資すべきだ」という意見を持つ人が多い。しかし、「あなたの生活を脅かす麻薬」という身近な脅威を結びつけることで、介入への支持を取り付けようとするレトリックだと言えるだろう。
しかし、麻薬対策だけが真の目的とは考えにくい。ベネズエラは麻薬の主要な供給源ではなく、麻薬が目的であればコロンビアやメキシコなども対象となるはずだ。この矛盾を踏まえると、真の目的はベネズエラの豊富な「石油利権」にある可能性が高い。
ベネズエラは世界第1位の石油埋蔵量を誇る。トランプ大統領は以前からこの石油について言及し、「ベネズエラが石油を盗んだ。私たちは盗まれたものを取り戻す」と主張していた。これは1970年代以降、ベネズエラが石油を国有化し、アメリカ企業を締め出した経緯がある。トランプ大統領は、アメリカに多大な利益をもたらしていた石油利権をチャベス政権(マドゥロ大統領はその後継)が「盗んだ」と認識しており、軍事力でそれを奪い返すという、極めて帝国主義的な発想が今回の作戦の根底にあると考えられる。
Q. 今回のような一方的な軍事行動は、国際社会にどのような影響を与える可能性があるか?
今回の米軍による「斬首作戦」は、国際社会に対して非常に危険なメッセージを送ることになる。もし、大国が自国の利益のために気に入らない国の国家元首を一方的に拘束し、政権を打倒する行為がまかり通るようになれば、国際法に基づいた秩序は崩壊するだろう。
これは特にロシアや中国といった拡張主義的な野心を持つ国々を刺激しかねない。例えば、2022年のウクライナ侵攻の際、ロシアはゼレンスキー大統領に対し、同様の斬首作戦を試みて失敗した。今回の米国の行動は、彼らにとって「アメリカがやっているなら自分たちもやっていい」という誤った口実を与え、再度の試みを促す可能性もある。中国が台湾に対して同様の手段を用いることも考えられよう。
アメリカ自身が国際法を無視して強引な行動に出れば、将来ロシアや中国が同じような行動を起こした際に、国際社会としてそれを批判する根拠を失う。これにより、力による支配が横行する、極めて不安定な世界秩序へと転換してしまう危険性があるのだ。
Q. マドゥロ政権が崩壊した後のベネズエラはどうなるのか?歴史から学べる教訓はあるか?
マドゥロ政権が打倒された後のベネズエラには、依然として不透明な要素が多い。トランプ大統領は野党指導者のマチャド氏(ノーベル平和賞受賞者)を新しい大統領に擁立することに乗り気ではないようである。マチャド氏はこれまでもアメリカの軍事介入を強く求めてきた人物ではあるが、アメリカにとって親米政権であれば誰でも良いという本音が透けて見える。

マドゥロ政権の圧政や不正選挙が許されるものではないのは確かだ。しかし、アメリカの軍事介入によって「民主的で安全な新政権」が樹立され、政情が安定する保証はどこにもない。過去の事例、例えば2003年のイラク戦争を想起させる。サダム・フセイン政権が打倒された後もイラクの政情は長らく不安定で、テロの横行やIS(イスラム国)の台頭を許し、多くの市民が犠牲になった。トランプ大統領はベネズエラを暫定的に統治するという発言もしているが、その統治の困難さや膨大なコストを理解しているか疑問である。
また、今回の事態は1989年のパナマ侵攻とも酷似している。当時も米国はパナマのノリエガ将軍を麻薬問題と圧政を理由に排除したが、結局パナマ運河の利権を維持することはできなかった。国内外の強い反発の中で、米国は望むものを手に入れられず、歴史の教訓は今回も生かされなかった形だ。
Q. アメリカの軍事介入は今後も続くのか?日本の取るべき姿勢とは何か?
今回のベネズエラへの軍事介入は、トランプ政権が発表した国家安全保障戦略の一環だと考えられる。この戦略は、世界全体、特にヨーロッパやアジアからは徐々に引き、代わりに「西半球(中南米)」をアメリカの勢力圏として徹底的に守るという方針を明確にしている。今回の作戦は、中国など他勢力の中南米への影響力排除という思惑から生まれたものと見て良い。

国務長官のルビオ氏のような反米政権の転覆を目指す強硬派の存在を考慮すると、ベネズエラだけで終わるとは限らない。次にキューバなどの反米的な中南米諸国が標的になる可能性も否定できない状況にある。
このようなアメリカの行動に対して、国際社会の動向が注目される。ヨーロッパ諸国やEUはすでに、具体的な国名を挙げないまでも、「すべての紛争は国際法や国連憲章に則って解決されるべき」との声明を発表している。これは、同盟国でありながらアメリカの行動への懸念を示す控えめな動きだ。日本も「法の支配」を外交の柱に掲げている以上、アメリカに配慮しつつも、この原則をないがしろにすることなく、国際法が尊重される世界を目指すメッセージを出すべき時である。
このまま国際社会が米国の行動を追認すれば、力を持つ大国が中小国の主権を自由に侵害する世界が常態化しかねない。アメリカも中国もロシアも同様に、力にまかせて行動する「大国支配の世界」へと後戻りする事態は、我々にとって国益上も望ましいことではない。