2026超予測
【2026年超予測:政治(前編)】高市政権の高支持率は続くのか?
(1077)
8,554回視聴
2026年1月1日

歴代総理の中でも、異例の高支持を有する高市政権。この人気は続くのか?解散はいつなのか?注目の政策は何か?選挙ドットコムの鈴木邦和編集長と、経済アナリストのジョセフ・クラフト氏に予測してもらった。 <ゲスト> 鈴木邦和|選挙ドットコム編集長 東大工学部在学中に復興支援団体「UT-Aid」を設立し、総...
「高市政権」の深層:異常な高支持率を支える二つの要因と「体感インフレ」の死角
もし高市氏が総理大臣に就任した場合、その政権が有する異常な支持率の構造は、過去のどの政権とも異なる様相を呈している。7割近い支持率の内訳を見ると、「強く支持する」と答える層が4割を超え、これは従来の政権が達成し得なかった盤石な支持基盤を意味する。この強力な支持層は一体どこから生まれているのか。また、この強固な政権運営に潜む潜在的なリスクは何か。メディア環境の劇的な変化や国民が日々感じる「体感インフレ」が、政局に与える影響は計り知れない。本稿では、「高市政権」の仮説に基づき、その独自の支持構造と日本政治の行方を分析する。


Q. 高市新内閣の支持率が非常に高い理由は何か?
高市新内閣の支持率は現在7割近くに達している。特筆すべきはその構成にある。この7割の支持層のうち、4割以上が「強く支持する」と回答しているのだ。これは過去20年間の政権で見られた傾向と一線を画する。例えば、高支持率を誇った小泉内閣や安倍内閣ですら、「強く支持する」層は20%台後半から3割に留まっていた。高市政権におけるこの数値は異例であり、政権交代直後を除けば歴史上ほとんど例がない。
この強力な支持層、いわゆる「岩盤支持層」が存在するため、政権に何らかのリスク要因が発生し、一時的に支持率が下落したとしても、5割前後で持ちこたえる可能性が高いと見られる。これは極めて強固な基盤であり、従来の政権とは異なる政治力学を生み出す要因となるだろう。

Q. なぜ高市総理には強固な支持層がいるのか?
高市総理の異常な支持構造には、大きく分けて二つの要因が存在すると分析される。一つは「経済政策への期待」であり、もう一つは「メディアシフト」である。強く支持する層の5割は政策に期待しており、特に積極財政への支持が顕著だ。現代の日本において、国民全体が積極財政を支持する傾向にあることが背景にある。
もう一つの要因は「メディアシフト」、つまりYouTubeの影響力の高まりである。高市総理を強く支持する人々は、政治情報源としてYouTubeを積極的に利用している。実際、YouTube上では高市氏に関連する動画が圧倒的な再生数を記録しており、参院選における参政党の勢いと比較しても3~4倍に上る時期があった。これは事実上の「メディアジャック」状態といえ、熱狂的な「推し活」現象に近いものがある。

加えて、彼らはテレビや新聞といった既存のメディアを「信用できない」と回答する傾向が強い。これは全体有権者の5割、高市支持層においては7割に及ぶ。この「既存メディア不信」とYouTubeを通じた情報収集は、かつてない情報空間の分断を引き起こしている。高市氏の短く、分かりやすく、抑揚をつけた話し方も、視聴者を飽きさせないYouTubeに適したコミュニケーションスタイルであり、米国のトランプ前大統領のそれと類似すると指摘する声もある。この強く支持する層は40代から60代の男性が中心である。
Q. 国民が感じる「体感インフレ」とはどのようなものか?
政権の支持を測る上で、単なる経済指標ではなく、国民が日々の生活で感じる「体感」が極めて重要となる。現在の日本の消費者物価指数は3%程度で推移しているが、これは国民の生活実感と大きく乖離している。日銀の家計調査によると、国民が感じる「体感インフレ率」は年率で16.5%にも達しているという。
この乖離は、米や食用油など、生活必需品の価格が二桁以上、時には倍近く上昇していることに起因する。国民は統計上の数字よりも、毎日手にする商品の価格変動に敏感に反応するため、政治家はこの16.5%という「体感」の数字を直視し、対応する必要がある。公式な物価指数だけを見て安堵していれば、国民の不満を見誤り、支持を失う政治的なリスクを抱え込むことになるだろう。生活必需品にピンポイントで働きかける政策こそが、国民の不満を和らげ、支持を維持する鍵となる。
Q. 円安は高市政権にとって最大のリスクとなるか?
現在の物価高の主要因は円安である。しかし、現時点では国民の多くが、物価高の原因を海外の原材料費高騰にあると考えており、政権の政策との直接的な関連性を強く意識しているわけではない。このため、まだ国民の不満の矛先が高市政権には直接向いていないのが現状だ。

しかし、この状況はいつまでも続くわけではない。今後、国民の間で「高市政権の政策が円安を招き、それが物価高に繋がっている」という認識が広がれば、不満は一気に政権に向けられ、支持率急落に繋がりかねない。円安は、国民の体感インフレに直結する要素であり、高市政権にとって最大のリスクとなりうるのだ。為替の安定化と同時に、所得向上といった中長期的な視点での政策の両輪が求められるだろう。
Q. 主要政党の間の複雑な関係と自民党の戦略はどのようなものか?
現在の政局は、自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党、立憲民主党、参政党という主要6政党の関係性が中心となって動いている。自民党は公明、維新、国民という3党を戦略的に使い分ける「三方位外交」を展開している点が特徴だ。これにより、自民党は特定の野党に過度に譲歩することなく、自らの政策を進めやすい状況を作り出している。
例えば、維新の会が重視する定数削減などは、他の野党の賛同も乏しく、世論の関心も低い。自民党は、維新と国民民主党を天秤にかけることで、野党間の結束を阻害し、自民党に不利な改革を阻止する巧妙な戦略を取っている。結果として、野党は力を合わせて自民党に対峙できず、特に最大野党の立憲民主党は孤立感を深めている状況だ。立憲は公明党を自民党から切り離し、味方につけようと画策しているが、厳しい局面に立たされている。

Q. 次の選挙で最も重要な争点は何になるか?
現状、一部の政党が掲げる定数削減や選挙制度改革といった「政治改革」は、国民全体の最重要関心事ではない。これらのテーマが日本の経済成長や国民生活の改善に直結するわけではないとの認識が広がっている。それよりも、次の選挙で最も重要な争点となるのは、言うまでもなく「物価高対策」であろう。
国民が日々苦しむ体感インフレにどう対応し、実質的な所得向上や生活苦の緩和に繋げるかが、各政党の命運を分けることになる。経済政策の実現可能性、特に中小企業の賃上げや国民の眠れる個人資産の活用といった、生活に直結する具体的な提案をどれだけ効果的に提示できるかが、選挙の勝敗を決する最重要テーマとなろう。